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トップアスリート、鉄人、レジェンド——最強なのは誰?「勝利の女神」のシンボルとは?テクノロジーの進歩で記録はどこまで伸びる?——今月はアスリートを巡る雑学をお届け!

トップアスリート、鉄人、レジェンド——最強なのは誰?

スポーツ選手のことを「アスリート(athlete)」というのが今は主流ですが、日本でアスリートという言葉が広まったのは1990年代後半頃からといわれています。アスリートにはアマチュアもプロもいますが、特に世界レベルの選手は「トップアスリート」といわれます。アスリートとは英語でスポーツを意味する「アスレティックス(athletics)」の競技者のことで、ギリシア語の「競技=アスロン」の派生語「アスレーテース」に由来しています。「トライアスロン(triathlon)」は、水泳・自転車ロードレース・長距離走の3種を1人でこなす耐久競技ですが、これもギリシア語の「3(tri)」と「アスロン(athlon)」の合成語です。トライアスロンを時間内に完走した覇者は「鉄人」「アイアンマン」といわれます。
最近はスポーツの世界で「レジェンド」という言葉もよく使われます。「レジェンド(legend)」は英語で「伝説、伝説的人物」という意味ですが、過去の選手ではなく、伝説として語り継がれるような現役スター選手の称号になっています。レジェンドという言葉がスポーツメディアによく出てくるようになったのは、スキージャンプの葛西紀明選手が通算7回目のオリンピック出場を果たし、41歳にして銀メダルに輝いたのがきっかけといわれています。「45歳、49歳でも、体力と技術はもっと向上すると思っている」とは葛西選手の名言ですが、さすがレジェンドといわれる選手は年齢を超越した超人ですね。

「勝利の女神」のシンボルとは?

勝利の女神

試合に勝ったアスリートには「勝利の女神が微笑んだ」とよくいわれます。「勝利の女神」は、ギリシア神話に登場する「Nike(ニーケー、ニケ)」のことです。ニケは戦の女神アテナの随神、あるいはアテナの化身といわれており、ギリシア・サモトラケ島で発掘された彫像「サモトラケのニケ」(ルーブル美術館所蔵)に象徴されるように、大きな翼を持った女神です。アメリカのスポーツブランド「ナイキ」も女神の名に由来し、有名なロゴマークも女神の翼からイメージしたといわれています。
一方、ローマ神話では勝利の女神を「Victoria(ヴィクトリア)」といい、ラテン語で「勝利」そのものを意味します。ローマの「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂」やベルリンの「戦勝記念塔」のてっぺんには、翼を広げたヴィクトリア像が微笑んでいます。ちなみにサッカーのベッカム選手は手の甲に「Victoria」というタトゥーを入れていますが、これは勝利の女神と同じ名を持つ愛妻への愛の証だそう。
勝利の女神は月桂樹で作った「月桂冠」を被っていますが、ギリシアの古代オリンピックで勝者に冠されていたのは、オリーブの木で作った「オリーブ冠」でした。ただ、古代ギリシアやローマ時代から月桂樹は勝利のシンボルとしてさまざまな意匠に用いられており、スポーツ競技のメダルにも月桂樹の葉がよくデザインされています。月桂樹の葉は料理にも欠かせない存在です。乾燥させた葉は「ローリエ」「ベイリーフ」などと呼ばれ、シチューなどの香りづけに必須のスパイス。受験などの必勝祈願にもおすすめです。

テクノロジーの進歩で記録はどこまで伸びる?

かつて陸上競技男子100m競走には「10秒の壁」という言葉がありました。1968年に10秒の壁が破られましたが、次の9秒台を記録するまでに10年近くを要しました。しかし、ビデオカメラを駆使した科学的研究によって筋力トレーニング方法が改良されたり、スパイクシューズの軽量化やシューズ裏のピンの短小化により、1980年代以降は10秒の壁を破る記録が続出しています。
フルマラソンのタイムも、1960年のローマオリンピックの時はシューズが壊れて裸足で走ったアベベ選手が2時間15分16秒2で優勝しましたが、半世紀以上の間にシューズの進化や科学的なトレーニングの研究が進み、現在では2時間3分台で走る選手が登場。今世紀中に2時間の壁が破られるかもしれません。
水泳競技でもテクノロジーがアスリートの記録に大きな影響を与えています。1936年のベルリンオリンピックの際にはシルクだった水着も、水の抵抗を抑えたナイロンやポリウレタンなどの化学繊維に変化。2008年の北京オリンピックの際に多くの選手が着用して世界記録を多発させて話題になった「レーザー・レーサー」と呼ばれるSpeedo社のハイテク水着は、北島康介選手をはじめとする金メダリストの94%が着用しました。競泳女子の水着のデザインも、1964年の東京オリンピック当時はスカート型でしたが、1980年代には水着の表面積を小さくするためにハイレグ水着になり、2000年代からは水着の表面抵抗を減らすために全身を覆うフルスーツが登場。最近はカジキマグロやサメの肌からもヒントを得て改良が重ねられているようです。