養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

食事、運動・・・朝の習慣と健康

「朝」は1日の暮らしの始まりの時。「よしやるゾ!」と思うこともあれば、「まだ眠い・・」「ああ忙しい!」など、時と場合によってさまざまな感情が芽生えますが、「充実した朝」は「充実した一日」の始まりです。皆さんの朝の習慣は何ですか?今回は朝の習慣、とりわけ朝食と朝の運動についての健康雑学をお送りしましょう。

「fast(絶食)」を「break(中断する)」のが「Breakfast(朝食)」

「朝」を辞書で紐解くと、「夜が明けて間もない時。また、夜明けから正午ごろまでの間」とあります(大辞泉 増補・新装版)。しかし、会社勤めの方にとっての朝といえば、「起きてから仕事を始めるまで」といえるでしょう。人によってその長さは違います。忙しさゆえ、朝食を摂らない人が増えていることもまた事実です。


厚生労働省による「国民健康・栄養調査(平成16年)」によると、朝食を食べない人は20代で男性30%、女性22%に上ります。最近では朝食を摂らない子どもも昔に比べて多く、1~6歳では5.4%、7~14歳では3%となっています。朝食を摂らない理由として挙げられるのは、やはり時間がなくて「忙しい」ということ。しかし「忙しい一日」をこなしていくためには、朝食をしっかりと摂ったほうが好ましいといえるでしょう。


朝食は英語で「Breakfast」。「fast(絶食)」を「break(中断する)」ということからきています。つまり寝ている状態を「fast(絶食)」とみなしているのです。これには水分も含まれます。寝ている間、人間はコップ一杯程度の汗をかくといわれています。血中の水分も不足しているため、血流が悪い状態です。それゆえ朝に「一杯の水」を飲むことで血流が良くなり、臓器の活動を呼び起こすことになるといわれています。


また、朝食を抜くと、昼食や夕食で食べる量がつい増えてしまうことも。間食も増えたりして結局一日のトータルでみると「食べすぎ」になってしまいがちです。また、朝食で炭水化物や糖質を摂らないと脳のエネルギー源となるブドウ糖も不足しがちになります。結果、集中力が散漫になって、昼食までの時間がいまいちシャキッとしない・・・といったことになってしまいます。さらに、エネルギーが不足した体は「省エネ」モードになるため、じっとしている際にもエネルギーを消費させる「基礎代謝」が下がります。その結果、脂肪が分解されにくい体質となって、生活習慣病になりやすくなってしまうともいわれています。


だからといって朝に食べ過ぎるのも考えもの。消化器官はまだ半分眠っていると考えてください。消化吸収しやすい炭水化物を中心に、栄養のバランスを考えて適度な食事を心がけましょう。


次に「朝の運動」について。起きぬけは血糖値も低い状態です。血糖値が低い状況下でエネルギー源となるのは脂肪ですので、早朝の運動はダイエット効果てきめん、ともいえます。ただし、同時に危険もはらんでいます。中性脂肪が分解されて血中で「遊離脂肪酸」が増え、それが心臓突然死などを引き起こす危険性につながるといわれているのです。


また前に述べたとおり、寝ている間は水分が失われていますので、水分補給と血糖値を上げる意味でも、「飲まず食わず」で運動するのではなく、果実やジュースなどを軽く摂ってから行ったほうがよいでしょう。もちろん身体もまだ「半分寝ている」といえるため、激しい運動はご法度です。中国では毎朝、公園に人々が集って太極拳を行っています。呼吸を整えつつゆっくりとした動作で行う太極拳は「朝向き」の運動といえるでしょう。わが国でも朝の運動として「ラジオ体操」がありますよね。昭和3年から始まったラジオ体操は、終戦後に「一斉に実施するさまが軍国主義的」との指摘をGHQから受けて一旦中止となったものの、昭和26年に復活を遂げてから現在に至るまで、脈々と続いています。


とにもかくにも、無理は禁物。血圧が高い方などは早朝の運動は避け、まず朝食を摂って1時間以上経ったのち、しっかりと準備運動をしてから身体を動かすことをお勧めします。「食べる」「動く」を実践して、有意義な朝の時間を過ごしましょう。