養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

和食の雑学

握りずしは江戸前のファーストフード?お年玉とはお餅のことだった?!和包丁って30種以上もある?——今月は「和食」にまつわるウンチクを召し上がれ!

鏡餅もお年玉も神様のシンボル?

お正月に欠かせないお餅。古来より、丸餅は太陽を象徴するものでした。稲作民族の日本人にとって、稲を丈夫に育ててくれる太陽は、命の根源である日の神様であり、それをかたどった丸餅には神様の霊力が宿っていると信じられていたのです。お正月に「鏡餅」を飾るのも、丸餅を歳神様にお供えして、その年の豊作と家族の健康を祈願するためです。
お正月の子どもの楽しみである「お年玉」も、実はお金ではなく、本来は小さなお餅でした。お正月にいただく餅には歳神様の霊力が宿っており、それを食べることで1年中健やかでいられると信じられていました。そのため、歳神様の恵みを分け与えるという意味で、お正月に小さな餅を子どもや使用人にわたすお年玉の習慣が根付いたのです。とはいえ、いまの子どもたちに「これが本来のお年玉だよ」といってお餅をあげても、ありがたがられるどころか、ブーイングの嵐になってしまいそうですね…!

握りずしは江戸前のファーストフード?

外国人に圧倒的な人気を誇る和食といえば、すし。トリップアドバイザーが過去1年間の口コミ評価を集計した「海外の人気ジャパニーズレストラン2013」によると、1位のイタリア・ナポリの人気すし店を筆頭に、上位30店の9割は「Sushi」を売りにしているお店でした。

ファーストフード

まさに和食文化のシンボルともいえるクールビューティなすしですが、ルーツはアジア食文化圏の魚肉保存食にあります。これが弥生時代に日本に伝わり、塩漬けの魚と米麹を長時間発酵させる「なれずし」が誕生しました。琵琶湖名物「鮒ずし」や、加賀名物「かぶらずし」、秋田名物「鮎ずし」などは、いずれもなれずしの系統です。
しかし、気の短い江戸っ子は、自然発酵するまで待てず、酢をまぶした魚と米に重石をのせて短期熟成させる「押しずし」を思いつきます。さらに、押す時間も辛抱たまらず、江戸後期には江戸湾で獲れたいきのいい魚を酢飯にのせて握る、江戸前ファーストフードというべき「握りずし」の屋台が登場。それが瞬く間に日本各地に伝播し、いまでは海外にまで広まって「Cool!」と絶賛されているわけです。もっとも海外のすし店では、イチゴがトッピングされた握りや、マグロとリンゴのすしロールなど、珍メニューも少なくないよう。新しもの好きな当時の江戸っ子も、さすがにたまげるかもしれませんね。

「和包丁」は和食と切っても切れないご縁

「ワーオ!サムライのカタナみたいな切れ味!」と海外でも称賛される和包丁。和食文化はこの和包丁と切っても切れない間柄です。和包丁とひとことでいっても、「菜切包丁、鎌型包丁、刺身包丁、薄刃包丁、出刃包丁」などなど、その種類は30を超えます。洋包丁も「牛刀、カービングナイフ、ペティナイフ、パン切ナイフ」など各種あるとはいえ20種程度です。まして中国料理に至っては、身幅の大きな万能包丁1本でほぼ全ての食材を処理してしまいます。
なぜ和包丁は種類が豊富かというと、和食はそれだけ食材に対して繊細であるということです。例えばマグロ包丁、ウナギ包丁、ハモ包丁、フグ包丁、タコ包丁など、魚介によって専用包丁があるのは、細胞を壊してうまみを逃さないためです。また、麺切り、すし切り、豆腐切り、菓子切りのように、切る食材によって専用包丁があるのは、切り口を潰さず独特の食感を守るためです。
このように多彩な和包丁ですが、一般家庭で使われているのは、野菜も魚も肉も1本でさばける文化(三徳)包丁がほとんど。和洋両刀の文化包丁が定着したのは、和食と洋食が混在する日本人の食生活の変化をまさに象徴しているといえるかもしれません。