養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

食習慣の雑学

「日本人は江戸時代まで1日2食だった!」「野菜なしでも元気な遊牧民やイヌイットの秘密とは?」「宇宙でいただく無重力ディナーのお約束」――今月は食習慣の雑学をお届け!

日本人は江戸時代まで1日2食だった!

一般に、朝昼晩の「1日3食」の食習慣が広く根付いていますが、大昔からそれが当たり前だったのでしょうか?医学博士の奥田昌子さんの著書『内臓脂肪を最速で落とす』によると、日本人が1日に3食を摂るようになったのは、江戸時代中頃以降なのだそう。それまでは早朝から農耕作業にいそしみ、日が高くなる前に朝昼兼のいわゆるブランチを食べ、午後にまた作業をして、日暮れ前に夕餉を囲み、暗くなれば床に就くという1日2食のスタイルが主流だったのです。行燈などの夜間照明に使う菜種油が普及してから、就寝時間が遅くなり、朝昼晩に食べる食習慣が定着していったようです。

ヨーロッパでも、朝食を摂るのが習慣化したのは中世以降といわれており、それまでは病人や高齢者、幼い子どもなど、朝食は弱者が滋養を補うために摂るものだったようです。

アメリカでは、朝食が定着してからまだ100年余りしか経っていません。一説では、発明王のエジソンが20世紀初頭に電気トースターを発明したことから、ひと儲けを狙った業者が朝食の重要性を喧伝して朝食習慣が広まったのだとか。朝食の歴史は各国でも意外と浅いようですね。

ちなみに、喫茶店などでおなじみの「モーニングサービス」は、英語圏だとキリスト教の礼拝を意味する言葉になります。日本特有のモーニングサービスは特に名古屋圏に多く、ご当地名物の「名古屋めし」としても人気です。コーヒーを注文するとトーストやおにぎり、サラダ、ゆで卵の食べ放題が付いているなど、至れり尽せりの名古屋系モーニング文化は、日本ならではの「おもてなし」の進化系といえるかもしれません。

野菜なしでも元気な遊牧民やイヌイットの秘密とは?

古くから伝わる伝統的な習慣は、環境に大きく左右されます。例えば、大草原を移動しながら生活するモンゴルの遊牧民は、夏はモンゴル式ミルクティーなどの自家製乳製品を中心とした白い食べ物、冬は塩だけで味付けした肉を中心とした赤い食べ物を主食にしています。小麦粉が普及するようになってから、羊肉入りの餃子やピロシキに似た料理も食べるようになったようですが、野菜はほぼ食べません。それでも気温差の大きな草原で元気に生きていられる秘密は、ビタミンやミネラル、乳酸菌が豊富なヘルシー発酵ドリンク「馬乳酒(ばにゅうしゅ)」を毎日飲んでいるからなのだそう。

アラスカなどの氷雪地帯に住む先住民族のイヌイットも、寒冷地で野菜が育たないので、野菜をほぼ食べません。それでも元気なのは、野生のオットセイやセイウチ、トナカイなどを生け捕りにし、生き血滴るフレッシュな生肉や内臓をそのまま食べることで、ビタミンやミネラルを補給しているからです。

しかし、地球温暖化で獲物が減ったり、西洋の食文化が流入したことにより、イヌイットの食文化がここ数十年で大きく様変わりし、それまでほとんどなかったがんなどの生活習慣病が急増したといいます。

日本でも、生活習慣病が増えた背景には、戦後の食習慣が西洋化したことに大きな原因があるといわれています。そのため、昭和30年代頃までの日本で主流だった玄米にみそ汁を中心とした一汁三菜の伝統的な和食スタイルが近年見直されています。長年続けられてきた食習慣には、やはり先人の生きる知恵が豊かに息づいているのではないでしょうか。

宇宙でいただく無重力ディナーのお約束

無重力ディナー

近年、宇宙ロケットの開発が盛んに進められており、近未来には宇宙旅行や宇宙移住も夢ではなくなるかもしれません。ただ、宇宙空間では「疲れたからそこの喫茶店でアイスコーヒーでも飲もう」とか、「小腹が減ったからラーメンでも食べに行こう」というわけにはいきません。無重力空間で宇宙飛行士が食べる宇宙食は、軽量化して長期保存するためにフリーズドライ(凍結乾燥)にしたり、周囲に飛び散らないように汁気のあるものも粘り気を持たせてレトルトパウチや缶詰に加工されていたりします。また、密閉された宇宙船内では「ニオイがきついからちょっと換気して」というわけにいかないので、あまり香りの強い料理もご法度だそう。ちなみに、かつて元宇宙飛行士の毛利衛さんが納豆の持ち込みをNASA(アメリカ航空宇宙局)に打診したところ、ニオイはOKだったものの、糸を引くのがNGと断られたそうです。

今では、宇宙で醤油ラーメンやみそ汁もいただけるようになったそうですが、1960年代の宇宙開発初期の頃は、離乳食のようなペースト状の食事をチューブで摂取するような味気ない宇宙食が多かったのだとか。無重力でも嚥下や消化が可能なことがわかってから、宇宙食の種類が増え、今では1,000種以上の宇宙食レパートリーがあるそうです。インターネット上でも、JAXA(宇宙航空研究開発機構)公認の宇宙食のたこ焼きやカレー、アイスクリームなどが買えるので、宇宙飛行士気分を味わってみたい方はぜひお試しを。