養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

ツボの雑学

「必殺技・三年殺しのツボとは?」「ツボ名からツボの位置がわかる!?」「笑いのツボ、ドツボ、思うツボのツボとはどんなツボ?」――今月はツボの雑学をお届けします!

必殺技・三年殺しのツボとは?

ツボ押しは健康維持のために行われるものですが、「三年殺し」という急所のツボを突く技があるのをご存じでしょうか?「三年殺し」とは、肝臓と脾臓の急所を拳で突くと、そこがじわじわと悪化して三年後に死に至るという必殺技です。もしそんな技をかけられたら、怖いですよね…!「三年殺し」は、実在する空手家のマス大山こと大山倍達(おおやま ますたつ)をモデルにした1970年代の人気漫画『空手バカ一代』に登場した必殺技で、当時の子どもたちの流行語にもなりました。でも、実際の大山倍達はそんな技は使っていなかったそうで、あくまでも漫画の中の架空の技です。

1980年代に一世を風靡した人気漫画『北斗の拳』にも、「経絡秘孔(けいらくひこう)」と呼ばれる急所のツボ(秘孔)がたくさん登場します。例えば「瞳明」は眼球を裏返させて敵の視力を完全に奪うツボ、「健明」は逆に失った視力を回復させるツボ、「忘神」は記憶を回復させるツボ、「新一」は敵に白状させるツボ、「人中極」は突くと三秒後に敵が死ぬ最強のツボなど、「三年殺し」もびっくりのツボがめじろ押しです。もちろん全て架空のツボですが、漫画の世界でもツボは奥が深いですね。

三年殺しのツボ

ツボ名からツボの位置がわかる!?

鍼灸のツボには独特の名前がついていますが、それぞれ由来があります。例えば、今回のメンタルツボ特集で紹介した「期門(きもん)」は正経十二経脈といわれるツボが連なるラインの終点にあるので、一周を意味する「期」と門戸を意味する「門」の字があてられたといわれています。

他にも、肩こりや頭痛などに効くといわれる万能ツボのひとつ「合谷(ごうこく)」は、手の親指と人差し指が合う谷間にあることに由来します。また、頭頂部付近にある万能ツボの「百会(ひゃくえ)」は、複数の経絡が一堂に会するところにあることに由来します。

松尾芭蕉の句にも登場する有名なツボ「足三里(あしさんり)」の由来には、「里=1寸」とした時に「膝下3寸」のところにあるからという説があります。別の説では、腹部を上中下の3つの部位に分けた時、どの部位にも効くからとの由来も。

足三里と同じく胃に効くツボのひとつ「鳩尾(きゅうび)」は、ツボのある胸骨のとがった先端がハトの尾羽に似ていることに由来します。ちなみに「鳩尾」という熟語の訓読みは「みぞおち」ですが、みぞおちの語源は飲んだ水が落ちる場所=「水落ち(みずおち)」です。

ツボ名の中には、ちょっと詩的なものもあります。例えば額にあるツボ「上星(じょうせい)」は、鼻水や鼻づまりに効くといわれるツボですが、名前の由来は天空の星を見上げた時、星に最も近いところに位置するツボだからだそう。ツボ名の由来を知ると、ツボの位置を探すのにも役立ちますね。

笑いのツボ、ドツボ、思うツボのツボとはどんなツボ?

ツボという言葉は、鍼灸以外でもよく使われます。例えば「ツボを突く」「ツボを押さえる」「ツボを心得る」など、いずれも鍼灸で効き目のあるツボから転じて、ものごとの要所や勘所をしっかりつかんでいるという意味で使われます。逆に勘所からずれていることを「ツボを外す」といいます。

「ツボにはまる」も勘所が刺激されて感情に訴えることを意味し、思わず笑ってしまうことを「笑いのツボにはまる」などといいます。しかし、はまるのが「ドツボ(土壺)」となると話は別です。ドツボは関西圏で「肥だめ」のことを指すので、「ドツボにはまる」は最悪の状況に陥るという意味になります。

「思うツボ」のツボも、鍼灸から転じたツボとは全く別ものです。ここでのツボは、サイコロの目を当てる賭けごとで使われた「壺」のことです。これが転じて、壺振り師が自分の思い通りの目を出すことを「思うツボ」というようになったのです。「ドツボ」や悪い人の「思うツボ」には決してはまりたくないですね。