養命酒ライフスタイルマガジン

生薬ものしり事典

生薬ものしり辞典 22
芳香で食欲を刺激する「月桂樹(ローリエ)」

「月桂樹」の葉を入れて煮込んだカレーや、月桂樹の香りを付けたピクルスは、肉などの臭みが抑えられ、食欲の増進や、消化の促進に役立ちます。
日本では古くから胃腸機能の増進に効果のある薬として、「センブリ」「オウバク」などが民間薬として使われてきていますが、これらはその味から「苦味健胃薬」といわれます。
これに対し、「ウイキョウ」や「ケイヒ」などの香りのよい民間薬は「芳香健胃薬」といわれます。

肉の臭みを抑えて、胃腸機能を促進!

養命酒中央研究所
白鳥奈緒美研究員

東洋医学には「辛開苦降(しんかいくこう)」という言葉があり、辛味は詰まっている部分の通りをよくし、苦味は下に押し下げる作用があるということを意味します。
香りのよいハーブ・スパイス類は、辛味を持ち、その香りや味が刺激となって、胃液の分泌や胃腸運動を亢進して消化を助け、食欲を刺激すると考えられています。

ローリエ(月桂樹)

月桂樹は小アジア地方が原産で、養命酒に用いられている「ケイヒ」や「クロモジ」などと同じく、クスノキ科の植物です。漢方処方には用いられていませんが、その性味から芳香健胃薬的な働きが期待されます。
香りの主成分は1,8-シネオールで、「樟脳(しょうのう)」に似たさわやかな匂いと、すっきりした味を持ち、抗菌・去痰作用があります。この香り成分は咳止薬などに配合されるユーカリ精油に多量に含まれているため、「ユーカリプトール」という別名もあります。

東洋医学では、「脾は湿を嫌い 燥を好む」といいます。日本の夏は湿度が高いため、脾(五臓のひとつ。六腑の胃と合わせた「脾胃」は消化器系全体を指す)の働きが乱れやすくなります。ハーブやスパイス類を生活の中に賢く取り入れて、蒸し暑い夏を元気に過ごしたいですね。