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粘りの雑学

ネバネバは日本人の美徳?介護食に欠かせないとろみ食品とは?ピザに一番合う、伸びが抜群のチーズとは?今月は粘りにまつわる雑学をお届けします!

ネバネバは日本人の美徳?

ネバネバ、ネトネト、ネチャネチャ、ヌルヌル、ヌラヌラ、ヌメヌメ、ズルズル、ドロドロ、トロトロ、ベタベタ、ベトベト、モチモチ…日本語には、粘り気を表すオノマトペ(擬音語・擬声語)がたくさんあります。その代表格ともいえる「ネバネバ」は「粘粘」とも書き、「粘」という形声文字から派生したと考えられています。「粘」は「米+占」ではなく、元々は「黍+占」であり、五穀のひとつ「黍(きび)」のねばりから「ねばる」に転じたといわれています。

「粘る」という言葉には、「粘り強い」というポジティブな意味と、「粘着質」といったネガティブな意味がありますが、日本では肯定的に使われることが多いといえます。
「粘り強さは、必ず不可能に勝つ」by松下幸之助氏。
「成功する人と、そうでない人の差は紙一重だ。(中略)違いは、粘り強さと忍耐力だ」by稲盛和夫氏。
「弟子を育てるのは根気です。三度挑戦させてだめでも、もういっぺん、四度目をやらせる粘りが必要です」by初代貴ノ花関。

最近は、「粘る=クールではない」と見る風潮もありますが、第二次世界大戦後や東日本大震災後の復興時には、粘り強さが農耕民族をルーツとする日本人の美徳として語られてきました。「粘り腰」「粘り勝ち」といった言葉に象徴される「忍耐力=勝利」というスピリットも日本的といえるでしょう。日本人が古来から納豆や昆布などのネバネバ食品を愛するのは、そんな精神的背景があるからかもしれません。

介護食に欠かせないとろみ食品とは?

近年、介護食の世界では、適度な粘り気のあるとろみ食品が注目されています。水のようにさらさらしたものを飲むと、誤って気管に流れ込んでむせてしまうことがありますが、とろみのあるものだと、ゆっくり食道に落ちていくので、誤嚥(ごえん)を防ぐことができるからです。特に病気や障害などで食べものをうまくかんだり飲み込んだりできない人にとって、とろみのある食品はなくてはならないものといえます。
ただ、とろみ表現には曖昧さがあり、商品を選ぶ際に分かりにくいため、日本介護食品協議会では、とろみ表現の統一表示を進めています。その基準によると、フレンチドレッシング状<とんかつソース状<ケチャップ状<マヨネーズ状の順に、とろみが強い食品ということになります。
日本人の死亡原因の第4位は肺炎ですが、高齢になるほど誤嚥により、口中の細菌が肺に入って感染する誤嚥性肺炎による死亡率が高まります。年配の方は、適度に飲み込みやすいとろみのある食品を選ぶのがおすすめです。

ピザに一番合う伸びが抜群のチーズはコレ!

納豆などのネバネバ食品は、加熱するとネバネバ度が下がりますが、逆に加熱すると驚くほど伸びがよくなるのが、ピザのトッピングに欠かせない「モッツァレラチーズ」です。
伸びのよさの秘密はその製法にあります。固めたミルクを熱湯に一気に入れて練ると、生地の中に繊維状のものができ、つきたてのお餅のように伸びます。このお餅状のものを引きちぎって丸めたのがモッツァレラチーズなので、焼いて熱するとよく伸びるのです。いかにもモッチリした名ですが、イタリア語の「引きちぎる=モッツァーレ(mozzare)」が語源といわれています。

ブリオニー・ジェームス博士

ニュージーランドの科学者ブリオニー・ジェームス博士は、多種のチーズを比較した結果、ピザに一番合うのはモッツァレラチーズであるという研究結果を発表しました。それによると、モッツァレラチーズは焼けてくると、水分が外に逃げようとするので、チーズが伸びて気泡が丸く大きくなります。そして、表面の油分が流れ落ちて、こんがり香ばしい焦げ目ができるのだそうです。モッツァレラチーズは塩分が少なく、カロリーも低めなので、ピザ好きにはありがたい食材ですね。