養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

食の雑学

「幽霊の出る店?食業界で話題のゴーストレストランとは?」「飯は食に反する? 飲は食を欠く?――食という字の不思議」「飲まず食わずの荒行も!過酷な千日回峰行とは?」――今月は「食」の雑学をお届けします。

幽霊の出る店?飲食店業界で話題のゴーストレストランとは?

最近、「ゴーストレストラン」とか「ゴーストキッチン」という言葉を耳にしたことはありませんか?「幽霊の出るレストラン?」「幽霊屋敷にあるキッチン?」と思いきや、飲食店業界で近年注目されている、ニューヨーク発のビジネススタイルのことです。実店舗を持たず、調理用のキッチンとフードデリバリーサービスだけで運営するスタイルなので、「ゴースト」の名がついたようです。別名「バーチャルレストラン」などとも呼ばれます。

自粛期間中はフードデリバリーを利用する人も多いと思いますが、じつはゴーストレストランで作られている料理かもしれません。もちろん、幽霊が作っているわけではなく、ちゃんと料理人が作っています。ただ、ゴーストレストランは実店舗を持たないので、既存の飲食店を間借りして、調理設備のあるシェアキッチン(「クラウドキッチン」とも呼ばれます)などで調理しています。そのため1つのキッチンで、和・洋・中華・エスニックなど、多種多様なゴーストレストランを展開することが可能です。実際に、1つのキッチンで「地中海式料理」「フルーツスムージー専門店」「ビーガン料理」といった、全く毛色の違う飲食店を複数展開している店もあるようです。今後も世界規模でゴーストレストランが急増するといわれていますが、いつか世界中から好きなメニューをデリバリーできる日がやってくるといいですね!

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飯は食に反する? 飲は食を欠く?――食という字の不思議

「食」という字は、「人」の下に「良」と書きますが、食は「人を良くする」という意味なのでしょうか?じつは食という字の「良」は食べものが盛られた器を意味し、「人」に似た部分は器を覆う蓋をかたどった象形文字です。蓋付きの器にどんな美味しい食べものがこんもり盛られているのか、想像するだけで食欲がわいてきますね。

では、なぜ「飯」という字は「食に反する」と書くのでしょう?この字の「反」は反するという意味ではなく、「手」をかたどった形です。つまり飯とは、穀物に手をかけて作った食べものを表した象形文字なのです。「飲」という字も「食を欠く」と書きますが、「欠」は欠けているという意味ではなく、「口を開けた人」をかたどった形です。つまり、人が口を開けて器の飲みものをゴクゴク美味しそうに飲んでいる様子を表したのが、飲という字なのです。

一方、「食べる」という言葉の語源は「賜る」で、神仏や上位の者から賜った食べものをいただくという意味があります。食事の前に「いただきます」とあいさつするのも、賜った食べものをありがたくいただくという感謝が込められているのです。

飲まず食わずの荒行も!過酷な千日回峰行とは?

食欲は人間の三大欲求の一つなので、食欲を抑えることは大きな試練になります。ギネスの記録では、1965年にスコットランドのアンガス・バルビエーリ氏が打ち立てた382日間が断食の世界最高記録に認定されています。水、茶、ブラックコーヒー、炭酸水とビタミン、ミネラルだけ摂取する生活を1年以上続け、体重が207㎏から125㎏も落ちたそうです。彼の場合は肥満を解消する健康目的の断食でしたが、ヨーロッパでは19世紀末から20世紀初頭に断食を芸として見せる断食芸が流行っていたといわれています。フランツ・カフカの短編小説『断食芸人』にも、断食芸を死ぬまでし続ける芸人が登場します。

一方、宗教的な目的で断食を行う場合もあります。イスラム教のラマダンは日中のみの断食ですが、最も過酷といわれるのが、金峯山修験本宗の「千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)」です。これは大峯山の霊山で千日かけて山中を長距離歩く厳しい修行で、1300年にわずか2人しか達成者がいません。千日回峰行を見事乗り越えた慈眼寺僧侶の塩沼亮潤氏は、行の間は栄養不足で血尿が出ることもあり、死の恐怖を感じることが何度もあったと後に語っています。

こうした苦行は誰にでもきることではありませんが、飽食の時代のときにはプチ断食をして内臓をリセットしてみるのもいいかもしれませんね。