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ウソの雑学

ウソの雑学

エイプリルフールはウソの新年だった?!謎だらけの「ウソ」の語源はどれがホント?! 優しいウソは命をも救う——今月はウソにまつわるウンチクをご紹介!

どれがホント?! 謎に満ちた「ウソ」の語源

「ウソ」という言葉の語源は諸説あり、非常に謎に満ちています。2つの言葉が合体したという説も多く、ざっと挙げてみると——「うつけ」と「空言(そらごと)」の合体説、「浮つく(うわつく)」と「空々しい(そらぞらしい)」の合体説、「薄き」と「失せ」の合体説、「 迂(う=実質にあわない)」と「疎(そ=うとい)」の合体説などなど、どれも一理あるようなないような……。平安時代に作られた日本最古とされる辞典的な書物『和名類聚抄』には、「乎曽(おそ)」という言葉が記載されていることから「おそ」を語源とする説もあるようです。その一方、「嘘」によく似た「嘯く(うそぶく)」が語源という説もあり、悩ましいところです。
「カワウソ」語源説というのもあります。最近は水族館でも人気者のカワウソですが、「川獺(カワウソ)」はキツネやタヌキのように人を化かすという迷信から、古くは「川に棲む獣=カワオソ」と呼ばれていたようで、これが転じて「ウソ」になったというのです。さらに、中国の故事に基づく「白い烏」語源説というのもあります。その昔、中国に玉須(ぎょくす)という鳥屋がおり、「うちの店には白い烏がいる」というので見にいくと、白い烏などどこにもいなかったという逸話から、ありえない大ぼらを「烏素(うそ:素は白の意)」というようになったのだとか。そもそも「ウソ」の語源だけに、どの説もウソのようなホントのような……。

エイプリルフールはウソの新年だった?!

ウソ」の語源もさることながら、「エイプリルフール」の起源もまた定説がありません。一説では、16世紀にフランス王シャルル9世が、それまで3月25日~4月1日としていた新年の始まりを1月1日に繰り上げた暦に変更したことから、民衆が4月1日に「ウソの新年」と称して馬鹿騒ぎを始めたのがきっかけだったといわれています。怒ったフランス王は騒いでいた民衆の子どもまで処刑してしまい、それに反発した人々が、その後も4月1日がめぐってくるたび、「ウソの新年」を祝うようになりました。やがてそれが世界中に広まり、エイプリルフールの起源になったのだとか。
ちなみに、フランスではエイプリルフールを「ポワソン・ダブリル=四月の魚」といいますが、ちょうどこの時季にサバが旬を迎えるからだそう。フランスの子どもたちは、4月1日になると魚の絵を描いた紙を人の背中にこっそり貼るというお茶目ないたずらを楽しみます。

エイプリルフールのイメージ写真

近年では、エイプリルフールに世界各国でメディアがウソのトンデモニュースをまことしやかに報じるエスプリの効いたお遊びが定着し、毎年話題になっています。「ペンギンが空を飛ぶ!(BBC)」「東京タワーが傾く。原因は足元の“おなら”(東京新聞)」などなど、その堂々たるウソっぷりを楽しみにしている人も多いよう。今も昔も、エイプリルフールは庶民のストレス解消に一役買っているといえます。暗いニュースが多い中、エイプリルフールの思わずクスッとさせられるようなウソニュースが人々の心を少しでも明るくできるといいですね。

優しいウソは命をも救う

ウソを題材にした物語は世界各国にありますが、オー・ヘンリーの有名な短編小説『最後の一葉』は、重い病で命の危機にさらされた女性が、ある素晴らしい大ウソによって命拾いしたお話です。主人公のジョンジーは、芸術家が集う古いアパートに暮らす貧しい画家です。彼女は重い肺炎を患ってすっかり生きる気力を失い、医師から「このままでは彼女が助かる可能性は1割しかない」と告げられます。憔悴して無気力になった彼女は、窓外のレンガ壁を這う枯れかけたツタの葉を眺めては、「あの葉が全部落ちてしまったら、私も死んでしまうのよ」と口走るようになります。

最後の一葉イメージ写真

ある嵐の翌朝、とうとう壁のツタは最後の一葉だけになってしまいましたが、嵐は一向にやまず、ジョンジーは「きっともうだめだ」と覚悟を決めます。しかし、次の朝になっても最後の一葉が落ちずに残っているさまを見たジョンジョーはいたく感動し、初めて生きる気力を取り戻します。実は、その最後の一葉は、彼女の部屋の階下で暮らす老画家が、嵐の中で必死に描いた絵の葉っぱでした。老画家はこの葉の絵を描いた後、天に召されてしまいますが、ジョンジーの命を救った最後の一葉の絵は、「いつか傑作を描く!」と豪語しつつ長年酒浸りで絵筆さえ持たなかった偏屈者の老画家のまさに最初で最後の大傑作だったのです。人を絶望させるようなウソはいけませんが、人に希望の光をもたらすウソなら、ぜひついてみたいですね!