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睡眠の雑学

「『眠』の字に隠された怖~い黒歴史って?」「片目だけで眠る!?——動物たちの睡眠ワザとは?」「『草木も眠る丑三つ時』の真実」——今月は睡眠の雑学をお届け!

「眠」の字に隠された怖~い黒歴史って?

眠りを表す漢字の「睡」と「眠」は、どちらも部首が「目」です。「目」は「人の目」の形の象形文字。「目」という字を横にすると、確かに人の目のように見えますね。「睡」の右側の「垂」は、神様を祭るために固めた土の上に、草木の葉っぱ花が垂れ下がった様子を表した象形文字です。そこから、「目」と「垂」が組み合わさった「睡」は、目の上にまぶたが垂れてきて眠るという意味の漢字がつくられたのです。

では、「眠」はどうでしょう?…実は、「眠」の右側の「民」は、眼を針で突き刺した様子を表した、ちょっと残酷な象形文字です。「民」という漢字は、針で目を突かれて失明した奴隷を意味する字だったのです。そこから、ものごとの道理がよく見えず支配下に置かれる人々を「民」というようになったのだとか。「目」+「民」が合体した「眠」という漢字も、目が見えない状態=目を閉じて眠ることを意味しています。象形文字のもとになった様子を想像すると、怖すぎておちおち眠っていられないですね。

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片目だけで眠る!?——動物たちの睡眠ワザ

近年、目が開いていても脳が部分的に眠る「ローカルスリープ」の研究が脳科学の世界で進んでいます。動物の世界でも、脳を部分的に眠らせている生きものがいます。代表的なのは、カモメやツバメなどの渡り鳥です。島や岩場のない大海原を渡るとき、鳥たちはひたすら飛び続けるしかありません。しかし、片目だけを閉じることで、飛びながらでも脳を半分だけ眠らせることができるのです。これを「片目睡眠(半球睡眠)」といいます。右目を閉じているときは、左脳が眠り、左目を閉じているときは、右脳が眠っています。

イルカも「片目睡眠」を行っています。肺呼吸をしているイルカは、ときどき水面に鼻を出して呼吸する必要があり、水中で両目を閉じて爆睡するわけにはいかないのです。

この片目睡眠を応用して、人間も片目だけつぶると、脳に入る情報を制御できるので、両目を開けているときよりも脳を少し休息させることができるといわれています。忙しくて寝る暇も惜しいという人は、片目睡眠を試してみてはいかがでしょう。

「草木も眠る丑三つ時」の真実

「草木も眠る丑三つ時」というと、怖い話にはつきもののフレーズですが、本当に草木も夜になると眠っているようです。植物科学の専門誌『Frontiers in Plant Science』に発表されたハンガリーの生態研究センターの論文によると、夜間には樹木全体の枝が10センチほど垂れ下がり、夜明け前の数時間は枝が最も低い位置に下がって、夜が明けると徐々に枝が持ち上がり始め、2~3時間で最も高い位置に戻ったそうです。実験にはカバノキが用いられたようですが、草木も眠る丑三つ時には、堅いカバノキも枝を下げて眠るなんて驚きですね。

ネムノキも、その名の通り、夜が明けて空が白んでくると葉が開き、夕方になって暗くなってくると葉が閉じます。こうした植物の葉や花の動きを「就眠運動」といいます。植物にも体内時計があり、昼間は植物を起こす物質が増え、夜は眠らせる物質が増えるのではないかといわれています。ただ、人間社会は夜遅くまで煌々と明るかったりするので、植物たちは眠りを妨げられて迷惑しているかもしれませんね。