養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

健康グッズの雑学
あの健康グッズは今

紅茶キノコにぶら下がり健康器など、昭和の時代にヒットした健康グッズの「今」を探ります!

ブーム再燃の可能性も!?欧米で流通する「紅茶キノコ」

ビン詰めにした茶色の液体、その中に、キノコの傘のような物体が浮かんでいる・・・ちょっと不気味な様相でしたが、確実にヒットを飛ばしたといえるのが「紅茶キノコ」です。紅茶キノコは「Russian “tea mushroom”(ロシアン・ティー・マッシュルーム)」とも呼ばれるように、19世紀末のロシアやウクライナで台頭、20世紀初頭にかけて流行しました。

日本でブームとなったのは昭和40年代も終わりに差し掛かる頃。紅茶キノコを紹介する書籍の登場により、一気に火がつきました。作り方はかんたん、紅茶に砂糖を入れたビン詰め容器に、酢酸などが加わった「菌」を入れて安置しておくだけ。そうすると、キノコの傘のような物体がビンの中で生成されます。このキノコっぽいゲル状の固まりを食す、もしくは培養液を飲むといったことで健康になれる、という触れ込みでした。

そう、特定の企業が製造した商品ではなく、自宅で作ることがメインだったんですね。材料として入手しづらいのは「菌」のみ。その「菌」は「すでに作っている人」からの株分けで入手していた人が多かったといいます。しかしながら、その効果のほどに疑問の声が上がり始め、ブームは1年ももたず終焉を迎えました。取り扱うものが「菌」ゆえ、管理が行き届かないと不衛生なものとなります。それを飲んだりして食あたりを起こした人も多かったのではと思います。

しかし!30年あまりの時を経て、紅茶キノコが一部欧米諸国で一定の人気を得ています。自宅で作る人もいますが、健康を司るドリンクとしてコンビニやスーパーで売られているのが、昭和の日本で流行った点と大きく違うところです。そのドリンク名は、なぜか「KOMBUCHA(コンブチャ)」。いわゆる「昆布茶」ではなく、れっきとした紅茶キノコです。レモンなどの果実風味のものや、しょうが仕立てのもの、微発泡のものなど、味のバリエーションも豊富。アンチエイジングなどに効果が期待できると言われています。

もしかすると近年、日本にも輸入され、紅茶キノコは「再上陸」を果たすかもしれません。

ビタミンAとビタミンDが不足する日本人を支えた「肝油」

さらに懐かしい名前を挙げてみましょう。「肝油」です。サメや鱈、クジラ、アンコウ、エイなどの肝臓から採れる脂をカプセルに入れたり、ゼリー状にしてコーティングした肝油は、戦前から戦後にかけて日本人の栄養不足を影で支えた健康維持食品といっても過言ではありません。学校給食でも栄養補助の一環として出されたこともあったとか。ビタミンAの不足から陥りやすい夜盲症(とり目)、ビタミンDの不足から生じやすい乳幼児の骨格異常(くる病)などの予防として広く一般に普及していました。当初は魚の生臭さから、かなり食べづらかったといいますが、ドロップ状にしたものはほのかに甘く、おやつとして楽しんでいた方も多いのではないでしょうか。肝油は、現在でも販売されています。

「冬の寒さには鍋料理」という感覚は、万国共通のものといえそうですね。

テレビ通販で火がついた「スタイリー」と「ぶら下がり健康器」

現在、誰もが一度は目にしている「テレビショッピング」。健康食品や健康器具など、ヘルスケアに関する商品も多く登場しています。短期間でダイエットを目指す人に向けたエクササイズプログラムDVD「ビリーズブート・キャンプ」のヒットは記憶に新しいところですが、昭和40年代には、その「はしり」といえる健康器具がお茶の間に話題を提供していました。それが健康器具「スタイリー」のCMです。

「スタイリー、スタイリー♪」という耳につきやすい曲が流れる中、女性達が「スタイリー」を実践中。リクライニングチェア状の椅子のようなものに仰向けに寝て、全身の反動で腹筋運動?のような動作を繰り返しています。そこにナレーションで「胸を豊かにするスタイリー。脚を美しくするスタイリー。ウエストを細くするスタイリー」などが入り、最後に外国人の男性が「アメリカデ生レタ、スタイリー。ワタシニ電話シテクダサイ。ドーゾヨロシク」と発するCMでした。そして画面には電話番号が大写しに。今でこそ一般的な手法ですが、当時は画期的そのもの。一説には、最後のセリフを発した男性は「スタイリー」の製造販売メーカーの社長だとか。気になる健康への効果ですが、全身の筋肉の弛緩などからリフレッシュ効果は望めると思いますが、CMで謳っていた「豊胸、美脚、痩身」に効果的かどうかは微妙です。

他にテレビショッピングをきっかけに一世を風靡した健康器具といえば、昭和50年代にヒットを飛ばした「ぶら下がり健康器」。一説によると、ぶら下がり健康法は日本体育大学の塩谷宗雄教授らによって考案されたそうです。ちなみに、塩谷教授が提唱していたのは「脚を地面につけたまま鉄棒などにぶら下がる」こと。一人で腰や背骨を伸ばすことのできる手法です。しかし、実際にリリースされた器具は、空中に浮いた状態でぶら下がることのできるものが大半でした。

現在では改良が進み、付属のベンチシートで腹筋ができたり、滑車で腕の鍛練ができるなど、複数の要素の加わったぶら下がり健康器も数多くリリースされています。ダイエットに関する効果のほどはさほど期待できませんが、全身のストレッチによる肩こりなどへの効果、握力や上腕強化などの効果が期待できるといえそうです。

かつてぶら下がり健康器を購入したけれど、現在は洗濯物を干す器具になっている・・・そんな人は今一度、トライしてみてはいかがでしょう!