養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

冷え太りの雑学
「涼」の変遷と汗の雑学

「涼」をもたらすさまざまな家電と、人間にもともと備わっている冷却機能「汗」についての雑学をおおくりします。

「冷風機」と「冷風扇」の違いとは?

夏の「冷え」をもたらしやすいと考えられているのが、ガンガンに効いた冷房です。日本において冷房が普及し始めたのは、ちょうど東京オリンピックの頃から。1950年代後半の「三種の神器」といえば洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビの3つでしたが、1960年代半ばには自動車、クーラー、カラーテレビが「新・三種の神器」、もしくはこれら3つ(car、cooler、color television)の頭文字をとって「3c」と呼ばれ、庶民が買い揃えたい3大家電として世の中に浸透していきました。


以来、さまざまな改良がなされ、省エネ化も進み、冷えすぎない工夫が施されたエアコンが多く出回るようになりました。同時に、「冷えすぎ」の悪影響が一般的に浸透してきましたので、たとえば電車における「弱冷房車」の登場など、社会全体で冷房とうまく付き合っていこう、という取組みがみられます。


また、従来の「扇風機」「冷房(エアコン)」の二択ではなく、さまざまな「涼」をもたらす家電が登場しています。いくつかご紹介してみましょう。


冷風機

一般的なクーラーは「室内機」と「室外機」がそれぞれの役割を担っていますが、この2つが一体化したものが冷風機。一体型ゆえ移動させて使うことができますが、部屋全体を冷やすというより部分的に冷やすために用いられるものです。閉め切った部屋で使うと逆に室温が上がってしまうのでドアや窓を開け放したりして、機器の裏側から放出される熱気を逃がす必要があります。最近では除湿機能がついているものや、室外に熱気を逃がす仕組みのものも登場しています。


冷風扇

水は、蒸発する際に周囲の熱を奪う性質があり、これを「気化熱」といいます。熱された道路に水をまいて冷やす「打ち水」もこの原理ですね。冷風扇もまた、この原理を利用して部屋を冷やす機器です。お手軽かつ電気代も少なくて済みますが、水を補給する必要があり、さらに原理上、湿度が高まるといった点もあります。風通しのよい場所で使用するようにしましょう。


窓用エアコン

一般的な家庭用エアコンと仕組みは同じですが、こちらも冷風機同様、室外機と室内機が一体化しています。その名のとおり窓に取り付けるため、壁に穴を開ける必要がなく、一般的に業者に頼まなくとも自分で取り付けられる手軽さが特長。一般的なエアコンよりは小さな部屋向けといえます。


もともと身体に備わっている冷却機能は「汗」

よく効いたクーラーを、さらに過敏なものにしてしまうもの、それが「汗」です。炎天下でたっぷり汗をかいたままクーラーで冷えた室内に入ると、寒さはさらに増しますよね。肌から「冷え」を感じるようになってしまいます。

そもそも「汗」は、体温を調節する冷却機のような役割を担っています。汗をかかないタイプの人は身体の中に水分が滞り、「むくみ」や「冷え」の症状が出やすいといえるでしょう。ただし「汗をかきやすいタイプだから冷え性とは無縁」というわけではありません。手や足に汗をかきやすいけれど冷えを感じるタイプの人もいます。

汗が分泌されるのは汗腺からです。人間の身体には200万~500万もの汗腺があります。この数は生まれてから3歳までの環境に左右されるといわれ、熱帯地方では数が多く、寒冷地方では数が少なくなります。ただ、冷房のきいた室内など、汗をかかない環境ばかりで過ごしていると、「休業」業態になってしまう汗腺が増えていきます。その分、「開店」している汗腺に負荷がかかり、効率よく汗をかくことができなくなり、代謝が滞りがちになってしまうというわけです。

そして「汗さえかけば痩せる」というのも迷信のひとつ。サウナに入ったり、炎天下で汗をかいたりすれば、一時的に水分が放出された分だけ体重は落ちます。ただしそれは、体内で栄養がエネルギーに変わって生まれた「熱」で汗をかいているわけではないのでカロリー消費とはなんら関係がありません。

一方「太っている人は汗かき」ということ、これはある意味で当たっています。皮下脂肪が断熱材のような機能を果たすため、体内に熱がこもりやすい。それゆえ身体を冷却させるため、より多くの汗をかく、というわけです。

また、汗をかきすぎれば「多汗症」、汗をかかないと「起立性調節障害」といった自律神経失調症に陥る可能性もあるんです。起立性調節障害は立ちくらみやめまいを誘発し、食欲不振やだるさ、頭痛などの症状を伴います。

なるべく身体を自然の状態で維持するため、程よく汗をかく夏を過ごすよう、心がけてみてください。