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生薬百選37 ゲンノショウコ


今回はセンブリ、ドクダミとともに代表的な民間薬の一つであるゲンノショウコ(Geranium thunbergii,フウロソウ科)を紹介します。その名は「現の証拠」に由来するとも言われ、飲むとすぐ効く・よく効くといったことを意味しています。日本全土の山や野原に自生している多年草で、古くから民間薬として使われてきました。夏から秋にかけて枝先および葉の脇より長い花軸を出して2〜3個の花をつけます。色は白から赤色と一様ではありませんが、北日本では白色花が多いようです。特に花の色と薬効との関係については明らかになっていません。我々の研究所内でも白花とピンク花を見ることができます。


白花とピンク花
白花とピンク花


夏の開花期(7〜8月頃)に全草を抜き取り、根を除いた地上部を天日で乾燥させます。薬効は健胃、整腸、強壮とされていますが、おもしろいことに下痢、腹痛などに止瀉剤として働く一方で、便秘の時には緩下剤となる独特の作用が知られています。下痢止めに用いる場合には煎液の温かいもの、便秘に用いる場合には冷ましたものを服用する、といった話もあります。

薬効を示す主な成分はタンニンでその他にもフラボノイドなど多くの成分が明らかになっており、日本薬局方にも「ゲンノショウコ」として収載されています。民間薬であり漢方方剤(漢方薬)では使用されていませんが、大衆薬としてよく知られる百草丸、正露丸などに含まれています。ゲンノショウコそのものには馴染がなくても、案外これらの整腸薬などでお世話になっていそうです。




■ 江崎 宣久(養命酒中央研究所・主任研究員)
この冬は暖冬で長野県内のスキー場でも例年に比べて雪が少なくシーズンも短く終わりそうです。
こんな冬でしたが久しぶりに温泉を動機にしてスキーに数回でかけることができました。以前だったら通過していた湯田中温泉がお気に入りになってしまった今シーズンでした。