養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

血の雑学

「体内の血管の長さ、総計は地球2周半?!」「血の豆腐、血のソーセージ、血のプリン……世界の血料理たち」「血が大好物ないきもの大集合!」――今月は「血」にまつわる雑学をお届けします。

体内の血管の長さ、総計は地球2周半?!

人間の身体は約60兆個におよぶ細胞でできています。血管はその細胞一つひとつを養う、重要なインフラの役割を果たしているのです。全身に張り巡らされた血管を構成する内皮細胞の総面積は、約7000㎡にもおよびます。これは、オリンピックスタジアムになる予定の「新国立競技場(仮称)」のグラウンドに匹敵する広さです。
さらに、大人ひとりの血管を全部つなぎ合わせて1本のひもにすると、地球を約2周半もグルグル巻きにできるほどの長さ(全長約10万km)になるというから驚きです。

血流の速さは血管の位置や体の状態によって異なりますが、1分ほどで全身を一巡してくるといわれています。心臓は1日に約10万回鼓動するので、それに合わせて血液は常に循環しているのです。生まれてから死ぬまで、人体という小宇宙を決して止まることなく旅し続けている血液を思うと、もっと労わってあげたくなりますね。

血の豆腐、血のソーセージ、血のプリン……世界の「血料理」たち

血液は栄養価が高いので、世界各国に血を使った伝統料理が見られます。例えば、豚や羊の腸に血を詰めた「ブラッドソーセージ」は、ドイツやモンゴルでよく食べられています。
中国の鍋料理「毛血旺(マオ・シュエ・ワン)」に使われる食材「血豆腐」は、豚など家畜の血を固めたもので、見た目はレバーのようです。タイ料理にも、豚の血を固めたレバー状の食材を辛く煮込んだ麺料理「カノム・チン・ナム・ミョウ」があります。
スウェーデンの伝統食「血のプリン」は、黒々とした見た目でぎょっとしますが、豚や牛の血に小麦粉や玉ネギ、シナモンなどのスパイスが入っており、鉄分たっぷりだそう。沖縄にも「チーイリチャー」という、豚やヤギの血を使った煮物料理がありますが、どろっとしていて真っ黒なので、何も知らないと口をつけるのにちょっと勇気がいります。

血の料理はえてして見た目がどす黒いものが多いようですが、食前酒として飲まれるスッポンの生血は真っ赤な鮮血の色。ただ、黒くても赤くても、血を使った料理は、どの国でも好き嫌いがかなり分かれるといわれています。

チスイコウモリ

血が大好物ないきもの大集合!

地球上には血が大好物のいきものがたくさんいます。代表的なのが「蚊」。蚊は2,500種以上もいますが、血を吸うのはメスだけです。刺されてもかゆくなる程度なので見過ごされがちですが、蚊はマラリアなどの病原菌を媒介するため、実は地球上で最も多くの人間に死をもたらしているともいわれています。

人間や家畜の皮ふに吸い付く吸血性の「ヒル」は、ヌメヌメしていてかなり不気味なルックスです。しかもヒルの唾液には麻酔のような成分が含まれているため、あちこちかまれても全然気づかず、いつの間にか手足が血まみれになっているのを見てびっくりする人が多いようです。

近年は、かつてナンキンムシといわれた吸血昆虫「トコジラミ」が海外渡航者の荷物を通して日本に持ち込まれ、ひそかに増殖しているようです。特にコワいのは、一般的な殺虫剤が効かない「スーパートコジラミ」。これが家にすみつくと、大がかりな駆除が必要になるので要注意です。

秋はハロウィーンのアイコンとしてコウモリが定番化していますが、「チスイコウモリ」はなにより血が大好きで、血さえあれば生きられる動物です。チスイコウモリの唾液には血が凝固するのを防ぐ成分が含まれているため、脳梗塞の原因になる「血栓」に効く薬の開発材料として注目されているそうです。血を吸う生きものにはマイナスイメージがつきものですが、将来的には新薬開発に役立つなど、プラスイメージに変わっていくかもしれませんね。