体の熱を逃がすことで
眠気が訪れる

スムーズな熱放散が快眠のカギ

手足の末端は、熱を放散することで深部体温を下げるラジエーターのような役割をしている。

体温は睡眠と深い関係をもっています。
私たちの体は、活動する日中は体温が高く保たれていますが、眠りにつく時には、深部体温を下げることで脳と体をしっかり休息させる仕組みがあります。
皮膚表面から熱を逃がすシステム(熱放散)が働くと、深部体温(体の内部の温度)が下がり、それに伴って体は休息状態になり眠気が訪れます。
深い睡眠の時ほど、体温は大きく低下します。
熱を逃がすのに重要な働きをしているのは手足、特に甲の部分です。
赤ちゃんの手が温かくなるのは眠たいサインといわれますが、それはここから熱を逃しているのです。
冷え症の人が不眠になりやすいのは、手足から熱が放出されにくいために、深部体温が下がらないからです。
良質な睡眠がとれないと、自律神経の働きが乱れて血行が悪くなり、ますます体が冷えるという悪循環に陥りやすくなってしまいます。

体温と眠気のリズム

手足の皮膚温の体幹に対する相対的温度が上昇するほど、深部体温が低下し、その直後の眠気が強くなっている。

1.手足の皮膚温が上昇 2.深部体温が低下 3.眠気が訪れる

体を温める入浴のコツ

床に就く1~2時間前に、38〜40℃のぬるめのお風呂にゆっくり浸かって体温を上げましょう。
ぬるめの湯は自律神経のうち副交感神経を優位にし、心身がリラックスして眠りにつきやすくなります。
体が温まって末梢血管が広がると、手足からの熱放散がスムーズに。
深部体温を下げやすくし、質のよい睡眠が得やすくなります。

一方、42℃以上の熱い湯に浸かると、逆に交感神経が優位となり、緊張モードに。
神経が高ぶり、眠りにつきにくくなってしまいます。
熱い湯に浸かると気分がスッキリして疲れがとれた感じがしますが、眠りには悪影響なのです。

38~40℃の湯に10~20分かけて浸かり、じっくり体を温めるのがポイント。血行が促され、筋肉のこりや緊張もほぐれる。

快眠をつくる温め法

夕方に軽く汗ばむ程度の運動を行うと、皮膚からの熱放散を増やし、スムーズな眠りを誘う効果が。

足湯で温めるのもおすすめ。容器に39〜42℃の湯をはり、ふくらはぎの下まで浸かろう。