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  • 【2006年4月号】勝負でも人生でも、全勝なんてあり得ない。たまたま全勝したら、それはむしろ次に全敗する兆候だと考えるべきだ。

勝負でも人生でも、
全勝なんてあり得ない。
たまたま全勝したら、
それはむしろ次に全敗する
兆候だと考えるべきだ。

阿佐田 哲也 1929年~1989年

3つの顔を持ち、“雀聖”と呼ばれた男

戦後の焼け野原、そこかしこにできた賭場を渡り歩いて生きる一人の少年がいました。“坊や哲”こと、阿佐田哲也。哲也の垣間見た世界は、そのまま彼の文学作品の中に取り込まれました。映画化された『麻雀放 浪記』をはじめとした一連の作品は、ギャンブル物というよりも人間の心理を描いた大衆文学として、現在 もなお読まれています。また、純文学を書く時は本名の「色川武大」を筆名とし、泉鏡花賞、直木賞、川端 康成文学賞等を相次いで受賞。さらに時代小説を書く際は「井上志摩夫」名義をとり、文才を縦横無尽に発揮しました。本来の肩書きは「3つの顔を持つ文筆家」なのでしょうが、敬意を表して「戦後を代表するアウ トロー」と呼びたい一人です。

誰しも「負ける」のは嫌。しかし覚悟も必要

のるかそるか、叡智か運か。ギリギリのせめぎ合いの場で人間を観察し続けてきた阿佐田氏の言葉には深みを感じます。仕事であれプライベートであれ、何をやってもうまくいく・・・。そんな時期は誰しもあるのではないでしょうか(その逆もですけど)。しかし、そんな時期が少し続くと、得てして過信してしまうものです、「自分はすごい」と。その時点で、いずれ必ずやってくる「負け」に対する免疫がなくなり、いざ負けた際にはなぜこのオレが、なぜこのオレが・・・そんな思いがぐるぐる巡って「負け」から学ぶ視点もなくなってしまうのだと思います。勝って兜の緒を締めよ。でも、もし負けても取り乱す必要はありません。「人生 は全勝できない。8勝7敗でよしとせねば」との言葉も遺した阿佐田氏の哲学は、今の時代にマッチしている 気がします。