養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

エコの雑学
世界のエコ事情とエコツーリズム

エコは日本だけでなく、世界の人々にとって関わりのある課題です。そこで今回は各国のエコ事情についてご紹介。さらに「エコな旅」についても触れてみましょう。

エコ先進国、ドイツの徹底ぶり

私たち日本人の暮らしにも、だんだんとエコの発想が組みこまれるようになりました。たとえばゴミの分別。最初は面倒くさかったけど今では慣れた、という方も多いのでは?ゴミを分別して再利用することもまた、エコの一環といってよいでしょう。しかし日本以外の国に目を向けると「日本はまだまだだなぁ」と思うことが多々あります。

たとえばドイツ。“エコ先進国”ともいわれるドイツではゴミの分別も日本よりいち早く徹底されていました。1991年には包装廃棄物規制令による包装材のリサイクルシステムがスタート。家庭ゴミのおよそ半分がビン、カン、各種パッケージなどの包装材です。これらは、包装材を使って商品を販売した各メーカーに、回収やリサイクルが義務付けられています。メーカー自体は回収のノウハウを持たないため、リサイクルを代行するDSD(Duales System Deutschland)という企業が発足。各メーカーはお金を払ってDSDに回収を委託します。DSDはさらに民間、公共の回収業者に発注。ガラス瓶などは回収業者が設置したコンテナに消費者が持ち込み(しかもビンの色ごとに分別)、プラスチックやアルミなどの包装材は黄色の袋に入れ、それを業者が消費者のもとを訪れて回収する、といった仕組みが出来上がっています。

また、大手スーパーのレジ袋は有料。1枚につき数十円かかるため、購入する人はほとんどいないとか。皆、一度購入したレジ袋がやぶれるまで再利用したり、布製の「エコバック」を持参したりしています。しかもスーパーに行く際には、その袋に「引き取りOK」の使用済みビン類やペットボトルを入れていきます。これらをスーパーで渡すと、若干のお金が戻ってくる仕組みです。日本でも酒屋さんがこのシステムを導入していたりしますよね。スーパーでは「牛乳パック回収ボックス」などが設置されているところもありますが、基本的にデポジット(お金が戻ってくること)は無い場合がほとんど。地球を守ろう!という善意に頼るだけでなく「リサイクルしたほうが経済的にオトク」というシステムを社会全体で創り上げていくことが、これからの日本でも必要になってくると思います。

「クルマの究極のエコ燃料、それは「水」!?」


「クルマの究極のエコ燃料、
それは「水」!?」

温室効果ガスの排出量が少ない発電システムにも注目が集まっています。たとえばアイスランド。水と氷、森、火山の国、ということで日本に似ているところがありますが、なんと99%の電力発電が、水力発電(約8割)と地熱発電(約2割)でまかなわれています。地下のマグマを使った地熱発電は主に都市部の暖房などに用いられ、CO2の排出量が火力発電に比べて20分の1程度。温室効果ガスを減らし、地球温暖化を食い止めようというわけです。

それだけでもすごいことですが、さらにアイスランドは、現在ガソリン等の化石燃料を使っているクルマや船舶の燃料もクリーンなものにしようとしています。その原料は、なんと「水」。水を酸素と水素に分解し、その水素を使ってクルマを走らせよう、というわけです。現在、首都であるレイキャビクなどでは実験的に水素ガスを使ったバスが走っています。当然、エネルギーを補充する水素ガススタンドも街中にあるとのこと。2050年には、化石燃料からの完全脱却を国ぐるみで目指しています。人口はわずか30万人、しかし国民一人当たりのGDPは世界有数、教育にも力を入れ、国立大は授業料無料、そんなアイスランドの取り組みに世界中が興味を抱いています。

また、自転車王国と呼ばれるオランダでは、自転車に取り付ける荷台も大小さまざま。ちょっとした荷物を運ぶ際でもクルマを使わずに運ぶ風景が街のあちこちで見られます。また、タクシーも自転車を改良した「ベロタクシー」が多く走り、こちらもクリーンな環境を作り出しています。

エコな旅「エコツーリズム」って何?

旅は旅でも「エコな旅」。その地域に根ざした自然や文化を楽しく学び、体感できるのが「エコツーリズム」です。いわゆる普通の旅との違いは、基本的にその地域の文化や自然をよく知る“ガイド”さんがさまざまなことを教えてくれる点です。自然の素晴らしさを感じ、その自然を守っていくことがいかに大切かをじんわりと実感させてくれる旅といえるでしょう。地域に住む方々との触れ合いも魅力のひとつです。さっそくいくつかエコツーリズムスポットをご紹介しましょう。


◇霧多布湿原(北海道)

環境省の「第3回エコツーリズム大賞」で最高賞に選ばれたのが、北海道は釧路管内浜中町のNPO法人「霧多布湿原トラスト」。霧多布湿原の保全や、壊れた湿原を再生するかたわら、「この地のファンになってくれる人を増やす」目的でエコツアーを行なっています。自然の中での遊びを通じて環境教育を行う「子ども自然クラブ」や、地元漁師や酪農家と連携した「暮らしから学ぶツアー」、湿原や無人島の散策、自転車や馬での湿原周遊などを行い、霧多布の良さ、尊さを広く伝えています。

霧多布湿原トラスト

◇乗鞍山麓五色ヶ原の森(岐阜)

中部山岳国立公園の南端に位置する、約3,000ヘクタールの広大な森林が舞台。清流と滝、湿原・湖沼。そこに生きる草花や野鳥、動物達・・・手つかずの自然を満喫できる乗鞍山麓の「五色ヶ原の森」には、専門のガイドさんが引率してくれる2つのコースがあります。ひとつは滝を巡る「カモシカコース」。サワグルミの森を歩くと滝の轟音が聞こえ、突如として壮大な滝が目の前に現れます。もうひとつの「シラビソコース」は池巡り。ひっそりとした池を巡り、可憐な花を咲かせる植物に心を和ませてください。

高山市乗鞍山麓五色ヶ原の森

◇神田川(東京)

自然の真っ只中でなくても「エコツーリズム」は可能です。東京・神田川を舞台としてエコツーリズム活動を続けているのが、NPO法人「あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」。かつて私達の暮らしに密接に結びついていた川や運河。その歴史や環境を、排気ガスを出さずに電気の力で動くエレクトリックボートに乗りながら学びます。神田川のコースでは川の清掃船や三崎橋ごみ中継所、江戸時代の人々が知恵と工夫で行なった工事「神田山の切通し」などが見どころ。予想以上の透明度にも驚くこと請け合いです。普段とは違った視点で東京を眺めてみてはいかが?

NPO法人 あそんで学ぶ環境と科学倶楽部

◇小豆島(香川)

瀬戸内海に浮かぶ小豆島も、絶好のエコツアースポットです。この地でエコツアーショップを展開する「自然舎(じねんしゃ)」さんでは、2つのエコツアーを展開中。「海のエコツアー」では、初めての方でもかんたんに操れるシーカヤックに乗り込み、のんびりと小豆島の海岸線を巡ります。カヤックでしか行けない海岸に上陸したりと、ちょっと冒険気分を味わえるところも魅力です。もうひとつ、「山のエコツアー」では瀬戸内海最高峰の「星ヶ城」をはじめ、貴重な動植物や奇岩がいっぱいの自然の中をのんびり散策。豊かな島のスローライフをぜひ満喫してください。

自然舎(じねんしゃ)