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  • 【2012年1月号】 “食べても太らない”法則 ~GI値ってナンだ?~

“食べても太らない”法則 ~GI値ってナンだ?~

年末年始。とかく食べすぎてしまう季節ですが、食べないわけにもいきませんね。せめて、太りにくい食品を選んで食べたいものですが、さて、どう選べばよいのでしょう? そこで今号の『元気通信』では、食べ物の『GI値』に着目しました(血糖値の上げ下げに関わる大事な数字です!)。カロリーだけでなく、このGI値にも気を付けることが上手なダイエットのポイント。ぜひ覚えておいて、冬太り解消にお役立てください!

カロリーだけでなく“GI値”を意識して!

私たちが日々生活するにあたり、欠くことができない栄養素のひとつが「糖」です。ご飯や麺類などの主食には、多くの炭水化物が含まれています。炭水化物は体の中でブドウ糖に変わり、そのブドウ糖が脳をはじめとした各組織に送られてエネルギーとなります。

ただし、ブドウ糖が効率よく各組織に送られなかったとしたら?

脳にブドウ糖が行き届かず、ボーッとしたり集中力を欠いたり、体は体でだるさを覚えるといった様々な不調が現れていしまいます。そんな状況を避けるべく、活躍している体内のホルモンが「インスリン」と呼ばれるもの。インスリンは、糖を速やかに各組織に送る役を担う、いわば“誘導係”です。食事で炭水化物や糖類を摂ると、血中の糖度、すなわち血糖値が上がります。その段階で、すい臓からインスリンが分泌され、糖を各方面に運ぶと血糖値はゆるやかに下がっていきます。

インスリンの分泌量は、血糖値の上がり具合によって変化します。ドカッと食べたりして血糖値が急激にグンと上がったら、その分、インスリンも多く分泌されることになります。この、糖がたくさんあって“誘導係”が大勢いる状況に体が反応します。どう反応するかというと、

「糖がたくさんあるから、溜めとこう」

溜めこまれた糖は脂肪となって、結果的に“太る”というわけです。また、血糖値が急に上がり、インスリンによって急に下がるということは、すぐにお腹が空いてしまうことにもつながり、結果的に間食を摂り過ぎて太るということも考えられます。

この状況を回避するためには、インスリンを過剰に分泌させないこと。つまりは、「血糖値を急激に上げないこと」が、食べても太りにくい状況を作るポイントとなるわけです。

では一体、どうすればいいか?ここで登場するのが「GI値(グリセミック指数)」という言葉。炭水化物が分解され、糖に変わるまでのスピードを現した数値です。一般的にGI値の低い食品は、血糖値が急激に上がることの抑制効果が期待できる食品といわれています。逆にGI値の高い食品は、血糖値を急に上げてしまうことになります。

以下、各食品のGI値の目安です。標準となるガイドラインはまだ定まっておらず、各食品とも調理法等によってGI値が変化しますので、あくまでも目安として参考にしてください。

食品とGI値

「食べ合わせ」と「食べる順序」もGI値を抑えるコツ

上記の表をご覧いただければわかるように、ひとえに炭水化物といってもGI値には大きな差があります。また、「カロリー」を抑えることを旨とするダイエットでは大敵とみなされることの多いバターや牛乳ですが、GI値の観点からすると比較的優秀な食品ということになります。

ただ、GI値の低い食品ばかり摂っていては、なかなか満足感を得られませんよね。そこで大切となるのが、食品同士の取り合わせ。GI値の高い食品でも、食物繊維を多く含むGI値が低い食品と取り合わせることで、全体のGI値軽減につながる効果が期待できるといわれています。以下、お食事ごとにおすすめの取り合わせをご紹介してみましょう。

【朝食】
ライ麦パン・卵・ヨーグルト・サラダ・りんご

朝からGI値が高い食品を摂ってしまうとインスリンが過剰に分泌されてしまい、お昼になるのをまたずに集中力が切れてしまうことも。GI値の低い食品であれば、ゆっくりと血糖値は上昇し、その後ゆっくりと血糖値が下がり、集中が切れた段階でちょうどお昼どき、となりやすいといえます。パン食であれば、食パンやフランスパンよりもライ麦パンや小麦の全粒粉を使用したパンがおすすめ。ご飯なら、玄米などの雑穀を混ぜた精白米。精白米だけなら、小盛りにして納豆や海苔などGI値の低い食品と合わせて食べましょう。

【昼食】
きつねそば

炭水化物の中で低GI食品なのが、おそばです。山菜そばやわかめそばも低GI値ですが、それでは物足りないという方もいらっしゃるでしょうから、あえてここはきつねそば。油揚げの原料となる大豆もGI値が低い食品です。ちなみに、麺類もご飯も“硬め”のほうが糖の吸収が遅くなり、GI値の急上昇を抑えられる可能性が高くなります。ただ、毎日ざるそばだとさすがに飽きてしまいますから、「なにがなんでも低GI!」と考えずに、時には食べたいものをしっかり食べましょう。

【おやつ】
オレンジゼリー

おやつとして食べる菓子類に含まれる糖分は吸収が早いものが多く、血糖値を一気に上げてしまいがち。そこで比較的GI値が低いゼリーとオレンジの組み合わせをチョイスしました。よく「仕事中にアタマが疲れてきたからチョコを食べる」という方もいて、確かに一時的に血糖値が上がって集中力は増すかもしれませんが、すぐにインスリンによって打ち消され、その場しのぎになってしまうことも多々あります。適量であれば問題ないのですが、くれぐれも食べ過ぎや過度の習慣化は避けるようにしましょう。

【夕食】
ほうれんそうのおひたし・肉豆腐・味噌汁・雑穀入りご飯・焼き魚

ほうれんそうは野菜の中でも低GIを誇ります。血糖値を上げる食べ物とお酢を一緒に摂ると、血糖値上昇を抑える効果が期待できるといわれていますので酢の物もおすすめ。ご飯も精白米だけでなく、食物繊維やミネラルが豊富な雑穀を少々混ぜたものにします。ちなみに、野菜がたくさん食べられる鍋も、血糖値が上がりにくい料理といえます。味噌や豆乳ベースの鍋や、ぽん酢やゆずなどの柑橘類を使った鍋だれ、トマト鍋などがとりわけオススメですよ。

【外食】

基本的に、上記に挙げた低GI値の食品を積極的に注文することをおすすめしますが、食べ合わせも考えたいところ。ハンバーガー店のフライドポテトはかなりGI値が高い食品ですが、せめてセットのドリンクをミルクにするといった工夫をしてみましょう。乳製品との食べ合わせは、GI値を抑える効果が期待できます。もちろん、ウーロン茶などでもOKです。
ファミリーレストランも同様に、「きのこ雑炊」などがおすすめではありますが、がっつりとお肉などを食べたい時もありますよね。その際は海藻や野菜のサラダや魚介類のマリネなどを副菜として摂り、その分、お肉の脂身などを残すよう心がけましょう。
一方、居酒屋に行く機会の多い方もいらっしゃると思います。その際は“とりあえず”の品として、枝豆や酢の物を注文し、それらに箸をつけてから他のものを食べるようにしたいところです。サラダや茄子焼きなどの野菜類、さらに炭水化物をほとんど含まない魚類を中心にしつつ、チーズやお肉もカロリー過多にならない程度に、適度につまむ。揚げ物は極力避けるようにしましょう。

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血糖値を急上昇させない食生活が、糖尿病予防につながる

血糖値を下げる役割を担うインスリンが足りなくなったり、うまく細胞に作用しなくなると、血中の糖分は余剰状態になります。血糖値は上がり、本来糖分を受け取るべき筋肉などには行きわたらない…それがいわゆる糖尿病です。

糖尿病には、すい臓のインスリンを作る細胞が壊れ、インスリンの絶対量が足りない「1型糖尿病」と、インスリンの分泌量が減ったり、働きが悪くなることによって生じる「2型糖尿病」などがあります。前者は先天的なものが多く、後者は食生活や運動不足などからくるケースがほとんどです。日本の場合は、糖尿病患者のうち95%が「2型」といわれています。

平成19年の国民健康・栄養調査では、「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」を合わせると、日本国民のうち2210万人にも上ると推定されています。

では一体、どんなタイプの人が糖尿病になりやすいのか?日本糖尿病学会の専門医である、たけおクリニック(東京都世田谷区)の竹尾浩紀院長にお話を伺ってみました。

「遺伝、それと加齢も大きな要因のひとつです。生活習慣でいえば、肥満の人が必ずしも糖尿病になるわけではありませんが、たとえば相撲の力士の場合ですと全体の3割が糖尿病、3割が予備軍といわれています。よく食べる生活習慣が発症の原因となっている側面は否定できません。運動不足も肥満の原因となりますから、適度に運動することをおすすめします」

遺伝と加齢と生活習慣が複雑に絡み合って、発症の可能性が高まると考えられるようです。
ちなみに今回ご紹介した「糖(炭水化物)」を管理して血糖値の急上昇を避ける食べ方は「糖質制限食(カーボカウント法)」などと呼ばれ、糖尿病で用いられる食事療法のひとつでもあります。

「今から15年ほど前は、いわゆるバランスよく栄養を摂取する“バランス食”が糖尿病治療の現場でも用いられていましたが、欧米で糖質制限食が見い出され、欧米の1型糖尿病患者様の間では特に一般的になっています。糖尿病でない方でも、糖質制限の食事をすると太りにくい・痩せやすいという側面は確かにあります。ただ、糖質制限で痩せた場合、リバウンドしやすいのも事実なんです。ダイエットとして用いるなら、しっかり運動して筋肉をつけて基礎代謝をアップさせるようにしたほうがよいでしょうね」

さらに「生命維持に必要な糖や油を、体が“マズい!”とは認識しないわけで、血糖値が上がりやすい食べ物は、得てして美味しいんですよ。ですから、糖質制限一辺倒ではなく、出来る範囲で取り入れていって“続けられる食事”にすることが大切です」とも仰ってました。

食事の時間が「つまらない時間」になってしまったら、人生の楽しみがひとつなくなってしまうのもまた事実。無理をせず、出来る範囲で、血糖値を意識した食事を採り入れてみませんか?ただし、ダイエットをお望みの向きは、GI値や血糖値を意識するだけではなく、カロリー制限や適度な運動ももちろん大事であることもどうぞお忘れなく──。

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