養命酒ライフスタイルマガジン

生薬ものしり事典

生薬ものしり辞典 28
お酒のお伴に近年大人気の「ウコン」

カレースパイスに欠かせない生姜の仲間

養命酒商品開発センター
小野洋二 研究員

忘年会や新年会など、お酒を飲むことが多い季節に大人気の生薬、ウコンは、「養命酒」に配合されている14種類の生薬のひとつでもあります。ウコンは東インド原産のショウガ科ウコン属の植物で、着色料や香辛料としても広く流通しています。ショウガ科の植物にはウコン(ターメリック)をはじめ、ショウキョウ(ジンジャー)、ゲットウ、シュクシャ、ショウズク(カルダモン)、ミョウガなど、スパイスや生薬として用いられているものが多数あります。ウコン属の生薬には、アキウコン、ハルウコン(キョウオウ)、ムラサキウコン(ガジュツ)、クスリウコンなどがありますが、今回取り上げるウコンはアキウコンです。


ウコン

ウコンの成分でよく知られている黄色色素のクルクミン類(クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン)は、全成分の1~5%ほど含有されています。また、精油成分(ターメロン類、シネオール、アズレンなど)も同程度含みます。これらの成分やウコンエキスの研究は盛んに行われており、抗炎症や抗酸化、脂肪燃焼など幅広い作用が報告されています。

インドのアーユルヴェーダでは、利胆、健胃、利尿、虫下し、腫れものなどに処方されています。また、漢方では、気の鬱滞解消、瘀血(おけつ)の改善などに利用されています。世界初の全身麻酔手術で知られる江戸時代の外科医・花岡青洲が考案した「中黄膏(ちゅうおうこう)」という軟膏にも、樹皮を利用した生薬キハダと共に配合され、現在でも腫れものや捻挫に用いられます。
ウコンは薬用としてだけでなく、「ウコン染め」として、赤みを帯びた鮮やかな黄色い色素が衣料品に用いられています。抗菌、防虫の効果も期待できることから、ウコン染めの布は産着や風呂敷などにも使われるなど、古くからさまざまな形で利用されてきました。

食用としては、カレーのスパイスに代表される香辛料用が一般的です。近年は、肝臓によいという触れ込みで急速に需要が高まり、その市場規模は300億円とも400億円ともいわれています。米や野菜の栽培時にウコンを添加したり、鶏や豚、牛などの家畜の飼料にウコンを混ぜるなど、その用途は多方面に広がっています。


ウコンといえばカレー

春には「ウコン桜」と呼ばれる黄色い花を咲かせる桜が全国で数十本ほど確認されているそうです。お花見シーズンに、ウコン桜を眺めながら、生薬のウコンを摂ってからお酒をいただくのも一興かもしれません。ただ、ウコンの多量摂取によるいくつかの重篤な障害や禁忌症の指摘もあります。どんなに体にいいといわれるものでも、過剰な摂取はよくありません。食事や運動など生活習慣から健康維持を考えることを基本に、ウコンもお酒もほどほどにして楽しみましょう。

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