養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

身体を守るが、わずらわしい「咳」

これから冬になると、コンコンと咳き込む人が増えてきますよね。咳には風邪だけでなく、さまざまな原因やタイプがあります。昨今は、風邪が治った後も咳が長引く人も増えているとこ。そこで今回は「咳」についての健康雑学をお送りいたします。

咳が出たといって即座に止めてしまうのはNG!

「堰を切る」という言葉があります。大辞林によると「川の流れが堰を壊してあふれでる。また転じて、おさえられていたものが、こらえきれずにどっとあふれでる」とのこと。じつはこの「堰」と、「咳」の語源は同じです。咳もまた、堪えきれずに一気に出てしまうものですよね。ちなみに咳のスピードは時速200キロを超えます。そのくらい「一気に」出てしまう、ゆえにマスクをすることが重要になってくるわけですね。


咳は大きくわけて2つあります。ひとつは痰(たん)を伴う湿性咳。もうひとつが痰を伴わない乾性咳です。双方とも、咳の出る要因は多岐に及びます。花粉やほこり、タバコの煙、ウィルスなど、身体の外からきたものが気道を刺激した際に反射的に出て、これらを体外に出そうとする働きをします。


そんな煩わしい咳ですが、そもそも咳も痰も、良くないものを身体の外に出そうとしてくれているために生じるものです。よって、ちょっと咳こんだだけで即座に止めてしまうのはあまりオススメしません。ちょうど「発熱」と同じです。体内に侵入したウィルスなどを殺菌するために熱が出るわけですから、薬などで急激に熱を下げてしまうことは身体の防御反応を邪魔することになります。


ただし、長く続く咳や夜も眠れないほどの酷い咳には注意が必要です。ちなみに咳をするごとにおよそ2キロカロリーを消費するといわれています。咳を伴った風邪の場合、風邪で身体がだるくなるだけでなく、咳そのものによってもエネルギーが消耗するわけです。その他、睡眠の妨げとなってストレスに繋がったり、胸や腹部の筋肉痛になったりすることもあります。また、湿性咳は慢性気管支炎や気管支喘息などの循環器疾患を、乾性咳は風邪をはじめ急性肺炎や肺結核の初期症状など、いろいろな病気を知らせてくれる「シグナル」でもあります。咳に違和感を覚えたら医師や薬剤師に相談するよう心がけましょう。


それともうひとつ、最近は風邪が治っても、その後しばらく咳が続く人が増えています。「風邪は治ったが3週間以上経っても咳が止まらない。布団に入ると咳が出て眠れない。喘息のようにゼイゼイすることはない。単に咳が出るのみ」。そんな症状の場合は、昨今増え続けている「咳喘息」の可能性がありますので、医師に相談することをおすすめします。


特にこれからの季節は、風邪などで咳こみやすい時期となります。対策としては、まずはこまめに室内を掃除してハウスダストの発生を抑えることが大切。暖房などのフィルター掃除もまめに行なってみましょう。また、加湿器などで湿度を調節することも重要です。ただし、喉が潤うように水分を多く摂りすぎるのは避けましょう。特に布団に横になると咳こむようになる方は、寝る前の一時間前くらいから水分摂取を控えることをおすすめします。


皆さんしっかり予防して、これからやってくる本格的な冬に備えましょう!