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カンタン薬膳で冷え対策!

まだまだ寒さは続きます。お家でできるカンタン薬膳で、しっかり冬を乗り切りましょう!

薬膳のキホンは、季節に応じた食材の組み合わせ

“薬膳”とは、古来から伝わる中国の医学書をもとにした理論で作る食事のこと。毎日の食事を通じて病気を予防したり、身体を健やかに保つことを目的としています。

ただ、「身体によいのはわかるけど、自分で作るのはなんだか難しそう」と思っている方も多いはず。でもご安心あれ。クコの実や松の実、サンザシなど、生薬としても使われる食材が入っているものが薬膳・・・と思われがちですが、実はそうではありません。これら食材を使わず、単にスーパーで売っているものだけでも“薬膳”は成り立ちます。

薬膳のごく基本的な考え方は、あらゆる食材は身体を温める「熱性・温性」と、身体を冷やす「寒性・涼性」、その中間に属する「平性」にわけられるというもの。よって基本的には、冬には「熱・温」の食材を、夏には「寒・涼」の食材を摂ることが薬膳の世界では求められます。そのときの季節、環境、さらに食べる人の体調を考えることが大切というわけです。

身体を温める食材、冷やす食材については、過去のバックナンバーをご覧ください。

薬膳のおおもとになっている「五行」という、自然界のすべてを5つにわけた考え方があります。上の表は、その一部です。すごく簡単に言ってしまうと、冬においては、塩辛さを伴う「熱・温」の食材を摂るようにする、ということ。逆に、冬の反対に位置する夏の要素「寒・涼」「苦味」を持つもの、たとえばニガウリなどは冬場は避けましょう、ということです。

基本は旬の食材を摂取することですが、、中には例外もあります。たとえば皆さんお馴染みの白菜は、どちらかというと身体にこもった熱を逃がすといわれる「涼・寒」の食材。一見すると冬に食べるのは気が引けますが、風邪などで身体にこもった熱を逃がすといわれているとともに、乾燥しがちな冬場にあって、水分代謝を促してむくみなどを軽減させるとも。そう考えると、冬に白菜を食べるのもうなずけますよね。先に述べたように、薬膳は、食べる人の状態をも考えた食事ということです。

さらに冬の白菜は、あつあつの鍋料理などで体を温める鶏肉などと一緒に食べることが一般的。韓国のキムチに至っては、身体を温める唐辛子がふんだんに使われています。食べ方ひとつで、その場その場の環境に応じた料理に仕上がっているといえるでしょう。

また、薬膳には、食材の「オススメの組み合わせ」と「オススメしない組み合わせ」があります。ひとつの食材が持つ副作用や毒性を、他の食材が打ち消してくれることを「相畏(そうい)」といいますが、これはオススメの組み合わせ。たとえば「お刺身」と、殺菌作用を持つ「ワサビ」「しょうが」などが相畏の関係です。逆にお互いの良さを消してしまう「相悪」は、「キュウリと果物」など。いわゆる日本でいうところの「食べ合わせ」の良し悪しですね。基本的には、同じような性質を持つ食材同士を組み合わせることがおすすめです。

五行 五季 五味
梅雨
塩辛い

冷え対策にも効果的・トッピングで味わう薬膳粥

食材同士を組み合わせやすいといえるのが、お粥です。お粥といえば、「病気のときの食事」という印象がありますが、医食同源・薬食同源を掲げる薬膳の世界では、とても理にかなったメニュー。胃腸にやさしく、またトッピングが自由自在に選べるので、さまざまな栄養素を手軽に補給できます。まさに薬膳の代表選手です。
さらに、お粥に使う白米に、もち米や玄米など身体を温める作用を持つ穀物を混ぜると、冷え対策につながります。ぜひともこの冬、お試しください!

カンタン・美味しい!鶏ガラあんかけの七分粥

白米 1/2合(80g)
500cc
鶏ガラスープの素 小さじ2
片栗粉 大さじ1/2

1. 鍋に研いだ米と水500ccを入れて、強火にかけます。

step01

2. 沸騰したら弱火に切り替え、コトコトと30分弱、煮立てます。

step02

3. 沸騰した鶏ガラスープに、数回にわけて片栗粉を混ぜ入れて、あんを作ります。

step03

4. お椀によそったお粥の上にかければ出来上がり。ここから手軽にトッピングを加えられるのがお粥の良いところ。以下を参考に、お好みのお粥に仕上げてください。

step04

黒ごま
冷えからくる足のむくみに「黒ごま」

白ごま
便秘や肌の乾燥対策に「白ごま」

ヤマノイモ
咳やぜんそくに「ヤマノイモ」

チンゲン菜
冷え対策や整腸に「チンゲン菜」

しょうが
風邪の引きはじめに「しょうが」

にら
腰痛や足の冷えに「にら」

干しエビ
足に感じるだるさに「干しエビ」

かぼちゃ
冷えからくる痛みに「かぼちゃ」

一度使ったきり・・・薬膳食材の冬の活用術

薬膳料理によく使われる漢方でもおなじみの食材。料理本などのレシピ通りに作るために買ったはいいけれど、実はそれっきり使ってない・・・そんな経験をお持ちの方も多いと思います。使い方がよくわからずキッチンの棚の奥に眠っているモノを、普段の料理に積極的に活用してみませんか?普段のメニューにグッと“幅”が出ますよ!!

お腹が冷える人にオススメの
「八角」×「鶏肉」

冷え性、とりわけお腹がよく冷えて痛くなる方にオススメしたい八角は、食欲不振の改善やイライラを抑えたりする作用もあるといわれています。相性のよい食材は鶏肉。鶏肉も身体を温める作用がありますので、相乗効果が期待できます。煮込みや炒め物の際にひとつまみ、香りが強いので少量使うようにしましょう。また、八角は料理に甘みをもたらしてくれるので、普段の料理よりもお砂糖を使う量を若干減らすことがコツです。好みにもよりますが、焼酎のお湯割りに一片浮かべるのも、風味だけでなく見た目も美しくなってオススメですよ。

心を落ち着かせてくれる
「百合根」×「海老」

滋養強壮の生薬としても知られ、心が落ち着かない時や、風邪など熱を伴う病気が治りかけの際に食するとよいといわれている百合根。八角と違い、お腹が冷える人にはあまりお勧めできませんが、「温」の食材と組み合わせた料理にするとよいでしょう。たとえば「海老」。炒め物やサラダなどで美味しさを発揮します。和食で使われることの多い百合根ですが、ほっこりとしてほのかな苦みを持つため、油との相性も意外に良いです。

アンチエイジングに
「クルミ」×「ニンニク」

「胡桃肉」という生薬名でも知られるクルミは、良質なたんぱく質とビタミンを豊富に含んだスグレモノの食材。栗やぎんなんと同様に身体を温める作用を持つといわれる木の実です。食感にアクセントを出すためにサラダにまぶしたりと、なかなか使い勝手は良いものですが、冬はさらに身体を温めるべく、ニンニクと合わせてみてはいかがでしょう。肉料理はもちろん、魚をソテーする際にも効果的。まずニンニクの香りがついてからクルミを入れるようにしましょう。

咳やのどの痛みに
「杏仁」×「松の実」

両方とも生薬としてもお馴染みの食材で、身体を温める作用を持ちます。松の実はともかくとして、杏仁は「杏仁豆腐を一回作るために杏仁霜を買ったけれど、そのまま」という方もいらっしゃるはず。そんな方にオススメなのが杏仁粥です。熱湯で溶かした杏仁粉、小さじ2杯程度をお粥にまぜて、松の実を加えると出来上がり。甘めに仕上がるので、主張の強い食材と合わせるよりも、松の実やきくらげなど食感にアクセントを加えるものと相性が良いといえるでしょう。