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ワインの雑学

「ヴィンテージワインに秘められたロマン」「10日間はき続けた靴下の香りのワインとは?」「うっかりこぼしたワインのシミ、どうやって落とす?」——今月はワインの雑学をお届け!

ヴィンテージワインに秘められたロマン

ヴィンテージ家具やヴィンテージジーンズ、ヴィンテージマンション等々……単に古くなったわけではなく、年季が入って味わいを増したものに「ヴィンテージ」と冠されることが多い昨今。そもそもヴィンテージ=vintageの「vin」とはワインのことで、ヴィンテージとは本来、「ワインの収穫年」を意味する言葉です。ヴィンテージワインの中でも、気象条件もぶどうの品質もよく、ワイン評論家にも評価が高い、当たり年の長期熟成型ワインは「グレートヴィンテージ」と呼ばれます。
ヴィンテージワインは、収穫年から10年以上熟成されたワインなので、古本のようにラベルが汚れたり破れたりしていることが少なくありません。長い年月の間にどんなルートをたどってきたかはわからないことも多いので、ひょっとすると秘密の地下室に眠っていた逸品かもしれないし、どこか貴族のクローゼットに大切にしまってあった宝物かもしれません。そんな歴史に秘められたミステリアスなロマンもまたヴィンテージワインの魅力といえます。フレンチレストランなどでは、誕生祝いにその人の生まれ年のヴィンテージワインを注文する人も多いようですが、「ロマネ・コンティ」のヴィンテージワインなどは100万円以上することもあるので、ワインリストの桁をしっかり数えてから注文しましょう。

ヴィンテージワイン
国立科学博物館で開催中(~2016年2月21日)の「ワイン展」で展示されているヴィンテージワインの数々。

10日間はき続けた靴下の香りのワインとは?

「こげたトーストの匂い」「ほんのりネズミ臭」「濡れた犬や、着火したマッチのアロマ」「ほこりやカビの香り」——実は、これはすべてワインの香りの例えです。そんな不気味なワインは飲みたくないと思われるかもしれませんが…、これらはワインの香り成分を系統ごとにまとめた用語集「ワインのアロマホイール」に分類されている言葉です。数百種もの香り成分が複雑に絡み合ったワインの香りは、とてもひとことでは言い表せないので、こうした用語をひとつの目安にしているのです。もちろん、香りの感じ方には個人差があるので、ワインの感動をアピールしたいときは、「きらめく太陽の味」「若々しい風の香り」といった詩的な表現をしてもかまいません。
ちなみに、「ワイン展」の総合監修をした国立科学博物館植物研究部部長の岩科司先生は、イソ吉草酸という香り成分を「10日間はき続けた靴下の匂い」と表現しているそうです。誰もそんな靴下をはいてはいないと思いますが、鼻が曲がるような匂いであることは想像できますよね。じつはこの香り成分は、カスミ草にも含まれるそう!香り成分の多様な個性と、それを表現する人のイマジネーション豊かな個性のマリアージュも、ワインの醍醐味のひとつといえるかもしれませんね。

アロマホイール
「ワイン展」に展示されているアロマホイール。
カリフォルニア大学デービス校のアン・ノーブル博士提供のデータをもとに作成されています。

うっかりこぼしたワインのシミ、どうやって落とす?

「あっしまった!」…楽しいパーティの席で、盛り上がって赤ワインのグラスをうっかりこぼしたという経験はありませんか?ワインのシミは濃いので、大急ぎで対処する必要があります。
赤ワインをよく飲むフランスでは、赤ワインをこぼせば、ダッシュで塩を持ってきてくれます。ワインが乾いてしまう前に、こぼれた場所にたっぷり盛り塩をしてもみこむと、真っ赤なシミが魔法のように塩に吸い取られていくので、その後に手もみ洗いをすれば、かなりの確率でとれます。ただ、塩をケチると、ワインを吸い切れないので、たっぷり盛るようにしましょう。塩の代わりに重曹を盛ってからお湯で洗っても、シミ取り効果があります。
酸素系漂白剤(塩素系、還元漂白剤はNG)や消毒用のオキシドールでも赤ワインのシミを落とせますが、シルクやウールなどの動物性繊維は生地を傷めたり、変色する可能性があります。漂白剤につけると、赤いシミが理科実験のように、みるみる青色に変色しますが、それはアントシアニンという色素のせいなので、たじろがずにしばらくつけておきましょう。30分もすると、「どこがシミだったかな?」とわからなくなるほどにきれいになります。いずれも、シミが乾く前に速効で対処するのがポイントです。