養命酒ライフスタイルマガジン

生薬百選

生薬百選66
竜眼肉(リュウガンニク)

今年の夏は天気のはっきりしない天候が続いていましたが、お盆過ぎからは日差しの強い日が続いています。今回はバテ気味な身体をいたわる南国生まれの生薬、竜眼肉(リュウガンニク)を紹介します。

リュウガン(枝先) リュウガン(全草)

竜眼肉はムクロジ科リュウガンの果肉(仮種皮:直径2㎝ほど)を乾燥させたものです。果皮は茶褐色で、果肉部は中央に大きな種子があり、半透明の果肉から種子が少し透けて見える様子を竜の目に見立てて「竜眼」の名が付けられたといわれています。ショ糖、ブドウ糖、有機酸、サポニン等が含まれ、鎮静・健胃・滋養強壮の作用があるとされます。竜眼肉はそのまま食してもドライフルーツの様で甘く美味しいものですが、特有の匂いがあります。中国では生食用として、またジュース・アイスクリームの材料としても利用されるようです。これに似た果実に同じムクロジ科の茘枝(レイシ)があり、唐の玄宗皇帝が楊貴妃の機嫌をとるため数千百里を運ばせた故事がありますが、レイシは果皮が赤く、リュウガンより少し大きい(直径3㎝位)という違いがあります。最近は、スーパーの果物コーナーでよく見かけるようになりました。

竜眼肉(リュウガンニク)

リュウガンは中国南部・台湾・タイなどの地域で生産され、日本では沖縄の一部地域で生産されています。十数年前、中国上海を旅した折、街路樹として植えられ、たわわに実った様子を初めて見ました。また、利用しきれないためか果実が落下して道路に散乱し、酸臭を放っていた記憶があります。夏バテ気味の季節に合わせて熟すありがたい南国由来の生薬の一つです。

石川 俊則 (養命酒中央研究所・フェロー)