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  • 【2009年1月号】冬は、天地の陽気とぢかくれ、人の血気おさまる時也。...

冬は、天地の陽気とぢかくれ、
人の血気おさまる時也。
心気を閑(しずか)にし、
おさめて保つべし。
あたゝめ過して陽気を発し、
泄(もら)すべからず。

貝原益軒 1630年~1714年

本草学者による「冬の養生」のコツとは?

久しぶりの名言更新です。今回の言葉は、江戸時代の本草学者、貝原益軒(かいばらえきけん)が、自著「養生訓」の中にしたためたものです。「養生訓」は、どのようにすれば人は心身ともに健康に生きられるか、心構えや暮らし方などを記したもの。何しろ江戸時代において84歳の天寿をまっとうした貝原益軒です。「養生訓」には現在でも通用する心得がいくつも書かれており、近年になってにわかに注目を浴びています。

貝原益軒を一言でいえば、「勉強家」といえるでしょう。たくさんの書物を読むだけでなく、自ら試す姿勢で物事に接し、研究にいそしみ、数々の本をしたためました。自宅でも花や野菜を自ら栽培していたそうです。「本草学」とは、植物や動物や鉱物などを、薬として利用するために研究する、中国伝来の学問です。よって彼の書いたものは東洋医学の流れを汲みつつ、独自の見解・検証を加えたものとなっています。

本草学者による「冬の養生」のコツとは?

今回の名言にも、東洋医学の考え方が基本となっています。「陽気」という言葉は「今日はうららかな陽気ですね」などとお天気や「日和」を現す言葉としてよく使われますが、人間の身体にも「陽気=活動するためのエネルギー」があるとするのが東洋の考え。「陽気」は体中を巡っている「経路」を通り、身体を温める役割も担います。

一方、「血気(けっき)」とは、「血=血液」と「気=エネルギー」のことです。「血気」が乱れると、「万病の元」といわれる「冷え」に陥ってしまいます。

そこで貝原益軒は、今回の名言で「自然界の理(ことわり)と同じく、冬は人間も激しい行動は控え、落ち着き払ってすごしなさい。また、身体を温めすぎると“陽気”が発散してしまい、体内に不足して“冷え”に陥ってしまうから気をつけて」と言っています。「養生訓」にはその他にも、冬の心得として「熱湯に浴すべからず」「頭の辺りに火炉をおくべからず。気上る」といった、温めすぎに警鐘を鳴らす言葉がいくつもあります。

孔子が言った「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」という教えは、「冷え」対策にも通じるかもしれませんね。もちろん、冬のお食事も「腹八分目」が大切ですよ!