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正しく「座る」

正しい姿勢で、正しく座っていますか?自分に合った椅子を使っていますか?姿勢の悪さは血行を妨げ、肩こりや腰痛、冷え性を招きがち。正しく「座る」秘訣、お教えします!

姿勢の悪さがもたらす肩こり、腰痛に注意

「立つ」「座る」「寝る(横になる)」は、日常行なわれる基本的な動作です。このうち最も疲れるのは「立っている」状態だと思いがちですが、じつは「座っている」状態も時として同じくらい、体に大きな負担がかかっているのです。背筋をピンと伸ばして立っている(同時に腰を反らしすぎない)状態では、背骨から腰、足へと無理なく体重が伝わっています。「ピンと伸ばす」というものの、背骨の本来の形は、横から見ると「S」字をなしています。この「S字」が崩れやすくなるのが「座っている」状態です。

座っている状態は、上半身の体重を臀部が支えることになります。臀部はすなわち「腰」です。腰は5つの腰椎で支えられていて、その腰椎の間でクッションの役割をしているのが「椎間板(ついかんばん)」です。ここに負担がかかります。また、立っている状態だと、体の「重心」は椎間板から離れたところを通りますが、座ると椎間板のラインと重心が重なりやすくなることから、負担が重くなるというわけです。

さらに、普段は意識しませんが、「頭」の重さもじつはかなりの負担。座り方によっては、このしわ寄せが「首」ひいては「肩」周辺の筋肉にかかります。結果、血行が悪くなって「肩こり」となるのです。

座ることによって肩や腰に負担がかかると、筋肉は余計にがんばろうと緊張状態となる。骨盤もゆがんでいく。それが血行不良を生み、「冷え性」などの原因になる可能性もあります。座り方の悪さは、病気へと向かっている状態、いわゆる「未病」をもたらす一因にもなりうるのです。

「未病」についてはこちら

背筋は「S」、腰は「C」が理想

昨今はパソコンに長時間向かってデスクワークをする人も増えています。腰と肩、それにパソコンに向かっているのであれば目にも大きな負担がかかっています。これら身体的な負担を補ってくれるもの、なおかつ「座り心地」が良いと感じ、心理的にリラックス(時には集中力)を促してくれるものが、いわゆる理想の椅子といえるでしょう。

しかしいくら理想の椅子でも、座る側の心構えがまったくいらないわけではありません。座り方を誤れば、どんなに良い椅子であっても骨格は歪んでいきます。前述の通り「S」字の背筋を意識することがまず大事。美しい姿勢は若々しさをもたらし、気持ちにも「ハリ」が出ます。

女性にとってはバストアップや美しい「くびれ」のラインを作ることも、姿勢の正しさから生じます。そして、椅子に浅めに座ることも避けましょう。腰は本来「C」字。しかし椅子に深く腰掛けず、浅めに座ると「C」字が伸びて「I」に近くなってしまい、椎間板に負担がかかるのです。そして、クセで脚を組んでしまう人も要注意。骨の歪みだけでなく、脈が圧迫されることによって血行が悪くなり「むくみ」状態になる可能性もあります。

では実際に、デスクワーク用の椅子やダイニングチェアなどの場合、どんな点を心がけ、どんな椅子を選択したらよいか、ご紹介しましょう。

「高さ」や「角度」を意識した椅子選び

◇「むくみ」を避ける、座面の前部

まず、足の裏がちゃんと全部床につくことが前提です。その上で、ふくらはぎと太ももの角度がほぼ直角になれば、座面は理想の高さを保っています。また、座面の前部が膝の裏に当たって違和感を生じるようだと、血の巡りが悪くなり、ふくらはぎの「むくみ」の原因となります。膝の裏が座面に当たらない、もしくは若干触れる程度の椅子がおすすめです。

◇座面の角度は、「やや前傾」

体重が均等に臀部にかかっているかどうかをまず意識しましょう。そして「前に滑らない」かどうかも大切。いわゆる「浅く座る」状態になっていると腰や筋肉に負担がかかりやすくなります。ただし、だからといって座面が過度に後ろに傾いている、つまりお尻だけすっぽり穴に入っているような感覚になる椅子は、デスクワークなどには向きません。前に滑らない程度に、「やや前傾」の座面がベスト。そうすると背筋がピンとして「S」字をキープしやすくなります。

◇背筋にフィットする背もたれを

「S」字を保つことがベストとはいえ、きちんとした姿勢を長時間保つことは、よほど普段から姿勢を意識している人でない限り、難しいといえます。姿勢を保つことが苦痛になるようでは本末転倒です。よって、座りながら「休む」ための装置がついているものが望ましいといえます。すなわち「背もたれ」です。背もたれの下部は腰に(違和感が生じない程度に)密着、上部は触れる程度が目安。素材も硬すぎず、柔らかすぎずのものを選ぶとよいでしょう。

◇肩こり回避の「肘掛け」も

こちらも「休む」ためのもの。頭と同じく、腕の重さも普段あまり意識しないものの、肩への負担につながっています。肘掛けがあり、さらに長さは邪魔にならないよう、座面の前部より短いものを選ぶことをおすすめします。

今、皆さんが座っている椅子はいかがですか?もし違和感を感じるようであれば、高さや角度を調節してみてください。もちろん、パソコンに向かっている場合は机の高さ、そしてパソコンの角度なども相対的に「良い姿勢」を保つことに関わってきますので、併せて調整しましょう。

また、いくら正しい姿勢であっても「座る」行為は意外と疲れることと考えましょう。30分座ったら、一旦立ち上がってみる。その状態で体を左右にひねる運動が効果的です。骨のこわばりと、圧迫状態にあった内蔵をリフレッシュさせることとなります。

正しく座ることは元気の源です。ぜひ皆さんも「座る」行為について改めて考えて、理想的な「座る」環境を作り上げましょう。

また、歴史に名を刻んだ椅子の名作と、長時間のデスクワークの大敵「肩こり」を解消するレシピのコーナーもぜひご覧下さい。
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