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「“ゴミ都市”の汚名をそそいだ日本人のきれい好き精神」「レレレのおじさんのほうきからロボット掃除機まで、掃除用具の今昔」「あの有名建築はどうやって掃除しているの?」——今月は掃除の雑学をお届け!

“ゴミ都市”の汚名をそそいだ日本人のきれい好き精神

「日本の空港はゴミが全然落ちていない!」「トイレが清潔!」「車がピカピカ!」——訪日外国人からそんな声をよく聞きます。広い新幹線内を数分で清掃する早ワザの映像がSNSで拡散され、世界中から絶賛されたりもしています。日本人がきれい好きなのは、「けがれ」を忌み嫌い、「みそぎ」によって身辺を清めるという古来の習性に由来するといわれています。平安時代に書かれた『延喜式』にも「清掃」という言葉が数多く見られ、汚物の露出禁止などの罰則を破るとムチ打ちの刑などが科せられていたようです。江戸時代には、「芥改役(あくたあらためやく)」というゴミ処理役を配して不法投棄を厳重に取り締まっていました。そのため、江戸は世界有数の100万人都市だったにもかかわらず非常に清潔で、川の水も飲食に使用できるほど澄んでいたといわれています。

しかし近代以降の急激な過密化により、高度成長期の東京は“ゴミ都市”と呼ばれるほど汚れ、かつての清流も悪臭を放つドブ川に…。そんな東京がゴミ都市の汚名返上に立ち上がるきっかけとなったのは、1964年の東京五輪決定でした。「世界に恥ずかしくないオリンピックを!」というスローガンのもとに美化運動が起き、フタ付きのプラスチック製バケツが一気に普及し、ゴミ収集車が大量投入されました。こうした美化運動が日本人元来のきれい好き精神を覚醒させるひとつの契機となったのです。今日、国際社会で称賛される日本人のきれい好き精神を、ぜひ未来へと引き継いでいきたいですね。

レレレのおじさんのほうきからロボット掃除機まで、掃除用具の今昔

電気がなかった時代、掃除といえば「ほうき(箒)」が主流でした。奈良時代に編纂された『古事記』には、「玉箒(たまははき)」や「帚持(ははきもち)」の名でほうきが登場します。当時のほうきは掃除用具というより、けがれを祓う神聖な祭祀(さいし)用具であり、箒神(ははきがみ)という神さまが宿っていると考えられていました。平安時代になると、年末のすす払いにほうきが使われるようになり、鎌倉時代にはほうきで汚れを掃き清める行為が禅宗の修行の一環として根付いていきました。江戸時代には竹や棕櫚(しゅろ)などの植物を使ったほうきが広まり、明治時代にはパルミラの木の繊維を用いた赤シダのほうきも普及しました。

高度成長期になるとプラスティック製の化繊ほうきが開発されましたが、当時大流行した『天才バカボン』のキャラクター「レレレのおじさん」が愛用していたのは、古き良き竹ぼうきでした。高度成長期の頃は、「白黒テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」が「三種の神器」と呼ばれましたが、掃除機も庶民の憧れの家電でした。現代では「全自動洗濯乾燥機」「食器洗い機」「ロボット掃除機」が「新・三種の神器」と呼ばれています。ロボットが掃除をしてくれるなんて、ひと昔前まではSFマンガの世界にしかあり得ませんでしたが、今後は着実に市場に普及していくと予測されているようです。

ほうき

あの有名建築はどうやって掃除しているの?

オフィスビルの窓やマンションなどの外壁を掃除している人を時々見かけますが、数百メートルもある超高層建築や、個性的なデザインの建築は一体どうやって掃除しているのでしょう?

日本一高い「東京スカイツリー」の場合、地上450mの「天望回廊」に清掃用ゴンドラが格納されており、熟練した作業員がそれに乗って手作業で窓ガラスを磨いているのだとか。作業道具にはヒモを付ける安全対策がとられ、ゴンドラにも万全の落下防止機能が搭載されているそうですが、日本一高い場所で掃除をしている作業員の方には頭が下がりますね。

東京スカイツリー

シドニーオペラハウス

「いかにも掃除しにくそう…」そんな有名建築のひとつであるシドニーの世界遺産「オペラハウス」は、貝殻を模した複雑な構造の屋根に、白と淡いピンクの釉薬がかかったタイルが106万枚近くびっしりと張られています。実は、これらのタイルは汚れが自然に洗い流されるように設計されているのだとか。ただ、それだけではメンテナンスしきれず、竣工から約半世紀の間にタイルの張り替えが継続的に行われているようです。

同じく世界遺産で有名なローマの「トレビの泉」には、世界中の観光客が昼夜問わずコインを投げ続けています。そんなにたくさんのコインが投入されたら、ひざ丈ほどの泉はすぐに埋まってしまいそうですが…。実は毎週月曜の朝、ローマ市の職員が掃除機のような機械とモップで大量のコインとゴミをせっせと回収して清掃しているのだとか。回収したコインは市や慈善団体で使われるそうですが、掃除の手間を考えると、コインを投げるのも考えものですね。