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  • 【2006年7月号】何をやってもダメという時、そんな時はパスの一手。戦えるカードが来るまで待つのが一番。

何をやってもダメという時、
そんな時はパスの一手。
戦えるカードが来るまで
待つのが一番。

市川 崑 1915年~

好奇心の赴くまま、撮りも撮ったり80余作品

齢八十を越えても現役。それが映画監督の市川崑さんです。市川監督が最初に志したのは画家。その後、ウォルト・ディズニーのアニメで映像に興味を抱き、1933年にJ・Oスタジオ(後の東宝)に入社。1936年の助監督デビューから、さらに12年の下積みを経て、1948年「花ひらく」で監督デビューを果たします。その後「炎上」「鍵」「野火」「おとうと」「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」「ビルマの竪琴」「子猫物語」「どら平太」「かあちゃん」、バラエティに富んだ作品を手掛けています。映画監督としてテレビドラマやCMを初めて手掛けたのも同監督。「自分の色」を固定せず、好奇心の赴くまま自由に活動を続けている、良い意味で稀有な人です。現在は、石坂浩二主演で30年ぶりにリメイクされる映画「犬神家の一族」を制作中(2007年公開予定)。とにかく、精力的です!

なんでもかんでも「勝負!」する必要はない

分野を飛び越えた活動をよしとする、アクティブな同監督。しかし、名言にあるように「パス」をした経験もあります。1969年に黒澤明、木下恵介、小林正樹監督らと「四騎の会」を結成。共同制作するも完成に至らず、3度目の挑戦でやっとなしえたのが、2000年に公開された「どら平太」でした。次作の「かあちゃん」も、亡き妻、和田夏十さんが1958年に脚本を書き上げていたものです。映画は共同作業。そしてお金もかかります。スタッフ、技術、環境などが整って初めて、頭の中にあるイメージが映像化され、それらが整わないうちにやっつけると不完全なもので終わってしまいます。監督のいう「パスの一手」にはそんな意味も込められているのではないでしょうか。そしてあまたの作品には「パスは悪いことではない。平穏に、愚直に、誠実に生きる市井の人々は美しい」といったメッセージが暗に込められています。