HOME > 生薬百選 > 【2006年4月号】生薬百選25 辛夷(シンイ)


生薬百選25 「辛夷(シンイ)」


3月を迎え、暖かい陽を浴びながら、渋いお茶を片手にふと会社の窓の外に広がるまだ雪の残る南アルプスの稜線を眺めていた時、コブシ咲く♪〜というあの名曲の1フレーズが私の頭の中をよぎりました。

そこで今回は、モクレン科のタムシバ、コブシ、ハクモクレン、Magnolia biondii Pampaniniまたはその他近縁植物(写真左)のつぼみを乾燥させた生薬である『辛夷』(写真右)を紹介します。



辛夷には精油(シトラール、α−ピネン、1、8−シネオールなど)や微量のアルカロイド(d−コクラウリンなど)が含まれており、芳香の強いものが良品とされ、葛根湯加川きゅう辛夷や辛夷清肺湯に処方されて頭痛・鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症などに用いられます。

早速、弊社入り口に植栽されているコブシを見に行きましたが、まだつぼみは活動を始めておらず、信州伊那谷の春はまだまだですが、コブシの白い花が咲き誇る季節を楽しみにしている今日この頃です。




■ 浜崎 健二郎(養命酒中央研究所・主任研究員)
九州は鹿児島の出身で、『釣りバカ日誌』のハマチャンと同じ大の釣りキチ。 花の独身。