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「あなどるなかれ!大活躍の“かす”たち」「コーヒーかすの賢い二次利用方法」「恒星は燃えかすに始まり、燃えかすに終わる?」——今月は「かす」に関する雑学をお届け!

あなどるなかれ!大活躍の「かす」たち

「かす」というと、一般的には原料から目的の成分を取り除いた後に残る“余りもの”“不要なもの”という意味で使われます。「かす!くず!」などと相手を蔑む俗語として用いられることもありますが、「かす」をあなどってはいけません。

例えば、豆腐を作る際に大豆から豆乳を絞った残りかすは、ヘルシーな「おから」として惣菜などに利用されています。天ぷらを揚げた後にできる天かすは、そばやうどんの「揚げ玉」として欠かせません。ワインを醸造する際に出るブドウの搾りかすは「ポマース」と呼ばれ、イタリアの有名な蒸留酒「グラッパ」の原料になっています。サトウキビの搾りかすは「バガス」と呼ばれ、紙の原料や建築資材、燃料などに有効利用されています。

ちなみに、米のかす・ぬか=糟糠(そうこう)のように質素なものを食べていた貧しい頃から連れ添ってきた伴侶のことを「糟糠の妻」といいます。ぬかは質素ながらも日本人のソウルフードである「ぬか漬け」に欠かせない食材であり、近年は日本伝統のスーパーフードとして注目されている発酵食品のひとつでもあります。ぬかを使いこなす堅実な奥さんを大事にしましょう!

コーヒーかすの賢い二次利用方法

家でハンドドリップしたコーヒーを飲む人が増えているといわれますが、コーヒーを淹れた後にできるコーヒーかすはどうしていますか?もし捨てているなら、これからは捨てずにとっておきましょう。なぜなら、コーヒーかすにはさまざまな使い道があるからです。

まず、コーヒーかすは酸性なので、アルカリ性のアンモニアを中和させる消臭作用があります。トイレの隅にコーヒーかすを入れた容器を置いておけば、アンモニア臭を軽減する即席のニオイ消しとして使えます。水分を含んだコーヒーかすを灰皿に敷き詰めれば、ニオイ消しだけでなく、火消しの役割も果たしてくれますよ。また、抽出したてのコーヒーかすを電子レンジで軽く温めると、コーヒーの香りを含んだ蒸気が出るので、レンジ内の清掃&消臭が手軽にできて一石二鳥です。乾燥させたコーヒーかすを目の細かな布などで包み、冷蔵庫や食器棚、シューズボックスなどに入れれば、消臭やカビ予防効果も期待できます。また、乾燥したコーヒーかすを掃除機に吸わせれば、掃除機の排気臭をコーヒーの香りでマスキングできます。

さらに、アリや蚊、ナメクジなどはコーヒーのニオイが苦手なので、コーヒーかすを庭やプランターにまいておくと、虫よけにも役立ちます。

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恒星は燃えかすに始まり、燃えかすに終わる?

冬の澄み切った夜空には、たくさんの恒星が瞬いていますが、どの恒星もガスと燃えかすでできています。恒星は寿命が近づくと、水素の燃えかすのヘリウムと、ヘリウムの燃えかすの酸素や炭素が内部にどんどん溜まっていきます。すると恒星の中のエネルギーのバランスが崩れて、恒星自体が大きく膨れ上がっていきます。これを「赤色巨星」といいます。恒星が限界まで膨れると、恒星の燃料である水素が表面から漏れ出すこともあります。恒星の内部の核融合などによって燃料が枯渇すると、やがて恒星は寿命を迎えるのです。

恒星の寿命は、恒星が誕生したときの重さによって異なりますが、太陽よりずっと重い恒星の場合、水素を燃やし尽くす前に内部に燃えかすが溜まりすぎて支えられなくなります。限界に達すると、「超新星爆発」という大爆発を起こして一生を終えます。一方、太陽の質量に近い恒星の場合、終末を迎えると「白色矮星(はくしょくわいせい)」と呼ばれる高密度の燃えかすになります。こうした燃えかすから、やがてまた新たな恒星が生まれるのです。果てしない宇宙の中で、恒星は燃えかすに始まり、燃えかすに終わるといえるかもしれません。