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  • 【2012年6月号】 カラダの”曲がり角”に要注意!~女は7の倍数、男は8の倍数

カラダの”曲がり角”に要注意!~女は7の倍数、男は8の倍数

年齢に応じて、体のあちこちで感じる“曲がり角”。よく「お肌の曲がり角」といった言い方を耳にしますが、白髪が増えたり、昔はすんなりこなせていた運動が息切れするようになったり、眠りがなんだか浅くなったりと、暮らしのいろいろな場面で“曲がり角”を感じた経験があると思います。ただし、体が変化するのはごく当たり前のこと。東洋医学の教科書ともいえるおよそ二千年前文献『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「女性は7の倍数、男性は8の倍数」の年齢の時に節目を迎え、体に変化が訪れるという記述があります。

『黄帝内経(こうていだいけい)』に基づく人の体の変化

女性

7歳:
歯が生え変わり、髪が長くなる

14歳:
月経がはじまり、子を産めるようになる

21歳:
体が成熟し、背丈も伸びきる

28歳:
筋骨がしっかりし、髪の長さがきわまり、身体が盛んになる

35歳:
顔の色艶にかげりが出て、髪や頬のハリに衰えが現れる

42歳:
顔がやつれ、髪に白いものが混じりはじめる

49歳:
肉体が衰えはじめ、閉経を迎える

男性

8歳:
髪が長くなり、歯が永久歯に生え変わる

16歳:
精通を迎え、子をつくることができるようになる

24歳:
筋骨がしっかりし、背丈も伸びて最も盛んになる

32歳:
筋肉が強壮となり、肌肉が豊かでたくましくなる

40歳:
体力や毛髪の成長にかげりが見えはじめる

48歳:
肉体的に衰えがはじめる。しわや白髪が目立ちはじめる

56歳:
生殖能力が弱まり、体全体の老化が見えはじめる

64歳:
五臓六腑をはじめ身体的に衰え、歯や髪が抜ける

こうした変化が起こる年齢を、ここでは“節目年齢”と呼び、カラダに曲がり角の訪れるタイミングと捉えます。

曲がり角の曲がりかたは、人それぞれです。節目年齢よりも早めに曲がり始める人もいれば、節目年齢を過ぎて曲がる人、曲がったとしても上手に曲がり切る人もいることでしょう。それらを左右するのは、やっぱり日々のケア。体に訪れるさまざまな“曲がり角”をなるべく上手に乗り切るコツをご紹介しましょう。

【30代・40代】“容姿”の曲がり角

鏡の中の自分を見ている時、なんだか今までの自分と少し違う…そんな印象を受けたことはありませんか?「肌にハリがなくなった」「シミやシワが増えた」「白髪が増えてきた」など、至るところで見え始める容姿の衰え。「7の倍数・8の倍数」理論では、女性の「35歳」、男性の「40歳」が、“容姿の曲がり角”となっています。

もちろん、この曲がり角の曲がりかたには個人差があります。その差は、肌や髪のケア、睡眠を含めた日々の過ごし方など、要因は多岐に及んでいますが、管理栄養士で“食(ダイエット)デザイナー”の平野美由紀さんによると、「“老ける”という思い込みの強さも、衰えを招く要因では?」とのこと。

『いま、テレビや雑誌などでさかんに“老ける”ことが過剰にクローズアップされていて、“恐れ”が増している気がしますね。だから、「なんとかしなきゃ!」と、つい気張ってしまう。その思い込みが筋肉を固め、体から柔軟性を奪っていく。そうなると眠りも浅くなってリフレッシュできませんし、血の巡りも悪くなるので、細胞が酸欠状態になって老化が加速してしまいます(平野氏)』

力を入れず、リラックスすること。そして、十分な酸素を取りいれることが“曲がり角”を緩やかに曲がる基本なのだとか。

『酸素の取りいれは、呼吸だけではありません。お水を飲むことでも摂りいれることができます。お水を飲むと排泄もしやすくなりますよね。お肌や体調にも悪影響を及ぼす体内の不要なものを外に出す簡単な方法は、排便・排尿です。また、日本人が昔から食べているこんにゃく、わかめ、寒天、長いも、山いも、里いもなどのネバネバした糖タンパク質が豊富な食品は、体内の水分を保つ力があります。こんにゃくや海藻、茸、いも類は水溶性の食物繊維でもあり、これらを食べている地域の人たちは、つるつる・すべすべな張りのある肌をしている人が実際に多いですね(平野氏)』

「昔ながらの日本人の食生活は、お肌にとって非常に有効」と平野さん。そこで、容姿のお悩み別におすすめの食事を伺って、以下にまとめてみました。

容姿のお悩み別・食生活の心得!!

小じわ&ほうれい線が目立つ
⇒ 季節のものを、温かい調理法で

肌の水分不足によって目立つようになる小じわ対策には、肌に潤いをもたらす“季節の食材”を。春はタケノコに山菜、海藻、夏はトマトやモロヘイヤなどの夏野菜、秋は芋や果物、木の実、冬は大根などの根菜…これらを温かい調理法で食べることがおすすめです。夏は冷たい食事を摂りたくなりがちですが、なるべく冷やしすぎない食事を心がけて。温かい湯気の立っているショウガ紅茶などの飲み物やスープを、時間をかけて取りいれるようにしましょう。よく噛む習慣も、小じわやほうれい線をなくすために有効です。

しみ&そばかすが気になる
⇒ タンパク質とビタミンで細胞再生を

偏ったダイエットで制限してしまいがちな肉や魚、卵や大豆、乳製品をしっかり摂ること。タンパク質をはじめ、亜鉛などのミネラル、ビタミンB群とビタミンCが豊富で、新しい細胞を生み出すためには欠かせません。また、細胞を守ることも大切。そのためには鰻や鮭、カジキなどでビタミンA、ビタミンEを、小松菜やブロッコリー、パプリカ、酸味のあるフルーツでビタミンCを取りいれましょう。

抜け毛やフケが気になる
⇒ サラダ油・コーン油のとりすぎに注意

抜け毛やフケが最近増えてきた、という方は、脂の乗った魚やアマニ油、エゴマ油、クルミなどに含まれる「オメガ-3系」の脂肪酸が不足しているかもしれません。現代の食生活ではサラダ油やコーン油など「オメガ-6系」と呼ばれる油を使うことが多くなりがち。摂取する「オメガ-3系」の油の量に対して「オメガ-6系」の油の量が増えすぎてしまうと、細胞をガードする「細胞膜」がうまく作られず、毛穴の開きや肌のきめの粗さが生じたり、皮膚に炎症が起きやすくなります。

「季節の食材をバランスよく、腹六分目で。続けられない食事制限は、そろそろ辞めにしましょう。また、昨今はマクロビオティックが流行していますよね。その良さを学び、活かすことは素晴らしいことですが、一辺倒になるのはおすすめできません。油と、タンパク質が不足しがちになるからです」と平野さん。“曲がり角”を迎えたと感じている方をはじめ、すべての年代の方に共通してお勧めしたい食生活、ぜひ実践してみましょう。

コラム)朝と夜に!!かんたん美容マッサージ

【朝】法令線を目立たなくするマッサージ

クリーム等をつけて滑る状態にしたうえで、鼻の脇に親指を添え、そこから頬骨の下をまっすぐ横に、耳の下の付け根(耳下腺リンパ)までなぞります。
左右行ってください。

【夜】目の周りのクマやくすみ対策マッサージ

クリーム等をつけて滑る状態にしたうえで、片方の人差し指で、両目のまわり(眼輪筋)を8の字を描くようになぞります。眼の上は眉を、目の下は骨の縁を軽くなぞるようにしましょう。

【50代】“体力”の曲がり角

昔はすんなりこなせた運動ができなくなったり、ちょっとした家事でも疲れを感じるようになるなど、生活の端々で体力の曲がり角を感じやすくなるのは男女ともに50代。身体的には、筋肉の“力”と“量”が低下するのと同時に、肺胞の表面積減少などによって肺機能も低下します。心肺機能が低下することで、体に酸素を効率よくいきわたらせることが難しくなり、階段でしばしば息切れするようになったり、疲れやすくなるだけでなく、生活習慣病にもつながりかねません。

こうした“体力の曲がり角”を上手に曲がるためには、とても当たり前ですが「体を動かすこと」に尽きます。スポーツに興じることだけが、体を動かすことではありません。ふだんの通勤や買い物でも「少しだけ早歩きしてみる」「エスカレーターを使わない」という心がけがあれば、立派な運動になり得ます。加えて、筋力と心肺機能を高めるエクササイズも取りいれてみましょう。おすすめは「ランジ」というエクササイズです。

エクササイズ「ランジ」

両足を肩幅よりやや広めに開いた後、
図のように片足を大きく前に踏み出します。

体の垂直を保ちながらゆっくりとしゃがみます。
前足の膝がつま先より前に出ないように心がけて
90度に曲げ、再び元の姿勢に。

最初は片足づつ10回×2セットを目安にしましょう。「ランジ」は、大臀筋と大腿四頭筋という、体の中でもとりわけ大きな筋肉の部位を鍛えることができます。大きな筋肉を鍛えることで、より効率的に基礎代謝がアップして太りにくい体となり、同時に心肺機能を高めることにもつながります。また、座った姿勢のエクササイズよりも“バランスを取る”ことが要求されますので、高齢者の方にとっても転倒予防トレーニングとして有効です。

次は、体力と食事の関係について。前出の平野美由紀さんは「今の50代は肥満や痩せすぎ等の割合が減っていて、年代別でみても食生活は理想的」と前置きしたうえで、「魚や大豆製品を中心にして、お肉も2日に1食のペースで摂るようにしましょう」とのこと。

「疲れやすい方は、鶏の胸肉を毎日摂ってもよいですよ。魚は、生・煮る・焼く・蒸すなどシンプルな調理法がベターです。肉や魚、大豆製品に含まれるタンパク質は、筋肉づくりに欠かせない成分です。ただ、油の摂り過ぎには注意してくださいね。魚を食べる食事なら、サラダ油を一人につき小さじ一杯程度が目安です」

また、筋肉細胞や血管の老化を抑える効果が期待できる「抗酸化食品」も、体力を維持したい方にとって強い味方となります。運動と食事、両面からケアして“体力の曲がり角”をうまく乗り切りましょう。

「野菜には、自らを酸化から守るための成分が含まれています。また、果物は皮に、ピーナッツは薄皮に、玄米は糠や胚芽に抗酸化成分が豊富に含まれています。要は、あまり加工しないことが抗酸化成分を摂るうえで大切なんです(平野氏)」

プロフィール

平野美由紀(ひらの・みゆき)

(株)食[ダイエット]デザイナーズ主宰。食デザイナー・管理栄養士。「“食”が“人”を“良”くする」をモットーに、幸せになる食のデザインとレシピ(処方)を提案。講演・著書多数。

【60代】“眠り”の曲がり角

健康維持に欠くことのできない“眠り”。しかしながら「若い頃に比べて、眠りが浅くなったような気がする」といった声も、ときおり耳にします。男女とも40代ころから急に減少し始める深い睡眠が、特に60代に差し掛かるとさらに少なくなり、ちょっとした物音で目覚めてしまうことも。睡眠改善インストラクターの鍛治恵(かじ・めぐみ)さんによると「60代以降の睡眠の特徴としては、中途覚醒の急増が挙げられます」とのこと。睡眠を妨げる要因について、まずは身体的なことからお聞きしました。

『たとえば腎機能も加齢とともに変化して、尿を濃縮することができにくくなります。そうすると、夜中に何度か尿意をもよおして目覚めてしまう。また、腰痛などの持病がある方は、痛みによっても睡眠が中断してしまいがちです。服用する薬の影響によって睡眠の質が低下するケースもあります(鍛治氏)』

1日7時間寝ていたとしても、グッスリ眠れた7時間と、中途覚醒を繰り返す7時間とでは、睡眠の“質”が異なってきます。また、若い頃との生活サイクルの違いも、眠りを妨げる要因になるとのこと。

『会社をリタイアしたり、子どもが成長して手がかからなくなることで日中の活動量が減りがちになります。日中に一定の疲れを伴わないと、なかなかぐっすりと眠れません。また、若い頃に睡眠を削って頑張った方ほど、退職後に時間に余裕ができたからたっぷり睡眠時間をとろうとするけれど、加齢現象による睡眠の変化や長年の習慣などから思うように眠れない。眠れないという焦りが悪循環になって、さらに眠りを妨げてしまうこともあります(鍛治氏)』

では、“質”を高めるためにはどうすればよいのか?鍛治さんに、以下のポイントを挙げてもらいました。

ポイント)睡眠の“質”を高める生活習慣

  • 日中を活動的に過ごし、夕方に軽めの運動をする。
  • 昼食後の13時から15時くらいの間に、30分程度の昼寝を習慣的にとる。
  • 夕食後の居眠りはなるべく避ける。
  • 寝る直前に、熱いお風呂に入らない。

上記のうち、「運動」と「お風呂」は、体温を上げる行動です。人間は、体温が下がる過程で眠気を覚えるリズムになっていますが、熱めのお湯だと体温が下がるまでに時間がかかってしまい、眠気の訪れも遅れてしまうというわけです。「それでも熱い湯が好き!」という方は、少々早めに入浴するとよいでしょう。

『眠りは年齢とともに変化するものです。若い頃とはエネルギーの代謝量が違うので、必要とする睡眠時間も違ってきます。そのため「8時間は眠らなければいけない!」などと決めつけないことが大切ですね。日中の活動に支障がなければ、それが自分にとって適切な睡眠時間なんだと考えるようにしましょう(鍛治氏)』

適切な睡眠時間がとれているのに「ぐっすり眠れていない」と感じ、熟睡感が得られないという人も少なくないようですが、若い頃と同じように、気持ちの上では「まだまだ元気!」と思っていても、体は年齢に応じて変化していくもの。その変化に自ら気づき、自分に合った過ごし方、眠り方をみつけていくことが大切なようです。

プロフィール

鍛治 恵(かじ・めぐみ)

睡眠改善インストラクター。ロフテー株式会社にて睡眠文化の調査研究業務に従事後、現在はフリーで睡眠文化研究を企画。立教大学兼任講師。京都大学非常勤講師

【元気人インタビュー】“曲がり角”もなんのその!

今月の特集はいかがでしたか。読者の皆さまの元気な人生へのヒントになれば幸いです。さて、この特集の締めくくりとして、佐藤至弘(さとう・よしひろ)さんにご登場いただきます。佐藤さんは今年72歳。今月の特集でいうところの“節目年齢”ですが、いまなおスポーツに山登りにと、アクティブな人生を謳歌されています。健やかに年齢を重ねるライフスタイルを送る秘訣を、佐藤さんに伺いました。

「いちばん力を入れてきたのは卓球ですね。中学校時代に始めて、一旦辞めていた時期もあったんですが、30代から熱がぶり返してきて、今に至っています」

若かりし頃は海外に卓球遠征した経験もあるほど。各地の卓球大会に出場し続け、ご自宅にはメダルや賞状がズラリと並んでいます。昨年の全日本卓球選手権大会・マスターズ(年代別)では「ローセブンティの部」で全国4位を獲得。機敏な動きはいまだ健在です。

「もう若い人とやっても全日本では勝てませんよ。ただ、年代別の大会に出ると昔からのライバルもいて張り合いがあります。通常のボールより一回り大きい“ラージボール”で卓球を楽しむ年配の方も増えていますよ。ボールが大きくて空気抵抗があるので、通常よりもボールがゆっくり行き来するから体がついていけるんです」

卓球だけでなくマラソンや水泳も楽しみ、近年は水泳1500m、自転車40km、マラソン10kmのショートトライアスロンに出場しているのだとか。一体全体、そのパワフルさはどこからくるんでしょうか?

「やっぱりね、汗をかくことが大好きだし、汗をかいた後に飲む一杯のビールはもっと好き(笑)。それこそが自分の健康法だと思っているんですよ。よく眠れますしね」

今でも地方遠征に赴いた際、仲間たちと飲むひとときが格別とのこと。運動だけでなく、お酒という楽しみや、お仲間との交流も、佐藤さんの健康に一役買っていそうです。気になる食生活は「魚と野菜が中心ですね。毎朝食べるヨーグルトも体にいいのかもしれない。なにしろここ30年くらい、毎朝食べてますからね」とのこと。ちなみに、体に変化を感じたことってありますか?

「それはありますよ。最近、ちょっとムリすると膝が笑うような感覚になるんですよ。ただ、体力がガクンと落ちたな、と感じたことはないかもしれない。一番顕著なのは“脳”かな(笑)。70を超えてから物忘れするようになってね。だから手帳やカレンダーにこまめに予定を書き込んでいますよ。頭の体操として将棋も楽しんでます」

笑いを交えながら気さくに語っていただいた佐藤さんに、最後は「将来の夢」をお伺いしました。

「日本の百名山を制覇したいんですよ。いま、68の山は登りましたから、80歳までに制覇したいなと思っています!」

プロフィール

佐藤 至宏

1940年、山形県酒田市生まれ。地方公務員として勤務していた頃より、日本労働組合総評議会の東京代表として卓球の海外遠征に出場すること多数。