養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

食欲の雑学

動物の食欲はどのくらい?食欲増進につながる郷土料理は?「別腹」って一体なに?今月は、食欲に関する雑学をお送りいたします。

人間より食欲旺盛なのは、アノ動物

食べたい!と思う気持ちは、人間も動物も同じ。自らの生命を維持するため、起きている時間の大半を食事(餌探し)に費やしている動物も珍しくありません。

たとえば、象。大人になると、1日に200~300kgもの食事をしているといわれています。膨大な量に感じますが、大人の象の体重は5トンにもなるため、体重比でいえば「粗食」の部類。アフリカ象は、植物がそれほど多くない厳しい環境下でも暮らしていけるよう、粗食といえるカラダになっているとのことです。

自らの体重の比率でいえば、象を余裕で上回るのがラッコ。おなかの上で貝を割って食べる、水族館のアイドル的存在といえるラッコですが、実はかなりの大食漢なんです。一日に食べる量は、5kg以上。象と比較すると微々たる量ですが、大人のラッコの体重は、おおよそ30~40kgですから、自らの体重の1/4くらいの量を毎日食べているわけです。60キロの人間でいえば、一日に15kgも食事している計算になります!!さすがにそんな人、いませんよね。

同じ海獣仲間のアザラシも、こんなには食べません。これはひとえに皮下脂肪の量に関与しているともいわれています。ラッコは海獣の中でも皮下脂肪が少ないため、大量に食べることによってエネルギーを保持しているというわけです。皮下脂肪が少ないのに寒い海にいて大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、大量に食べることと、非常に保温性に優れた体毛のおかげで、生命を維持できているんですね。

さらにその上をいく生き物が、モグラ。1日の食事量は、自らの体重の3分の1から半分くらいもの量を食べるといわれています。せわしないほどのスピードで地中を移動しているイメージがありますが、必死に食べ物を探しているんですね。

食欲不振なときに食べたい郷土料理はコレ!

これからの季節、食欲不振の引き金になりうるのが「夏バテ」。夏バテ状態を脱するために、昔から「精がつくもの」を食べるとよい、といわれています。土用のうなぎなどもそうですよね。ただ、うなぎに関しては江戸時代、発明家の平賀源内がうなぎ屋のPR手段として「土用の丑の日にはうなぎに限る!」との宣伝文句を考えたという説がありますので、元から健康を主眼に置いたわけではなさそうです。

うなぎの蒲焼が美味しく感じられるようなら確かに「精がつくもの」としての効果が期待できますが、「こってりしたモノを見たくない!」というレベルの食欲不振なら、ともすると逆効果になってしまうことも。胃腸の弱りからきている食欲不振なら、逆に刺激の強い食事を摂ることでさらに胃腸に負担がかかってしまうこともあります。

そこで思いつくのが「さっぱりした食事」。とりわけ暑い国において、夏の郷土料理としてこれらが親しまれています。代表格といえるのは、宮崎県の郷土料理「冷や汁」です。

すり鉢に味噌とゴマ、アジの干物を焼いてほぐしたものを入れてすりつぶし、ダシ汁を加えます。それを麦飯にかけて、豆腐とキュウリの薄切りを加えて出来上がりです。さっぱりとして、味噌の風味が食欲を掻き立ててくれます。

愛媛県の宇和島地方にも、冷や汁に似た「さつま」なる料理があります。こちらはアジの干物ではなく、マダイの切り身を使うところがポイントです。他にも全国各地に似たような料理があり、元を遡ると鎌倉時代に僧侶が広めた料理だといわれています。

食欲不振の際にもっとも良くないのは、「食べない」こと。痩せるし、好都合だなぁなんて思ってはダメ。いわゆる夏痩せは秋のリバウンドに繋がりやすい傾向もあります。とりあえず、食べられるものを食べることから始めましょう。

食欲がありすぎてお困りの方へ

食べても食べても満腹中枢が「ストップ!」と命令を発しない・・・そんな方もいらっしゃると思います。「デザートは別腹!」といって満腹なのにもかかわらず、食後にこってりしたデザートを食べてしまう方もいるのでは?この別腹現象は、満腹中枢や摂食中枢ではない、感覚中枢の命令によるものといわれています。

ケーキが大好きな人が、食後にケーキを見る。匂いを感じる。そうすると「かつて美味しく食べた時」の経験が記憶としてよみがえり、食欲につながるというわけです。

また、梅干などを見た際に、食べていないにも関わらず唾液が出てくることがよくありますよね。これもかつて食べた経験が発端となり、脳だけにとどまらず、カラダも反応して唾液が出ていることになります。これと同じように、唾液のみならず胃そのものが反応するという説も。満腹の胃がさらなる食物を受け入れるため蠕動(ぜんどう)し、新たなスペースを作ってスタンバイ体制に入るとのこと。これぞまさしく「別腹」ですね。

では、ついつい食べ過ぎてしまう方はどうすればよいのか?大前提なのは、ゆっくり食べることです。急いで大量にかっ込むと、満腹中枢が反応する前に食物が詰め込まれ、結果的に食べ過ぎに陥ってしまいます。

ちなみに特集でも少し触れましたが、「青」は食欲を抑制する色だということで、青色のサングラスをかけて食事するという珍奇なダイエットが以前話題になりました。また、ダイエット目的ではないものの、米国では青色のケチャップも発売されていました。米国には誕生日などに自家製ケーキを作る習慣があり、いろんな着色料を用いてケーキの上にカラフルな絵を描くことも珍しくありません。虹のような7色のレインボーケーキをみたことがありますが、うーむ、やっぱり食欲は湧きませんでしたね。