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  • 【2007年5月号】昨日の非は恨悔すべからず。明日の是は慮念すべからず。

昨日の非は恨悔すべからず。
明日の是は慮念すべからず。

杉田 玄白 1733年~1817年

玄白によって芽生えた「日本の西洋医学」

日本の医学に「近代化」をもたらした第一人者、杉田玄白。18歳の頃から漢学や医学を学び始め、21歳で藩医、26歳で日本橋に居を構え、開業医となりました。

医者として多忙を極めていたころ、一冊の本に出会います。その本とは、人間の骨格や内臓の図解書「ターヘル・アナトミア」。 腑分け(解剖)見学をしてみると、すべてがこの本の通りであることに衝撃を受け、見学に立ち会った前野良沢らと翻訳作業に取り組みはじめます。

慣れないオランダ語に悪戦苦闘すること4年、ついに完成したのが「解体新書」でした。この本が、日本の医学に「近代化」をもたらす契機となったのです。

今の時代にも通じる「養生七不可」

その後も真摯に医の道を歩み、後年は精力的に弟子を指導していた玄白。そして古希を迎えるにあたり、健康であるために、7つの「してはいけないこと」を記した「養生七不可(ようじょうななふか」をしたためました。
今回の名言は、そのうちの2つ。昨日の失敗を悔やまないこと、明日のことは過度に心配しないこと、という意味です。残りの5つも紹介しましょう。


 『飲と食とは度を過ごすべからず』
 ⇒食べすぎ、飲みすぎに注意すること。

 『正物に非(あら)ざれば、苟(いやしく)も食すべからず』
 ⇒風変わりなものは食べないこと。

 『事なき時は薬を服すべからず』
 ⇒何事もない時は薬を飲まないこと。

 『壮実を頼んで、房をすごすべからず』
 ⇒元気さにかまけて無理をしないこと。

 『動作を勤めて、安を好むべからず』
 ⇒楽を求めずに、運動するよう心がけること。


この健康法で玄白は、当時としては長寿の極みといえる85歳まで生きました。今の時代でも通じる戒めの数々、皆さんも心がけてみてはいかがでしょう。