養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

実りの秋は「柿」で健康!

実りの秋。とりわけフルーツが美味しい季節です。さらに最近は欧米のフルーツも多く出回っていますよね。それらにちょっと押されがち(?)なフルーツといえば、日本古来の「柿」です。しかしこの「柿」、南国のフルーツのような派手さはありませんが、実に素晴らしい健康パワーを秘めているんです。今回は、柿に関する健康雑学をお送りします。

美肌効果からしゃっくり止めまで!日本が誇る「kaki」パワー

柿は、日本が世界に誇る果物のひとつ。古い文献にもその名を見ることができ、奈良時代にはすでに販売されていたそうです。16世紀になるとポルトガルをはじめ、諸外国によって欧米文化が輸入されはじめます。日本を訪れた外国人はそこではじめて柿を目の当たりにして、苗などを持ち帰り、そこから世界中に広まりました。


柿の学名は「ディオスピロス・カキ」。「神が与えし食べ物・柿」という意味で、「kaki」という日本語がそのまま使われています。現在でも「kaki」と銘打たれて欧米のスーパーに並ぶこともしばしば。「柔道(judo)」「盆栽(bonsai)」と同じように、日本語がそのまま英語になっているパターンですね。ちなみに、ゴルフクラブの素材で、柿の木(パーシモン)を使ったものがありますが、この「パーシモン」は主に北アメリカ産の「アメリカガキ」のことを指します。また、イスラエル産の種なし柿は「シャロンフルーツ」という名前でヨーロッパに出回っています。


現在、日本にはおよそ1000種以上の柿があります。しかしそのうち、700種あまりが「渋柿」です。ご存知の通り、渋柿は「干す」ことによって渋味が抜けます。これは渋味の成分であるタンニンが、干すことによって姿を変え、実の中にある「黒いゴマ」になって渋味を感じなくなるためです。「甘柿」も最初は渋味がありますが、熟す過程で自然とタンニンが変化するため、干さなくても美味しく食べられます。ちなみに干す以外にも、お湯の中に1日あまり漬け込んだり、アルコールをヘタのところにしみこませて密封したり、ドライアイスとともに密封して炭酸ガスに触れさせるといったことでも渋味は抜けます。


渋柿を干して食用にする知恵は素晴らしいですが、いにしえの人々の知恵はそれにとどまりません。熟していない柿を絞った「柿渋」は、塗布することで防水や防腐、補強につながります。そのため漁師が網に塗ったり、和紙に塗って強くしたり、傘に塗って雨を弾いたりすることに利用されていました。


では、柿の健康パワーについて触れてみましょう。昔から「柿が赤くなれば医者が青くなる」といわれ、そのパワーは折り紙つき。まずはなんといってもビタミンCとビタミンAが豊富に含まれている点です。風邪予防、疲労回復、老化予防、美肌効果が期待できます。その他、血圧を下げるタンニンや、便通を促して腸を整える食物繊維なども豊富です。


また、アルコール分解や利尿作用促進によって「二日酔い」にも効果的。二日酔い時の低血糖状態を補う果糖も、柿には多く含まれています。ちなみに、干し柿のまわりについている白い粉は果糖とブドウ糖の結晶で、これを集めた「柿霜(しそう)」は咳・たんに良いとされています。


実だけでなく、その他の部位も優れています。柿蒂(柿のヘタ)を含む漢方薬「柿蒂湯(していとう)」は、胃を温め、「しゃっくり」を止める効果があるとして有名です。そして柿の葉も、最近ではお茶として飲まれる人も増えています。柿の葉もビタミンCが豊富。レモンのおよそ20倍で、しかも熱に強いため、破壊されずに吸収できるメリットがあります。また、葉に含まれるフラボノイドの一種により、鼻炎対策としても効果が期待できます。


ビタミンたっぷりの柿パワーで、清々しい秋の日々を送ってくださいね。