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健康な歯で“噛む”

歯は、食べ物をすりつぶすためだけのものにあらず!しっかりと“噛む”行為は、身体全体の健康を左右する大切な要素です。咬み合わせチェックや歯磨きのコツなど、“噛む”ことに今回は注目してみました。

お口の「咬み合わせ」、意識したことありますか?

お口のトラブルといってまっさきに思いつくのは、歯のトラブル。虫歯や歯周病などがパッと頭に浮かぶと思いますが、実際のところ「咬み合わせ」を意識している人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで日本顎咬合学会の「咬合スコア」を以下に掲載しました。ぜひチェックしてみてください。

最近一ヶ月についておたずねします。

咬み合わせの位置が定まらないと感じたことはありますか?

口が思うように開かなかったり、あごがスムースに動かないことがありますか?

咬み合わせの高さに不満を感じたことはありますか?

自分の歯並びが気になることがありますか?

歯ぎしりや歯を強くかみしめるくせがありますか?

左右どちらか一方でかむくせがありますか?

あなたはいくつ当てはまりましたか?

ほとんどない … 0点
少しある … 3点
ある … 5点

0~5点

今のところ、咬み合わせにとくに問題はありません。ただし、健康な咬み合わせを保つために、歯科医師による定期的な検査をお勧めします。

6~8点

咬み合わせに問題がある可能性があります。歯科医院を受診されることをお勧めします。

9点以上

咬み合わせに大きな問題が考えられます。一日でも早く歯科医院を受診されることをお勧めします。

このチェック表で、すべての咬み合わせの異常が発見できるわけではありません。また、チェック表で9点以上になった場合でも必ずしも治療が必要とは限りません。治療の内容などは一人ひとり異なります。咬み合わせだけでなく健康なお口を維持するために、定期的に歯科医院を受診しましょう。

■日本顎咬合学会
http://www.ago.ac/

咬み合わせの悪さは、歯周病も招く!!

咬み合わせの悪さは、胃腸などの内臓疾患や頭痛、肩こりなど、さまざまなトラブルを引き起こすといわれています。咬み合わせのバランスが崩れる要因は先天的なものもありますが、柔らかいものばかり食べる習慣がついている人や、頬杖をつく癖がある人も要注意です。歯が抜け落ちた状態でありながら治療せずに放っておいている人、虫歯が痛むからといって左右どちらか一方でばかり噛んでいる人も気をつけましょう。噛む側の筋肉ばかりが発達することにより、身体や全身の骨の歪みにつながることもあります。

さらに咬み合わせの悪さ自体が歯周病の遠因になることも。咬み合わせが悪いと、ある特定の歯にばかり加重がかかることになります。結果、歯の周辺組織にも負担がかかり、歯と歯ぐきに隙間(ポケット)が発生。ここに歯垢がたまりやすくなり、炎症が起きて、ひいては歯周病になってしまう、というわけです。

自分の咬み合わせに対して少しでも不安がある方は、ぜひとも歯科医師に相談してみることをおすすめします。

また、咬み合わせに問題がない人も、普段の暮らしの中で、硬いものを敬遠せずにしっかりと噛みながら食べるようにしましょう。

歯ぐきの色の悪さは歯周病の前触れ!?

一概に歯ぐきの色の悪さと歯周病を結びつけることはできません。腫れを伴っている場合は歯肉炎や歯周病のサインという可能性もありますが、先天的にメラニン色素が沈着し、黒ずんでいる人もいます。また、喫煙をする人は血流の悪さから黒ずみがちになります。その場合、昨今ではレーザーを照射して黒ずみを取る審美的治療も登場していますが、気にならない場合は放っておいても問題ありません。まずは歯科医に相談して、色の悪さの原因を突き止めてもらうようにしましょう。

正しい「歯磨き」を実践して虫歯予防を

虫歯や歯周病の原因となるのはプラーク、すなわち歯垢です。虫歯菌を含んだ歯垢がそのまま放置されていると、やがて石灰化します。これが歯石と呼ばれるもの。歯と歯ぐきの間に歯石がつくと、歯と歯ぐきに隙間(ポケット)が生じ、食べかすなどがつまりやすくなります。これを餌にして虫歯菌は繁殖し、ひいては炎症を起こして歯肉炎の原因となります。

歯肉炎は歯ぐきの炎症にとどまりますが、これが進行して歯を支える歯槽骨や歯根膜にまで炎症が達してしまうと、いわゆる「歯周病」。やがて歯を支えることができなくなり、歯が抜け落ちてしまうことになります。

日常の中で歯垢を掃除する手段としては、皆さんが日々行なっている「歯磨き」があります。歯磨きをする際は、以下のことを心がけてください。

  1. ブラシと歯と歯ぐきの境目に45度の角度であて小刻みに横振動。
  2. 歯石がつきやすい下の前歯の裏、上の奥歯の外側は、より丁寧に。
  3. 歯間や歯と歯ぐきのすきまからかきだすように。
  4. 力のいれすぎは歯の表面のエナメル質えお傷つけるのでNG。
  5. 歯ブラシは毛先が開いてきたら交換の目安。
  6. 歯間ブラシやデンタルフロスも必要に応じて活用
  7. 歯がしみる場合でも、しっかり磨く

「45度の角度であてる」磨き方は、一般的に「バス法」と呼ばれる磨き方です。他にもブラシ部分を歯ぐきから歯の先端に向けて、歯ブラシを回転させるようにして汚れをかきだす「ローリング法」などもあります。自身に合った磨き方を試してみてください。

歯磨きにおいてキーとなるのは、やはり食べかすがたまりやすい歯と歯の間、さらに歯と歯ぐきの境い目です。こうした部分をフォローするものとして、昨今では歯間ブラシやデンタルフロスも市販されています。歯間ブラシのサイズやデンタルフロスは、人それぞれの歯のタイプに適したものを使ったほうがよいので医師に相談してみることをお勧めします。

「歯がしみる場合でも、しっかり磨く」は、いわゆる知覚過敏の状態です。歯は、歯ぐきに近いほどエナメル質が薄いため、神経の通った象牙質に「しみて」しまうことになります。ただし歯と歯ぐきの境い目は、先程も述べたように歯垢がたまる「ポケット」の位置。しっかり磨くことを心がけ、歯科医に相談してみましょう。

入れ歯であっても、噛むことは大切!

平成17年の「20本以上の歯を有する者の割合」によると、60歳~64歳で70.3%。以降、65歳~69歳で57.1%、70歳~74歳で42.4%、75歳~79歳で27.1%と、年齢を重ねるにつれ、20本以上の歯を有する者の割合は減少しています。ただし、昭和62年の調査では60歳~64歳で40.1%でした。つまり、ここ20年くらいで人々の「歯の健康」は随分と向上したことになります。

ただし、歯を喪失した際に利用する「入れ歯」への抵抗はまだまだあるようです。入れ歯が合わないと、食事の際などに外してしまう方もいらっしゃいますが、やはり入れ歯であったとしても「噛む」行為は健康を維持する意味でも有効。噛むことによって高齢者の脳が活性化した、という研究結果もあるほどです。入れ歯が合わない場合は、納得がいくまで歯科医と相談するようにしましょう。