養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

血糖値の雑学

織田信長が怒りやすかったのはなぜ?お酒を飲んだ後にラーメンが食べたくなったり、子ども達が“キレる”原因は?血糖値にまつわる雑学です。

飲んだ後ラーメンを食べたくなる理由って?

お酒を飲まれる方は誰しも経験があるとは思いますが、一杯飲んだあとに食べるラーメンの美味しさ!夜中だし、胃がもたれるし、ついさっき飲みながらけっこう食べたにも関わらず、どうしても手が伸びてしまうラーメン…いや、ラーメンに限らず、飲み屋で最後にシメとして食べるおにぎりや雑炊も美味しいですよね。なぜそれほどまでに私達は炭水化物のシメを求めるのか…その感情にも血糖値が関与しています。

アルコールを摂取すると、肝臓はアルコールの解毒・分解作業に入ります。肝臓は糖の貯蔵庫でもあり、寝ている間や食事を摂っていないときに糖を体に分配する役目を担っているのですが、アルコールが入ってくると肝臓は解毒作業に追われてしまい、糖の分配ができなくなってしまいます。食べ物を食べても、通常より体内に行き渡る糖が少なめとなり、低血糖状態になることで「空腹→もっと糖(炭水化物)を摂取せよ」というシグナルが脳に伝わり「ラーメン食べたい…」となるわけです。

また、チョコレートを食べすぎたりした時に眠れなくなった経験はありませんか?ふだんチョコレートを食べ慣れていない人ほど、その傾向があるようです。血糖値が上がり、ハイな状況になるわけですね。しかし、普段からついついチョコレートに手を伸ばしてしまう人や、高いGI値の食事ばかり摂っている人の場合は、まったく逆の「眠くなる」現象が起こり易くなります。血糖値の高い人ほどインスリンが過剰に分泌されやすいため、食べたその時は一気に血糖値が上がりますが、インスリンによって一気に下がって低血糖状態となり、眠くなってしまうというメカニズムがあるのです。


”キレやすい子ども”にしない食生活とは

それまで割と平穏な印象だった人が突然怒り出す…現在はそのような状況を“キレる”と表現することもあります。「堪忍袋の緒が切れる」状態を指すわけですが、これも血糖値と関連があるのではないかとも言われているのをご存じでしょうか。

低血糖状態になると、一般的に空腹感やあくびが生じ、そののち眠気、無気力感、倦怠感を覚えるようになります。しかしながら一方で、「イライラ」を感じやすくなり、キレやすくなるといった一面もあるようです。低血糖状態になると脳が反応し、左右の腎臓の上にある副腎(ふくじん)を刺激します。刺激は副腎内部にある副腎髄質に伝わり、そこからアドレナリンが分泌される仕組みです。アドレナリンは、低くなった血糖値をアップさせる働きがあるのと同時に、交感神経の作用が高まります。体は緊張状態となるわけです。

血糖値が低下すると、まずは眠気や無気力感を覚えますが、さらにどんどん低下すると意識を失ったり、異常行動を起こすようになったり、けいれんや昏睡状態に陥るケースもあります。そのような危険を避けるべく、血糖値が下がってくると体はおのずと緊張状態となり、ひいては“攻撃的な性格”となって現れます。つまりは“キレる”わけです。

近年、“キレやすい子ども”が学級崩壊を引き起こし、社会問題にもなっていますが、この現象には子ども達の食生活の変化がまったく無関係でもないように思われます。

昨今では朝食をまったく摂らずに登校する子どもが昔より増えているそうです。そうなると低血糖状態で登校することになりますから、集中力の低下や無気力、さらには“キレる”行為を引き起こしている可能性もありそうです。

やはり、空腹を抱えたまま登校するのは避けて、ちゃんと朝ご飯を食べておきたいもの。朝食では、食パンやフランスパンよりもライ麦パンや小麦の全粒粉パンなどにしたり、白米のご飯に玄米や雑穀などを混ぜて食べるようにするなど、食品のGI値を低く抑える工夫をしましょう。また、おやつには、比較的GI値が低めなプリンやゼリー、もしくはフルーツをそのまま食べることをおすすめします。

信長はなぜ怒りっぽかったか?

糖尿病は、紀元前15世紀から存在したといわれています。ただ、当時は“糖尿病”との病名はありません。文献に残る症状が、現在の糖尿病の症状と酷似していることから推測されています。

歴史に名を遺した人物の中にも、糖尿病と思しき症状に悩まされたとの記述もみられます。たとえば平安時代に権力を握った藤原道長。当時の知識人であった藤原実資(ふじわらのさねすけ)が漢文でしたためた日記「小右記(おうき/しょうゆうき)」には、道長の晩年の症状が記されています。道長が51歳の頃、外出先で気分が悪くなり、引き返してきたものの途中でしきりに水を欲し、以降もしばしば喉の渇きを訴えるようになったとのこと。糖尿病は俗に“渇きの病”ともいわれるほど、喉の渇きが顕著になります。さらに道長自身の日記にも、晩年に視力が落ちたという記述があり、これも糖尿病の3大合併症のひとつ「糖尿病網膜症」ではないかといわれています。

ちなみに藤原家は道長だけでなく、叔父や長兄なども同じ症状を患っています。当時は、喉が渇く病であることから「飲水病」と呼ばれていたようです。

同じく、飲水病であったとの説がある戦国武将、織田信長。手足がしびれたり、関節の痛みを感じていたらしく、年を追うごとに痛みが増していたそうです。比叡山の焼き討ちに代表されるような残虐な行為を重ねていったことはご存じのとおりですが、3大合併症のひとつ「糖尿病神経障害」からくる癇癪(かんしゃく)、イライラが引き金になったのかもしれません。神経障害を患うと、激しい痛みが体中を襲います。その中で、冷静かつ平和な政治的判断ができなかった可能性も否めません。

海外にも、糖尿病を患ったとされる歴史上の著名人は多くいます。ドイツを代表する音楽家、バッハもそのひとり。若くして頭角を現し、高名な音楽家となったバッハですが、同時に美食家としても知られていました。時には1食2000kcalを超えるほどの食事をすることもある大食漢でもあったといいます。太っている人が必ずしも糖尿になるわけではありませんが、肥満が糖尿病の引き金になることは十分考えられること。美食・大食が祟った可能性も否めません。晩年には藤原道長と同様、目の病を患ってしまいました。