養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

姿勢の雑学

「猫がもし猫背でなかったら、大変なことに?!」「ぶら下がり健康器から猫背矯正ロボットまで姿勢矯正アイテム今昔」「鎌倉の大仏は意外と猫背?!」——今月は姿勢の雑学をお届け!

猫がもし猫背でなかったら、大変なことに?!

「猫背」という呼び名の元祖である猫は、当然ながらみんな生まれつき猫背です。人の場合は猫背だと体によくないとされていますが、猫の場合は猫背でないと、生きていけません。イエネコをはじめ、ネコ科の動物の多くは、獲物を見つけたら、姿勢を低くしてそーっと近付き、一瞬で急所を狙って仕留めます。すばしこい小動物も、見事な瞬発力を駆使して逃しません。それが可能なのは、肩周りの筋肉がバネのように柔軟だからです。

もし猫が猫背でなかったら、素早く跳んだりはねたりするたび、肩や足腰に自分の体重を超えた負荷がかかって、ケガをしてしまう危険性があります。猫が猫背なのは、瞬発力や柔軟性を発揮して狩りをするのに不可欠だからです。臨戦態勢の時も、猫は自分をより大きく見せて敵を威嚇するために、背中をマックスに丸めて毛を逆立てます。

とはいえ、猫も時には猫背をぐーんと反らして伸びをします。ヨガにも丸めた背中を反らす「猫のポーズ」がありますが、猫が猫背を伸ばしてストレッチをするのは、起き抜けに体を活動モードに切り替える時や、リラックスして眠い時です。猫背の猫もかわいいけれど、気持ちよさそうに伸びをしている猫もまた一興ですね。

背中を丸めた猫

伸びをした猫

ぶら下がり健康器から猫背矯正ロボットまで、姿勢矯正アイテム今昔

「姿勢が悪いと、背中に竹のものさしを入れられた」——その昔は、家や学校でそんな経験をした人もいるのではないでしょうか? 1970年代には、ぶら下がって背筋を伸ばすことで肩こりなどの不調改善に役立てる「ぶら下がり健康器」が爆発的なブームになりました。最近では、背骨を重力から解放するための「逆さぶら下がり健康器」も登場しているようです。今も昔も、姿勢矯正は健康のために欠かせないテーマのようで、背筋を伸ばすサポーターやインナーウエアをはじめ、下半身から背筋をピンとさせるチェアやクッションなど、姿勢矯正を試みるさまざまなアイテムが考案されています。中には、社交ダンスの練習用姿勢矯正バンドや、ゴルフスイング用の背筋矯正ベルトなど、ダンスやスポーツのために作られているものもあります。

2017年末に東京ビッグサイトで開催された「国際ロボット展」では、なんと「猫背矯正ロボット(※市販されていません)」が登場しました。見た目はかわいい猫のぬいぐるみなのですが、それを背負って猫背になるとセンサーが反応して「にゃあ」と鳴き、逆に胸を張りすぎてハト胸になると「ポッポー」と鳩の鳴き声で知らせてくれるのです。

背中に硬いものさしを入れられるくらいなら、猫ロボットにかわいく注意してもらったほうがいいかもしれませんね。

姿勢矯正アイテム

鎌倉の大仏は意外と猫背?!

仏像はスッと姿勢よく見えますが、よく観察すると、意外にユルい姿勢の像も見受けられます。仏像の姿勢は、立っている「立像(りゅうぞう)」、座っている「坐像(ざぞう)」、横になっている「臥像(がぞう)」の3種類に大別されます。坐像を代表する鎌倉や奈良の大仏のように、両足を組んで足裏を上にして座る「結跏趺座(けっかふざ)」は、座禅中の凛とした姿勢です。しかし、よく見ると鎌倉の大仏は頭がうつむき加減でちょっと猫背ぎみです。一説では、鎌倉時代には猫背ぎみの仏像が流行したのだとか。

鎌倉大仏

仏像の中には、正座を横にクタッと崩したような「箕座(きざ)」という座り方の像もありますが、足がしびれてしまった人の姿に似ています。また、右足を立て膝にして右頬杖をつき、左足裏に右足裏をペタッとのせた「輪王坐(りんおうざ)」の仏像は、少々かったるそうに見えなくもありませんが、いずれも人々を救おうと思索している姿なのだそう。

有名な広隆寺の弥勒菩薩(みろくぼさつ)は、台座に軽く腰かけ、足を組んで右ひじを膝につき、右人差し指でほっぺにちょこんと触れています。ちょっと一服しているように見えますが、これも思索している姿です。タイなど東南アジアの寺院に多く見られる臥像は、右頬杖をついて長々と寝そべった姿から、「寝仏」ともいわれます。しかし、決してのんびり昼寝しているわけではなく、釈迦が入滅して涅槃(ねはん)に入る様子を表しています。