免疫力とは、体内で発生した異物を見つけて撃退し、自分の体を守る力のこと。免疫力が低いと、さまざまな病気になりやすいので、免疫力を高めておくことが大切です。
うるおい不足の体は、免疫力を低下させます。鼻やのどは、外気や食べ物と共に侵入する細菌やウイルスを撃退するため、免疫細胞が集まっています。
しかし体が乾燥して鼻やのどの粘膜が乾くと、免疫力がダウンすることに。体が乾きやすくなる、高齢者や更年期の方にも多い症状です。
体にうるおいを与える食材を摂りましょう。野菜なら大根・トマト・カブ・きゅうりなどの水気の多いものを。季節の果物、特にキウイフルーツ・柑橘類・スイカ・桃・梨などの果物は体をうるおしてくれます。
また、血流をよくすることも、このタイプの免疫力アップには効果的。血を増やす「血海」のツボを刺激しましょう。膝のお皿の内側の縁から、指3本分ほど上の位置。親指でグリグリ押しながら痛みを感じるところを探し、そのままもむように刺激して。
体のエネルギーが不足すると、内臓の働きが低下します。腸には免疫細胞がたくさん集まっていることが知られますが、腸の働きの低下により、免疫力もダウンします。
また、内臓の働きが悪いと、必要な栄養が全身に届けられず、さらにエネルギーが不足する悪循環に。エネルギーが低下するのは、加齢や働き過ぎ、睡眠不足や栄養不良などが原因になります。
体のエネルギーを補って高めてくれるのが、大豆・さやえんどうなどの豆類や、玄米・麦などの雑穀。白米に混ぜて炊くだけの雑穀ミックスや、市販の煮豆や水煮の大豆、豆乳などを活用して取り入れて。納豆・味噌・ヨーグルトなどの発酵食品と、しいたけ・まいたけ・なめこ・エリンギなどのキノコ類もエネルギーアップに働きます。
また、ストレッチやヨガなどの軽い動きを毎日の習慣にし、体のめぐりをよくしましょう。エネルギー不足の人は体が冷えやすく、これがさらに免疫力を低下させます。体を温め、冷やさないよう心がけましょう。
ストレスは免疫力を低下させる大きな原因のひとつ。ストレスといえば、仕事や人間関係の悩みと思われがちですが、体を取り巻く環境にもたくさんのストレスがあります。暑さや寒さ、騒音、異臭…、こういった心身にとって不愉快な環境はストレスとなり、免疫力が低下します。
また、結婚・転職・引っ越しといったライフスタイルでの変化もストレス要因です。
ストレスで免疫力が低下している人は、体内のエネルギーの流れが悪くなっています。体内の流れを整えて、心身を安定させるエクササイズがおすすめです。手を横に伸ばして、ゆっくり息を吸いながら頭の上にあげ、ゆっくり息を吐きながら下ろします。これを5~10回くり返すと、エネルギーの流れがよくなり気分がすっきりします。
また、ティータイムには、お茶や紅茶にシソやミントを刻んで加えた、香り高いドリンク類を。体内の滞りを解消し、免疫力を高めてくれます。
免疫力の低下は、病気を引き起こす手前の「未病」の状態。未病の段階から症状を改善することで、より健康な状態へと近づくことができます。
免疫力とは、体を病気から守る力。そのため免疫力が低下している人は、あらゆる病気を引き起こしやすくなるといえます。
始めは疲れが抜けにくい、風邪を引きやすいといった軽い症状ですが、やがては命に関わる病気にもつながります。
免疫力の低下は、未病のサイン。自分の体を見つめ直す機会と考え、まずは生活習慣を見直すことから始めましょう。
東洋医学では、症状を抑えるのではなく、人が本来持つ治癒力を引き出すことで、病気を治そうとします。この病気を治そうとする力が、すなわち免疫力です。免疫力を低下させる要因としては、体の基本となる要素のうちでも「気・血」のトラブルが考えられます。気とは体のエネルギーで、これが不足したり滞ると、体が弱くなり病の原因となるものをはねのけられなくなります。
また、体に栄養をめぐらせる血が不足すると、ダメージから体を回復させることができず、免疫力が低下します。
東洋医学では、「免疫力の低下=未病」のとき、自ら健康になろうとする力「自然治癒力」を高めることを重視しています。東洋医学で用いられる「生薬」は、体を温めたり、体の機能を高めたりと、それぞれの生薬が多くの薬効成分を含んでいるため、複数組み合わせることで効能の幅が広がります。
こうした効果を活用して、複数の生薬の薬効成分をお酒の力で抽出したのが「薬酒」です。血行を改善しながら、新陳代謝を整えることで、体本来の機能を高めていきます。
錠剤やカプセルなどでは味わうことができない快い飲用感があり、食前やおやすみ前など、毎日の生活に取り入れやすいのが特徴です。
中医師。心理学修士。中国で漢方の婦人科専門医師として活躍後、来日。中医学勉強会の講師、病院・薬局へのアドバイザーを務める。東京・目黒の桑楡堂薬局で漢方相談も行っている。著書に『12か月のからだ歳時記』(洋泉社)など多数。
「ストレス」(48.1%)が最も高く、次いで、「睡眠不足」(42.6%)、「疲労」(41.1%)、「運動不足」(31.1%)、「加齢」(27.9%)となりました。ストレスや睡眠不足、疲労蓄積など、心身に負荷がかかる生活を送ることで、免疫力が下がってしまうと考えている人が多いようです。
このページをシェアする