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ネコの不思議なゴロゴロセラピーって? 小さな命を救う「猫バンバン」とは? ネコは増えても、ネコ科動物は絶滅の危機にゃ?! 長生きするとネコマタになる?!——今月はネコにまつわる雑学をお届け!

ネコの不思議なゴロゴロセラピー

ネコは甘えているときや、リラックスしているとき、あるいは母ネコのおっぱいを飲んで満足しているときなどに、ウットリ顔で喉を「ゴロゴロ」鳴らします。英語圏では「purr」、フランス語では「ronron」という擬態語で呼ばれますが、あの不思議な音はどうやって鳴らしているのでしょう?
かつては首の静脈が振動しているといわれていましたが、今は人間の喉ぼとけに当たる喉頭の筋肉が収縮して声帯が鳴っているという説が有力なよう。ただ、真実はいまだベールに包まれたままです。
実は、気持ちよいときだけでなく、ケガをしたときや、恐怖を感じたときなどにも喉をゴロゴロ鳴らすといわれています。これは、心身の苦痛やストレスを緩和するために、脳内麻薬といわれる神経伝達物質エンドルフィンが分泌されることに起因すると見られています。
ゴロゴロ音は20~150ヘルツといわれており、ネコの骨折の治癒力が非常に高いのは、この低周波の影響ではないかともいわれています。フランスの理学療法では、ヒトの骨治療にネコのゴロゴロ音の振動を模した装置を使っている所もあるそうです。骨折したときは、ぜひネコを抱いてお試しを。医学的効果はさておき、ゴロゴロ喉を鳴らしているネコを見ているだけで癒されるのではないでしょうか?

ゴロゴロネコ

小さな命を救う「猫バンバン」とは?

ネコは狭い所が大好きです。空箱や袋や狭いすき間があれば、必ず覗いたり、入ってみたくなるのがネコの習性です。中には明らかに自分の体より小さな箱にむりやり入り込んでいるネコもいますが…。実はネコが狭い所が好きなのは、ネコの祖先である「リビアヤマネコ」の習性が残っているからだそう。小さな穴や木のくぼみに獲物が潜んでいないか覗くように、箱や袋や狭いすき間があると本能的に中を確かめてみたくなるのです。また、狭い場所に身をひそめることで、睡眠中に外敵から身を護った習性から、わざわざ狭い場所に潜り込んで眠ってしまったりするのです。はた目には窮屈そうに見えても、ネコがその狭さを満喫しているときはそっとしておいてあげましょう。
ただし、車のエンジンルームやタイヤのすき間に潜り込んでいるネコは別です。日産自動車は、そんなネコを見つけ出して事故を未然に防ぐために、乗車前にボンネットをバンバン軽く叩いてネコに気付かせるアクション「#猫バンバン」を提唱しています。同社が2016年の猫の日(2月22日)に実施した全国一斉調査では、猫バンバンした際、7人に1人はネコが隠れていたと回答したそう。ぜひ猫バンバンで、小さな命を救いましょう。

ハコネコ1ハコネコ2

ネコは増えても、ネコ科動物は絶滅の危機にゃ?!

ネコブームでペットネコが増える一方、地球上のネコ科動物は絶滅の危機に瀕しています。トラはこの100年で97%も激減しています。原因は自然破壊や密猟といわれています。トラの骨は「虎骨酒(ここつしゅ)」と呼ばれる薬酒の材料にされるため、密かに密漁されているのです。スマトラ島にしか生息していないスマトラトラも、やはり密猟により、現在はわずか400頭しか残っていません。
ロシアの森林(タイガ)に生息するアムールヒョウは、“ネコ科動物の中で最も優雅で美しい”といわれます。しかし、森林伐採や密猟によって2007年にはたった30頭にまで激減してしまいました。絶滅を食い止めるため、WWFの働きかけでロシア政府が「ヒョウの森国立公園」をつくり、2015年には約80頭に回復しましたが、今も絶滅危惧種(レッドリスト)であることに変わりはありません。
“幻の動物”といわれるユキヒョウは、世界で最も高地に生息するネコ科動物です。しかし、地球温暖化や密猟の影響で、その生息地の多くが失われつつあります。ユキヒョウはソチオリンピックのマスコットキャラクターになったのをはじめ、生息地域の紋章にもよく使われていますが、ユキヒョウの気高い姿がそうした意匠上だけの動物になってしまわないように、世界中で環境問題を考えていく必要があります。ネコブームが、ネコ科動物の保護も視野に入れたムーブメントに発展するといいですね

絶滅危機のネコ科動物

長生きするとネコマタになる?!

日本には古くから、ネコは長生きすると、尻尾が二股に分かれた「ネコマタ(猫股、猫又)」になるという言い伝えがあります。鎌倉時代の随筆『徒然草』にも「奥山に、猫またといふものありて、人を食ふなる」という一文がありますが、平安時代から江戸時代に至る過程で、中国の化けネコ伝説もブレンドされながら、ネコにまつわる俗信や逸話がいろいろブレンドされていったようです。そのため、二股になるような長い尻尾のネコより短いネコが好まれ、尻尾の丸い「ジャパニーズボブテイル」が日本に多いのではなないかともいわれています。
ちなみに、地方によってネコマタ化するという年齢に差があり、沖縄では13年、長野や茨城では12年、広島では7年以上生きたネコは尻尾が分かれて飼い主を襲うといわれていたようです。しかし、2015年度のペットフード協会の調査では、ネコの平均寿命は15.75歳で、10年前よりも約3歳寿命が延びています。ネコは10歳でヒトの56歳位、15歳で80歳位に相当しますから、ネコもヒト並みの長寿時代に突入しているとえます。ただ、尻尾が二股に分かれて飼い主を襲ったというニュースはとんとなく、むしろ老いたネコほど飼い主の心を深く理解して癒してくれるといもいわれます。尻尾の長いネコさんも、短いネコさんも、末永くかわいがってあげましょう。

ネコマタ