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生薬百選3 「杜仲」


12月の信州はすっかり冬模様です。中央研究所のトチュウも落葉しました。

生薬杜仲はトチュウの樹皮で強壮作用、鎮痛および血圧降下作用があります。
トチュウのリグナン成分は植物エストロゲンとも言われ、体内で女性ホルモン様作用を示す成分に変換されます。
従って、更年期障害の改善、乳がんおよび前立腺がん抑制作用等が期待されます。



最近、ポリフェノールの抗酸化作用が健康に良いとされ、お茶のカテキン、ブルーベリーのアントシアニン、大豆イソフラボンが注目されています。
それから、ワインのリスベラトロールも忘れてはいけません。私が20年来研究しているリグナンもポリフェノールの一種です。
8月末、休暇を取り、フィンランドのヘルシンキ大学で開催された国際ポリフェノール会議に参加しました。北欧はベリー類、スペインおよびイタリアはオリーブ、フランスはブドウ、日本は大豆と研究テーマにも各国の特徴が出ていました。
海外のブームは2〜3年後には日本でもブームとなります。リグナン研究が益々盛んになることを期待しています。

トチュウにはその他の薬理活性成分も含まれています。
樹皮の成分シリンガレジノール・ジグルコシドは抗疲労作用、樹皮および葉に含まれるゲニポシド酸はストレスによる胃潰瘍を抑える作用およびコラーゲンの合成を促進する作用があります。またゲニポシドやゲニピンは鎮痛作用があります。
古典に記載された効能の活性成分が次々と解明されています。




■ 出山 武(養命酒中央研究所・研究部長)
平坦地の成田から信州に来て、四季折々、アルプスの山々の表情を楽しんでいます。