養命酒ライフスタイルマガジン

生薬百選

生薬百選13
シャクヤク

シャクヤクは長野県では5月下旬~6月上旬にかけて開花します。長野県北部の鍋倉高原や南部の豊丘村にはシャクヤクの観光農園があって、開花期には色とりどりのシャクヤクの花が楽しめます。品種の多さは園芸植物の中でもトップクラスである一方、その根は生薬として用いられる薬用植物でもあります。生薬に含まれる成分のペオニフロリンは、鎮痛、鎮静、抗炎症、平滑筋弛緩など様々な薬理作用があり、品質の指標にもなっていますが、品種によって含量の高低がみられます。また薬用に栽培する場合は、根を太らせるために摘蕾という作業を行ないます.生薬の生産には成分を所定以上、安定的に保有する薬用種が使用されます。


養命酒中央研究所 生薬
薬用植物栽培場のシャクヤク

ヒトは古来より種々の植物を薬草として用い、その成分を抽出して薬を作ったりしています。しかしヒトや動物にとっては薬になる成分が、植物自身の体内でどういう働きをしているかについてはほとんど解明されていません。ペオニフロリンは、ちょっと変わったカゴ型の分子構造を持っており、植物体内でどういう働きをしているのかとても興味があるのですが、シャクヤク自身に聞いてもわからないでしょうね。

白鳥 奈緒美(養命酒中央研究所・研究担当)

栽培したなかで好きなシャクヤクの品種といえば、滝の粧(たきのよそおい)でしょうか。自宅では、花よりダンゴで、ブルーベリーやブラックベリー、ハーブなどを栽培しています。