養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

世界のあったか料理

「冷え」は東洋だけのもの?いえいえ、食文化を通して世界をみてみると、「冷え」は万国共通なのでは・・・と思えてきます。そんな「冷え」と「世界」と「食」の雑学をお送りしましょう。

西洋に「冷え」は無い!?でも「湯たんぽ」は大人気

辛い「冷え」ではありますが、この「冷え」とは東洋医学特有の概念であること、ご存知ですか?

西洋医学にとって「冷え」とは、あくまでもその人の「体質」であったり「一種の循環不全」とされ、いわゆる「病気」とはみなされません。一方、東洋医学は、体内の「気(エネルギー)」「血(血液)」「水(体液)」のバランスが崩れたときに「病気」になる、という考え方。そのため、ふだんの食生活や暮らしぶりが「病気になるか否か」に大きく関係しているとみなされ、「冷え」は病気に向かっていく段階、つまり「未病」状態といわれています。「冷え」のケアについては、西洋よりも東洋、ひいては漢方医学に一日の長があるといえるでしょう。

では、だからといって西洋の人々に「冷え性の人」はいないのか?一説には、東洋人の体質に比べて西洋人は「冷え」の耐性があるともいわれていますが、冷え性に悩む方もたくさんいます。そもそも、日本と比べてヨーロッパの緯度は高く、南フランスのマルセイユやイタリアのミラノと、日本の札幌は同じくらいの緯度に位置しています。もちろん、気候が違うので同じ気温というわけではありませんが、それでもヨーロッパの冬は寒い!そんな環境のもとで、寒さや冷えをしのぐ文化が育まれてきました。
たとえば、湯たんぽ。今年日本で流行しているのは、ドイツ製の湯たんぽです。オシャレで、しかもエコ。昔は鉄やブリキなど金属製のものが主流でしたが、最近はゴム製やプラスチック製のものも普及。とりわけイギリスは湯たんぽ文化が根付いていて、コンビニエンスストアやドラッグストアなどでも販売されています。別売りのカバーもぬいぐるみ状のものなどバリエーション豊富で、まさに「着せ替え湯たんぽ」状態です。やっぱり手足の「冷え」の辛さは万国共通といったところですね。

カラダを温めるチーズと「罰ゲーム」!?

今月の「冷え」対策レシピ特集で「鍋料理」をご紹介しました。やっぱりカラダを温める料理といえば鍋ですよね。これも日本に限ったことではなく、世界各地で見られます。フランスの代表的な家庭料理「ポトフ」もある意味、鍋料理ですし、ロシアの「ボルシチ」もまたしかり。日本の鍋のように「皆でつっつく」ものとしては、スイスの「チーズフォンデュ」がそうですね。

チーズをすり下ろし、温めた白ワインを入れた鍋でグツグツと煮て溶かします。フォークに刺したパンや肉や野菜をそこに浸し、チーズを絡めて食べる料理が「チーズフォンデュ」です。チーズはカラダを温めてくれる食材のひとつ。さらに具として、海老や鶏肉のささみ、カブなど「カラダを温めてくれる食材」を用いれば心もカラダもぽっかぽか!この冬のオススメです。ちなみに、チーズフォンデュを食べるときはワインが合いそうだな・・・と思いきや、冷たい飲み物は避けたほうがよいといえます。食べたチーズが胃の中で冷やされて固形化し、もたれてしまうのを避けるためです。

余談ですが、スイスではフォークや串に刺した具をフォンデュのお鍋の中に落っことしてしまったら「罰ゲーム」を受けるのが風習となっているとのこと。落っことしてしまった人が食事やお酒をおごったり、歌を歌ったり・・・鍋を囲んでワイワイと皆で罰ゲームを決めるのも、あったかい「だんらん」のヒトコマですね。

ドイツの人びとに好まれる野菜「HOKKAIDO」って何?

日本には「冬至にかぼちゃ食べると風邪を引かない」という言い伝えがあります。かぼちゃはカラダを温める野菜のひとつ。ビタミンも豊富なので、栄養が不足しがちな冬場に食べるものとしてはもってこいの食材です。

かぼちゃの原産国は南北アメリカ大陸です。日本で私達が食べているかぼちゃはもともとポルトガル人がカンボジアから持ち帰ったことから「カンボジア」が訛って「かぼちゃ」になったといわれています。

日本では煮る、焼く、揚る、蒸すなど、さまざまな調理法と料理がありますが、ヨーロッパで出回っているかぼちゃは、いわゆる日本のかぼちゃのような「ホクホク」した食感がなく水っぽいためか、スープやポタージュ、グラタンにしたりするのが一般的なようです。あとはデザートですね。今回、レシピ特集で「ジンジャー紅茶プリン」をご紹介しましたが、西洋の人々はかぼちゃに限らずショウガ、シナモンといったカラダを温める食材やスパイスを、デザートに仕立てあげるのが上手。甘さの中にほんのりとショウガが香る「ジンジャーケーキ」なども人気です。

そんなドイツで、近年目覚ましい普及を遂げている野菜が「HOKKAIDO」というかぼちゃ。北海道とどのようなつながりがあるのか不明ですが、日本で食べるかぼちゃの味そのものだとか。ハロウィンのかぼちゃのようなオレンジ色のものと、いわゆる定番の深緑色のものがあり、スイスでも出回っています。
東西で「冷え」の解釈は違えど、同じような食材を用いてカラダを温めようとする文化は、世界中に根付いているといえるでしょう。