監修 木村容子
東京女子医科大学 東洋医学研究所副所長 准教授
東洋医学の考える健康とは?
東洋医学には、体の健康状態をみる方法として、「気・血・水」(き・けつ・すい)の考え方があります。「気」は生命活動を営むエネルギーです。「血」はいわゆる血液に当たるもので、「水」はリンパ液や汗などの血液以外の体液を意味しています。これら「気・血・水」が体の中を過不足なく、スムーズに巡っている状態を“健康”と捉えます。
「気・血・水」はお互い関連し、影響を及ぼし合っています。どれか1つに異常があったり、3つのバランスが崩れると、様々な変調や不調があらわれます。3つのバランスを保つには、まず、生命力である「気」の働きを高めることが最優先。「元気」、「病は気から」という言葉もあるように、養生には「気」の管理が大切になります。
気・血・水を巡らせる五臓の役割
東洋医学では、「気・血・水」をうまく巡らせるために「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」という「五臓」が働いていると考えられています。それぞれは、西洋医学でいうところの臓器の名称とは必ずしも一致しません。健康を長く保つには、五臓の働きを穏やかに整えて「気」を十分に養うことが大切です。
【肝】
- 血液を貯蔵する働きをもつ
- 肝臓や胆のうと深くかかわる
- 自律神経や情緒をコントロールする働きをもつ
【心】
- 血液を循環させる働きをもつ
- 心臓や循環器系にかかわる
- 睡眠のリズムを調節する働きをもつ
【脾】
- 胃腸などの消化器系にかかわる
- 水分代謝や筋肉に栄養を与える役割がある
【肺】
- 「気」を体中に巡らせる役割をもつ
- 呼吸器系全般にかかわる
- 皮膚の状態や水分代謝にかかわる
【腎】
- 腎臓、膀胱など泌尿器系と内分泌系にかかわる
- 成長、発育、生殖、老化にかかわる