養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

汗の雑学

「暑くもないのに冷や汗をかくのはなぜ?」「絵文字の汗は、漫画の汗が原点だった?」「“汗っかき”の犬猫はありえない?」 ——今月は汗にまつわる雑学をご紹介!

暑くもないのに冷や汗をかくのはなぜ?

ジェットコースターに乗ったり、緊迫した試合を観戦したり、大勢の前で話をしたりするとき、手のひらや額、脇の下、足裏など、特定の部位に冷や汗をかくことがあります。これは「精神性発汗」といわれるもので、焦ったり、緊張したり、ビックリしたときにかく汗です。ドキドキハラハラしているときに「手に汗を握る」といったり、焦ってドギマギするときに「汗顔の至り」といいますが、これも精神性発汗の典型例です。暑くもないのに発汗するのは、焦り、緊張、恐怖といった精神的ストレスによって自律神経が乱れ、交感神経が活発になることで発汗しやすくなってしまうからです。

手のひらや足裏に汗をかくのは太古の昔、人類の祖先が木に登ったり、枝から枝に飛び移ったり、獲物を追いかけて大地を走ったりするとき、手のひらや足の裏に汗をかいて滑り止めにしていたことに起因するそうです。また、脇の下に汗をかくのは、人類の祖先が興奮したときに、脇の下に集中しているにおいを出す汗腺からフェロモンを出していた名残りだといわれています。

なお、緊張症で脇や額に冷や汗をかきやすい人は、胸や胴体を圧迫すると汗を抑える効果が期待できるそうです。

イラスト

絵文字の汗は、漫画の汗が原点だった?

メールやSNSでは、よく文字や記号を組み合わせた絵文字が使われますが、「汗」を表す記号には、「; (セミコロン)」が用いられています。たとえば、(^^;) は「まいったな」という恐縮や自虐の苦笑い。(-_-;) は「うーん…」という当惑や羞恥。 (;゜Д゜) は「ええっ、やばい!」という驚きや焦りのイメージです。「ひえ~っ」「ギャーッ」と激しく動揺しているときは、(>< ;;) (*0*;;;)のように、セミコロンが重ねて使われることもあります。

この汗マークの元になっているのは、日本の漫画だといわれています。キャラクターの複雑な感情を表すとき、額や頬によく描かれる「し」の字に似た汗の滴の形が、絵文字の汗マークの元になっているのです。たとえば、人気漫画『ゴルゴ13』の主人公・デューク東郷は、いつもクールなポーカーフェイスですが、危険な局面では、額や頬だけでなく顔の周りにも汗の滴が垂れたり飛んだりしています。それによって、いかに緊迫した状況かがひと目で伝わってきます。

こうした漫画を起源とする絵文字の汗マークからも、単なる喜怒哀楽を超えた複雑な心境が瞬時に読み取れます。日本から発祥した絵文字には、日本人ならではの繊細な心の機微が反映されているのかもしれません。

©タイトル:ブラックジャックによろしく 著作者:佐藤秀峰

©タイトル:ブラックジャックによろしく 著作者:佐藤秀峰
『漫画 on web』http://mangaonweb.com/

“汗っかき”の犬猫はありえない?

暑いとき、犬は「ハッハッ」とあえぎ、猫は地べたにダラーンと四肢を投げ出して寝ています。いずれも暑さでだらけているわけではなく、必死に体温を下げているのです。なぜなら、犬も猫も、手足の肉球以外にほとんど汗腺がないので、人間のように汗をかくことで体温を下げられません。そのため、犬はあえぐことで体内の空気を出し入れして体温を下げ、猫は体温を極力あげないように寝転がっているのです。どんなに暑くても、犬や猫の毛が汗でびしょびしょにならないのも、顔や胴体に汗腺がないからです。

では、犬と猫はどちらが暑さに弱いと思いますか?犬の平熱は38.5~39℃、猫は38℃台です。犬のほうが体温が高いけれど、暑さに弱いといわれています。なぜなら、犬の祖先は寒冷な北方系の狼ですが、猫の祖先はアフリカ系のリビアヤマネコだからです。子犬や子猫とおとなの犬猫を比べると、こどものほうが体温調節できないので、暑いのが苦手です。

暑い日に冷房を切った室内や車の中に犬猫を留守番させると、熱中症になる危険性があるので注意しましょう。

口を開けた犬

ダラーンと寝ている猫