養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

色の雑学

「脳は色にダマされる?」「瓶覗色、白殺し、花色…ってどんな色?」「色気をアップするカラーとは?」‐‐今月は「色」にまつわる雑学をお届けします!

脳は色にダマされる?!

私たちは、目に映ったものが真実だと思い込みがちですが、意外とアテになりません。

例えばこの渦巻は何色に見えますか?

脳は色にダマされる?!

「ピンク、オレンジ、薄い青、薄い緑」と答えた人は、不正解です。実は、薄い青と薄い緑に見える色は同一の色です。色の錯視によって、脳がダマされてしまうのです。

色は人間の体感温度や時間感覚にも影響を与えます。例えば、同じ室温の部屋でも、水や氷を連想させる青っぽい寒色系の部屋より、太陽や火を連想させる赤みがかった暖色系の部屋のほうが暖かく感じます。さらに、寒色より暖色の部屋のほうが時間経過が長く感じられます。冬にホームパーティをするなら、赤やオレンジの装飾にすると、ホットなパーティタイムをゆったり満喫できそうですね。

色は人の健康状態にも影響します。イギリスのある工場では、工員の病欠が妙に多く、洗面所の青白い電灯を明るい暖色系の光に変えたら、病欠が減ったそうです。工員たちが鏡を見る度に、「うわ、何て顔色が悪いんだろう?!きっと病気なんだ…」と思い込んでしまったのが原因でした。まさに「病は気から」ですね。

さらに、色は生死にも影響を及ぼします。自殺の名所だったロンドンのテムズ川にかかるブラックフライア橋は、以前はその名の通り真っ黒でしたが、リラックス作用のある緑に塗り替えると自殺者が3分の1に激減したそうです。

最近は、手術室や手術着にもよく緑が使われています。これは医師の緊張緩和はもちろん、赤い血液や内臓をずっと見つめていると、視線を外した時に赤の補色である緑の残像が残って手元が狂うので、それを防ぐためなのだとか。色が人の生理や心理に及ぼす効果を知って、ぜひプラスに利用したいですね。

「瓶覗色」「白殺し」「花色」…ってどんな色?

日本の伝統色独特の和名には、四季の情景や日本古来の文化風習の名残りが息づいており、とても風流です。桜色、藤色、若草色…など、どんな色かすぐに分かるものもありますが、中にはひと癖ある凝った和名も少なくありません。

例えば、「瓶覗色、甕覗色(かめのぞきいろ)」は、藍瓶を覗いてちょっと浸けただけで染まるほど薄い藍染の色を示す和名で、古典落語『紺屋高尾(こうやたかお)』にちなんでいるという説も。『紺屋高尾』は、藍染職人の一途な愛に心動かされた吉原No.1の花魁・高尾太夫が、紺屋に嫁いでくるという純愛噺です。元花魁の高尾が藍瓶にまたがって藍染をする際、客が争って瓶を覗き込んだことから「瓶覗色」になったのだとか。なお、少し藍に染まっただけで白い布が白でなくなるため、「白殺し」という少々物騒な名で呼ばれることもあるようです。

瓶覗色(白殺し) 花色(縹色、花田色) 肌色(薄だいだい、ペールオレンジ)

では、同じく古典落語の「花色木綿」で知られる「花色」とは、どんな色だと思いますか?

花というと、ついピンクっぽい色を想像しがちですが、実は花とはツユクサのこと。つまり「花色」は、「縹色、花田色(はなだいろ)」に由来する青系の色です。

「縹色」と響きの似た「肌色」も日本人になじみ深い和名のひとつですが、人種によって肌の色は異なるため、2000年ころになって絵の具やクレヨンから「肌色」という色名が姿を消しました。かつての「肌色」は、今は「薄だいだい」「ペールオレンジ」などと言い換えられています。お子さんやお孫さんに「肌色」が通じなくても、くれぐれも「そんなことも知らないの?!」と怒らないようにしましょう。

「色気」をアップするカラーとは?

「色気」をアップするカラーとは?

「色気がある」「色っぽい」など、セクシーさや官能性を表現するコトバには、「色」が付いています。古くは、肌や髪の色艶がよいことを意味したようですが、それが転じて恋愛に関することを「色事」「色恋沙汰」といったり、恋愛の情趣が分かる粋人のことを「色好み」と呼ぶようになっていったといわれています。

例えば、平安初期の歌物語『伊勢物語』には、「昔、男、いろごのみなりける女に逢へりけり(超訳:その昔、男は女子力高めのいい女と出逢いました)」という一文が見られます。また、鎌倉末期の随筆『徒然草』には、「色もなく覚え侍りしを(超訳:色気もへったくれもなくイケてないねえ)」という一節が出てきます。

色気を象徴するカラーというと、やはりピンク系が定番といえますが、ピンクは視覚的に女性ホルモンを活性化させる若返りの色といわれています。また、ピンクは男女問わず精神安定に役立つとされています。アメリカの刑務所で行われた実験では、暴力的な人や情緒不安定な人にオレンジがかったピンクを見せると、血圧や脈拍が穏やかになったそうです。

物理学者のニュートンは「色彩は光そのもの」といいましたが、色は視覚だけでなく、皮ふでも感知しています。身に着けるものやインテリアにピンクを取り入れることで、穏やかさや色気をアップできるなら、ぜひ試してみる価値ありですね。