養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

ホカホカ暖房先進国 日本の暖房雑学

当初の予想を覆し、今年は非常に「寒い冬」となりました。各地で記録的な大雪が降ってライフラインが寸断する地域もあり、なんとも厄介な寒さとなっています。
記録的なのは積雪量だけではありません。電力会社10社全体の消費電力量も、冬季の過去最高記録を更新。寒波による暖房需要が一様に高まっています。
そこで、今回の雑学は「暖房」。古来から、日本だけでなく世界中にさまざまな「暖をとる」方法がありました。
現在は、ハウスダストが舞いあがらず空気が汚れない床暖房など、暖房器具は進化の一途を辿っていますが、負けじと昔の暖房器具も、理に叶ったものが多くありました。さっそく暖房と健康にまつわる雑学をご紹介しましょう。

「暖房先進国」日本。その礎は「頭寒足熱」にあり!?

先日、海外の有名ミュージシャン「マドンナ」が12年ぶりに来日したときのこと。彼女は記者会見で、


「日本のホットな便座が恋しかったわ」


と言い放ちました。いわずもがな、温熱機能つき便座のことです。この普及率、欧米に比べて日本が格段に高いのをご存知ですか?食べ物も文化も好きだけど、ホットな便座に驚き、想像以上の賞賛を与える外国人は意外と多いんです。


その意味でも、日本は「暖房先進国」といえます。四季があり、寒暖の差がある日本では、昔から「涼」と「暖」を取る方法がいくつも模索されてきました。その全てが、合理性にのっとって誕生しています。


たとえば囲炉裏。これは暖を取るだけではなく「調理の場」であるとともに、庶民には高嶺の花だった油やロウソクにかわる「照明器具」としても機能していました。暖を取る専用道具となると、火鉢。「枕草子」にも登場し、平安時代から用いられていたとされています。囲炉裏で薪をくべるより、火鉢で炭を使うほうが煙が出ないという利点もあります。ただ、昔の火鉢は客人用として使われることが多く、身内が温まる際にはご存知「こたつ」が使われていました。かまど等の前に腰掛けを置き、そこに座って温まる行為が元となり、その後に掘った囲炉裏の上にやぐらを組んで温まる「掘りごたつ」が生まれたといわれています。


その後、明治に入ると日本製のストーブが登場します。特に灯油を使うストーブは、いわゆる「煙突」がいらないことから庶民の間に浸透していきました。住宅事情もまた、暖房を左右する大きな要因のひとつです。その後、電気が一般化してさまざまな電気暖房器具が生まれ、現在のエアコンや床暖房につながっていきます。


現在では大きな空間でも、昔に比べて劇的に早く暖まるようになりました。しかしエアコンなどの場合、暖かい空気は上に昇り、下が寒いままという現象を引き起こしがち。いわゆる「底冷え」という状況となります。一方、昔の火鉢や囲炉裏、あんか、ゆたんぽ、そして今も使われるこたつには足や手の先端を暖めるという「理」に叶った特徴がありました。いわゆる「頭寒足熱」という状況となり、血の巡りがよくなって体全体が暖まる仕組みです。


また、暖房を利用する上で気をつけたいのは、やはり室内温度です。外の気温にもよりますが、適温はおよそ20℃前後。あまり暖めすぎると脱衣場やトイレとの温度差が激しくなって、血管が収縮して血圧が上がる「ヒートショック」に陥る原因となります。心筋梗塞や脳梗塞などにつながることもあるため、充分注意してください。


もともと、人間の身体には体温を調節する機能があります。夏の暑さと冬の寒さを適度に肌で感じることにより、本来備わっている治癒能力が維持され、アレルギーの改善などにもつながります。


無理をして風邪を引いてしまっては論外ですが、暖房と「ほどほど」に付き合うことを心がけて、寒い冬も元気に過ごしましょう!