養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

梅雨の雑学
梅雨にも「陽性/陰性」がある

立秋を過ぎたら「梅雨明け無し」。再び来るのが「戻り梅雨」。年や時期、地域によって性格を変える「梅雨」の雑学をお送りいたします。

立ち葵のてっぺんの花が咲くと梅雨が明ける

世界には「雨季」のある国や、一年中まんべんなく雨が降ったり、急に激しい雨「スコール」が降る国など、さまざまです。しかし、夏が来る前のおよそ1ヶ月間、雨が集中する「梅雨」となると、日本をはじめ中国、韓国、北朝鮮、台湾、ロシア沿岸部など一部に限られます。

とりわけ中国では、梅の実が黄色く熟すことを指す「黄梅」という言葉にちなんで「黄梅雨」などと呼ばれ、カビが発生しやすい季節にちなんで「黴雨(ばいう)」とも呼ばれます。その時期に生じるなんらかの自然現象が結びついているわけですね。

日本でも「立ち葵(たちあおい)の花がてっぺんまで咲くと梅雨が明ける」といわれています。立ち葵は別名「梅雨葵」。茎の一番下の花が開く頃に梅雨入りし、だんだんと上のほうの花が開いていって、最終的に一番上のつぼみが花開いた頃に梅雨が明ける。梅雨に冷え込む「梅雨寒(つゆざむ)」となれば花の生育も遅くなることから、その年の梅雨の傾向に合わせて、うまい具合に開花時期が合うことになります。

他にも「梅雨中の雷は、晴れ近し」といった言葉も。気圧が低い梅雨真っ盛りの頃には積乱雲がもたらす「熱雷」は一般的に発生しません。しかし太平洋高気圧が北上し、大気の状態が不安定になると積乱雲が生じて雷が鳴る、というわけです。

梅雨にも「陽性」と「陰性」がある

梅雨とは、たとえていうなら「南の高気圧」と「北の高気圧」の“仁義なき戦い”とでもいいましょうか。この2つの高気圧の勢力ががっぷり四つで組み合って動かず、その間に生じる気圧の谷間、いわゆる「梅雨前線」も動かないことが原因となっています。

しかしながら、前線の動きや位置によって梅雨の気候は若干変化します。時期や年ごとによっても、雨が降らない「空梅雨」になったりと、「性格」があるんです。梅雨にも「陽性」と「陰性」があること、ご存知ですか?

陽性の梅雨は、集中豪雨になったと思ったらカラリと晴れたりする、いわばスコールのような雨が繰り返し起こるタイプのもの。一方、陰性の梅雨は、止みそうにない雨がしとしとと降り続くタイプのものです。陽性か陰性かを左右するのは、梅雨前線の位置。一般的に、この前線より南側に位置する地域では陽性に、北側に位置する地域では陰性になります。ごく簡単にいえば、南国は陽性、北国は陰性。また、梅雨入りの時期は陰性で、梅雨の後半からは陽性に変わることも多くあります。

ちなみに、「梅雨が明けない」年も、地域によってはあるんです。たとえば秋田県では、平成13年や平成15年には梅雨明けが特定できませんでした。北vs南の高気圧の仁義なき戦いの決着がつかず、いつまで経っても梅雨前線が北上せずに雨が降り続き、暦の上で「立秋」を越えてしまった際に「梅雨明け無し」となるそうです。

さらに、梅雨が明けたはいいけれど、太平洋高気圧が弱まったスキに、北方のオホーツク海高気圧が再び強まってくることがあります。この高気圧には寒気がともなっているので、冷たい北風が吹いてきます。これが東北地方などに冷害をもたらす「やませ」と呼ばれる風です。そこに雨が伴うと、いわゆる「梅雨の戻り」と呼ばれることになります。

そして、南の高気圧が頑張って「夏」をもたらし終わると、季節は秋へ。この時期も、北の高気圧が再び力を盛り返してきて、梅雨の時期と同じような気圧配置となり、いわゆる「秋雨前線」が生じて長雨が降ることがあります。一部では、秋の風物詩とかけあわせて「すすき梅雨」などとも呼ばれる現象です。

関節が痛む・・・もしかして「天気痛」!?

最近よく耳にする言葉で「天気痛」なるものがあります。昔から「雨が降る前になると古傷が痛む」といったことはよくいわれていますよね。果たしてそれは本人の思い込みからくるものなのか、はたまた科学的に立証できるのか、現在研究が進んでいるところです。

一部では、低気圧に覆われた気候になると、アミノ酸の一種である「ヒスタミン」が増えるといわれています。そうなると結果的に、鼻水が出やすくなったり、皮膚にかゆみを覚えたり、関節に痛みを感じるなどのアレルギー症状が起きやすくなります。さらに気圧が変化することにより交感神経が緊張状態となり、痛みをもたらす一因になっているのではといわれています。

こうした症状がもし起きた場合、今回の特集で紹介している「梅雨のカラダメンテナンス」を実践することが効果的。ぜひとも日々の生活の中で、心がけてみてくださいね。