養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

太陽の光はカラダに良い?悪い?

地球上のほとんどの生き物が必要とするものといえば空気と水、そして太陽の光です。古来から人類は、太陽を信仰の対象として崇めてきました。そして今では太陽光発電など、人類の未来を照らす光としての意味も持つようになりました。その一方で、オゾン層の破壊によって地表に到達する紫外線の増加など、課題が出始めているのも事実です。今回は、「日光」と人々の健康についての雑学をお送りしましょう。

母子手帳から消えた「日光浴」の文字

太陽信仰は、それこそ世界中にありました。古代エジプトでは太陽神「ラー」を崇め、中米に栄えたアステカ文明でも太陽は「神」そのものを意味し、日本でも「お天道様」の言葉どおり、太陽を崇めてきた歴史があります。


単に信仰の対象にとどまらず、人々の健康を支えるものとしての見方も古くからありました。イタリアには「陽が差し込まぬところに医者がくる」ということわざがあります。古代ローマでは浴室のほかに「日光浴室」も尊ばれていました。現在でもヨーロッパのスパを訪れると、サウナや浴室のほかに「ソラリウム(日光浴室)」を備えた施設に出くわすことがあります。


ただ「ひなたぼっこ」程度ならいず知らず、一定期間に太陽に身体をさらす「日光浴」となると、つきまとうのが「日焼け」です。日本人は、世界の人々と比べると「美白」を尊ぶ民族といえます(昨今では日焼けで顔を真っ黒くした女の子達もいますが・・・)。逆に欧州の人々はあまり気にしないというか、日光浴がお好きなようです。フランスのパリでは、夏になるとセーヌ川沿いの道路を一ヶ月間、車両通行止めにして白い砂浜を敷き、仮設プールを作って市民達が憩います。街中に「海岸」を作ってしまう「パリ・プラージュ」というお祭りです。


もちろん、部屋に閉じこもらずに太陽の光を浴びることは心と身体によい!ということはあながち間違いではありません。しかし、日光の効果に関する検証が進み、オゾン層破壊による紫外線到達量の増加が顕著になるにつれて、「過度の日光浴」がもたらす悪影響も取りざたされるようになりました。


昨今では「光老化」という言葉も出現しています。加齢による老化ではなく日光、つまり紫外線によって皮膚のコラーゲンが破壊され、しみやしわの原因になるというものです。その他、日光は皮膚ガンや白内障を起こす原因にもなるといわれています。1998年、母子手帳からも日光浴を奨励する記述が消えました。


とはいえ、まるでモンスター映画に出てくる吸血鬼ドラキュラのように、日光を少しでも浴びたらすぐさま生死に関わる!ということはありませんし、日光には「恩恵」もありますから、過敏にならないことが大切です。たとえば太陽の光を浴びることで、体内のコレステロールはビタミンDに変わります。ビタミンDといえば、骨や歯を形成するための重要な成分です。また、人間の身体には「体内時計」が備わっており、これが狂うと健康に支障をきたしやすくなります。朝、太陽の光を浴びることで体内時計が調整される、というわけです。その他、殺菌作用の効果も見逃せません。


避けるべきは、直射日光に長時間、肌をさらすこと。紫外線は南へ行くにつれて増えます。さらに1年の中では夏だけでなく、5月頃から紫外線量が増えます。一日のうちでは、正午を中心に前後1時間がもっとも紫外線量が多いといわれています。これらを頭の片隅に入れておき、長時間の日射を余儀なくされるときにはクリームや日傘、長袖のシャツ、帽子などを駆使してケアしましょう。地球誕生以来、さまざまな恩恵をもたらしてくれた太陽です。これからも上手に付き合っていきたいですね。