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今年は行きましたか?早めが肝心!健康診断

メタボ検診って何が分かるの?乳がん検診はどうやって診察するの?元気な毎日を送るうえで大事な健康診断。本誌記者による二つの体験レポートをお送りします。

みなさんにご質問です。最後に健康診断をしたのはいつですか?会社員の方は、定期的に健康診断を受けている方が多くを占めると思いますが、自営業や主婦の方の中には「しばらくやってないなぁ」という方も多いのではないでしょうか。

そんな方々に向けて、各自治体では「特定健康診査(以下、特診)」を行っています。耳慣れない名前かもしれませんが、通称“メタボ検診”といえばご存じの方も多いはず。自治体や検査項目によって価格差はありますが、保険が適用されるため、非常に安く受けられる点が特長です。

そこで今回は、元気通信編集部員が実際に特診に行ってきた様子をレポートします!果たして、どんな結果が出てくるのでしょうか?

※以下のレポートは、東京都世田谷区の場合です。特診の受診を希望される方は、お住まいの自治体のホームページ等でご確認ください。

メタボ検診
生活習慣病のリスクを近所のクリニックで診断。男性だけでなく、女性にもメタボのリスク有り。

編集部員T(39・男性)です。先日、自宅に世田谷区から特診のご案内が郵送されてきました。いわゆるメタボ検診ですが、正直なところ、これまで良い印象はありませんでした。理由は、お腹の肉がだぶつき気味で、太っていることを自覚しているから。自覚している上に、なぜ国から「あなたメタボですよ」というお墨付きをもらう必要があるのか!憤りさえ感じていましたが、今回少し調べてみて、考えを改めました。

メタボ検診の目的は、自覚症状が少ないうちに進行する、糖尿病や脳卒中、心臓病などの「生活習慣病」や、その前段階にあたる「内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)」を早期発見して、改善すること。単に肥満度をチェックするだけではなく、様々な角度から生活習慣病のリスクを測るものです。40代を目前に控え、そろそろ真剣に自分の体と向き合わねば・・・と思い、実際に以下の検診を受けてみることにしました。

特定健康診査(メタボ検診)

40~74歳
500円

B型・C型肝炎ウイルス検診

40歳以上
0円

血清ペプシノゲン検査

40・45・50・55・60歳
0円

特診以外の2つは、任意で同時に受けられるものです。耳慣れない「血清ペプシノゲン検査」とは、血中のペプシノゲンという物質の量などを調べて「萎縮性胃炎」の症状を発見するもの。萎縮性胃炎の人は将来的に胃がんになりやすく、そのリスクを見つけるという検診で、昨今では導入する自治体も増えています。

さて、訪れたのは東京・世田谷区三軒茶屋の「たけおクリニック」。まずは問診で、既往症や生活習慣、健康で気になる点などを話していきます。「どんな些細なことでも構いません」と先生がおっしゃるので、「蚊に刺された跡が昔より消えづらくなった」「飲酒後に胸焼けする機会が増えた」「目が充血しがち」等の症状を告げました。この問診結果によって、基本的な検診項目に加えて胸部レントゲンや眼底検査、心電図などが追加されるシステムです。

問診の後は、採血。血液によって、生活習慣病や動脈硬化の傾向を調べる「脂質検査」、肝臓病やアルコール性肝炎などの疑いを調べる「肝機能検査」、糖尿病の疑いを調べる「血糖検査」がなされるほか、心臓病や痛風、腎臓病などのリスクがわかるとのこと。血液から、実にいろんなことがわかるんですね。

その後、身長、体重、腹囲、血圧、心電図などを測定。正味1時間程度で終わり、レントゲンと眼底検査は別のクリニックで実施することになりました。特診の場合、クリニックに該当する検査機器がない場合は、紹介状を書いてもらって他のクリニックへ行くことになります。他のクリニックで測定した結果は、特診を最初に受けたクリニックに届き、総合的な判断がなされるというわけです。

結果発表!

総合判定は「要指導」でしたが、メタボリックシンドロームか否かの判定は、メタボ確定の「基準該当」ではなく、「予備軍該当」でした。私は「男性が腹囲85センチ以上、女性は90センチ以上でメタボ」だと思っていて、実際に腹囲89センチだったのですが、メタボ確定でないのはなぜ?

「お腹回りはひとつの目安。血液検査などを加味して総合的に判断するのが本来のメタボ検診です。逆にお腹回りは基準値未満だけどメタボという方もいます。このお腹回りの数値については現在も議論がなされていて、今後数値や検診内容が変わってくる可能性もあります」と竹尾先生。いやーよかった!いや、予備軍なのでよくはないですね。

あともうひとつ、血液検査のうち「中性脂肪」だけが保健指導対象にひっかかり、総合判定も「要指導」になりました。しかし、これには理由があります。受診を申込む際に、夕方の検診を希望したため、先生から「本来は検診9時間前から飲食をセーブする必要があるのですが、朝、昼もカンタンに食べても構いませんよ」といわれていました。そのため中性脂肪の数値が上がったというわけです。

「夕方や夜の検診なのに朝から食べないのは辛いですよね。結果、仕事が終わってから受けようと思う人は減ってしまいます。世田谷区の場合、『まず検診を受けてもらうこと』を主眼にしていますので、きちんとした数値は測るものの、お昼を食べた人の場合は加味して総合判断する方針です。高めの数値が出ていますが、さして問題ないでしょう」と先生。皆さんのお住まいの自治体でも、世田谷区同様の方針を取っている可能性もありますので、ぜひ調べてみてはいかがでしょう。

最後に竹尾先生がおっしゃるには、「特診はまだまだ認知度が低い」ということ。「特に、女性の方の受診率が低いですね。生活習慣病のリスクは男性のほうが高いといわれていますが、女性にリスクがないわけではありません。特にお子さんがいる主婦の方の場合、出産前に総ざらい的に健康診断を受けたけれど、子どもが生まれてからは忙しくてご無沙汰しているというケースも多いようですから、ぜひ受けてみてほしい。まず受けて、その結果を判断材料にして『1年ごとに受けよう』『かなり健康だから今の生活を維持して3年ごとに受けよう』などと決めてもよいと思いますよ」とのことでした。自治体にもよりますが、特診はお金もさほどかからず。自治体にもよりますが、特診の費用は一様に安く、リーズナブルに健康状態をチェックするには最適だと思います。「忙しいから」と先送りにせずに、ぜひ受けてみてくださいね。

取材協力

たけおクリニック:http://www.takeo-clinic.com/

乳がん検診
増加の一途を辿る乳がんの罹患率。
「痛そう」なんて言ってる場合じゃない!

編集部員Tさんの撮影担当として同行したカメラマンのM(40・女性)ですが、「女性も特診を受けたほうがいい」というお話を聞いて、さっそく私も受けてみました。そしてもうひとつ、女性にとって大切な検診にも初めてトライしました。そう、乳がん検診です。

明確な原因はわかっていませんが、乳がんを患う女性は年々増加しているそうです。特徴的なのは、30代から増え始め、40歳~50歳代の患者が最も多くなるという点。他のがんに比べて年齢層が低いといえます。また、治療に長期間を要するため、経済的にも大きな打撃を受けてしまいます。

そんな恐ろしい乳がんなのに、今まで検診を受けなかったのはナゼ?自問自答してみましたが、明確な理由はみつかりませんでした。しいていえば「時間がない」「恥ずかしい」「痛そう」ということでしょうか。でも、私のような考えの女性も意外と多いかもしれません。ただ、飲酒習慣のある女性はリスクが高い可能性があるといわれていて、私もかなりのお酒好きなので、これはひとつ受けておいたほうが・・・と思い至りました。

乳がん検診を実施しているクリニック選びは、知人にいろいろと聞いて決めました。男の先生はイヤだなぁと思っていたのですが、知人のオススメは男性の先生が多かったのが意外でしたね。

まずはマンモグラフィ(乳房のレントゲン)についての説明を受けて、いざ検診。半透明のプラスチック製のお弁当箱のようなものが2つ。これがググッと迫ってきて、乳房をギューッと押しつぶします。こうすることでX線の被爆量を抑えることができると同時に、乳房の内部を正確に捉えることができるそうです。ヒンヤリとした感触が伝わり、いざ、ギューッ!あれ?想像していたよりも痛くないワ。「縦つぶし」と「横つぶし」、両方やるのですが、縦のほうが若干痛かったですね。看護婦さんに後で聞いたところ「人にもよりますが、生理前だと少し痛いかもしれません、あと・・・若い方ほどハリがあるので痛いかもしれませんね」とのこと。若い方・・・ちょっとグサリときました(泣)。その後、ポンポンポンと触診を受け、あっという間に終わりました。

後日届いた結果は、陰性。乳がんは、早期発見であれば治る病気といわれています。また、いち早くマンモグラフィを取り入れた欧米では、乳がんの発生率は日本と同様に増加しているものの、死亡率が減少し始めています。まだ受けたことがない、久しく受けていないという女性の方は、ぜひ検診を受けてみてください!

病気になってから医者にかかるよりも、病気を未然に防ぐ意味で、健康診断は有効です。自分は健康だから大丈夫!と思っている方も、ちょっと最近調子が悪いなと感じている方も、ぜひメタボ検診や各種検診を受けてみてくださいね。

ひとくちコラム)健康を損なうことで、家計も苦しくなる!

特診の結果によって、生活習慣病のリスクが高い方から順に「積極的支援」「動機付け支援」「情報提供レベル(今の健康状態を維持する)」と分けられます。(株)日本医療データセンターの試算によると、これらのうち、どこに該当するかによって年間医療費に差が生じるとのこと。40代ですと、もっとも健康な方と「積極的支援」の方を比べると、年間医療費(自己負担3割分)で約2万円ほど差が出ています。健康状態は、家計にも密接に関わってきますので、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。

年間医療費試算(自己負担3割分)

情報提供レベル
30代:20473円
40代:28856円
50代:52587円

動機付け支援レベル
30代:23607円
40代:36817円
50代:62146円

積極的支援レベル
30代:25201円
40代:47790円
50代:71219円

※分析期間:2006年4月~2007年3月
※(株)日本医療データセンター調べ