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  • 【2005年9月号】辛いという字がある。もう少しで、幸せになれそうな字である。

辛いという字がある。
もう少しで、
幸せになれそうな字である。

星野 富弘 1946年~

不慮の事故。口筆で綴る言葉と画の力

詩と絵で人々の心を元気にする星野富弘さんは1970年、中学校の教師としてクラブ活動の指導中、頸髄損傷の事故に遭いました。手足の自由を失い、その後9年間にも及ぶ入院生活を余儀なくされますが、その期間中、病院のベッドの上で口に筆をくわえ、文章や絵に取り組む氏の姿がありました。花の持つ美しさと力を見出し、それらをモチーフにした詩歌と絵画は、日本をはじめ海外で多くの人の心を勇気づけています。無論、事故から間もない頃には悩みに悩んでいたそうですが、しばらくすると平静な心を取り戻し、後に「不自由と不幸は、むすびつきやすい性質をもっていますが、まったく、べつのものだったのです」と綴っています。

“辛”と“幸”は表裏一体

漠然と星野氏のことを伝え聞いたなら「不自由さに対する同情」がいやしくも頭をもたげるかもしれません。しかし、その絵画は色使いや細かな描写がとても繊細。技巧もしっかりしていて、十人が十人「口で描いたとは思えない」と感じるのではないでしょうか。実際、あまり長時間描くことはできないそうですが、当の本人は「その制約が、実はとても良いのだと気づきました」と、歌人である俵万智さんとの対談で語っています。手足が不自由というハンデを乗り越え、長く描けないというハンデをハンデと思わずにメリットと考えた氏は、「辛」という字を自らの力で「幸」として、今もなお鋭意制作中です。