養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

水の雑学
日本の水郷と「水を買う」歴史

ミネラルを含んだ「薬」として流通していた時代から、「飲み水」として流通する今日に至るまで、私達の暮らしに密接に結びついている「水」。その雑学とともに、日本が誇る名水の里をご紹介します。

古代ローマや明治中期・・・意外に古い「水を買う」風習

人類は古代から水の恩恵を受けてきました。温泉(飲泉)が盛んだったローマ時代からミネラルウォーターは流通していたといいます。当初は、その「効能」が売りになっていました。ローマ皇帝が愛したといわれ、その水を求めて100kmに渡る水道橋が建設された「フィレッテ」。

ルイ15世の侍医が源泉にスパを建設し、やがてフランス国家が認定するミネラルウォーター第一号となった「コントレックス」。古くから水の都といわれ、名だたる温泉地としても知られていた地名から名づいた「エビアン」など、現在も流通しているミネラルウォーターを遡ると、得てして「温泉」にたどり着くのが面白いところです。

一方、日本ではどうか。最近のことだろうと思いきや、明治時代にまで遡ります。兵庫県の平野温泉で湧く炭酸水が「平野水」として販売されました。やがてその炭酸水にシロップを加えた「三ツ矢平野水」が売りに出されます。ご存知「三ツ矢サイダー」のルーツです。ちなみに江戸時代にも、海沿いなど真水が手に入りにくい地域で売られていたという歴史があります。

そして戦後の高度成長期を迎えるにあたり、ウイスキーの「水割り」文化が台頭。お酒を割る水として利用されてきましたが、やがてミネラルウォーターの輸入規約が変わって海外商品が日本市場に流れ込み、次第に家庭用の消費量が増え始めます。

平成になると業務用と家庭用のミネラルウォーターの消費量が逆転。1999年には消費量が100万キロリットルを超え、その後も市場は成長を続けています。
現在、日本の品質表示ガイドラインでは、特定の水源から採水された地下水のみを原水としたものを「ナチュラルウォーター」、特定の水源から採水された地下水(鉱泉水、鉱水など)で、ミネラル成分が溶け込んでいるものを「ナチュラルミネラルウォーター」、何種類かのナチュラルミネラルウォーターを混合したものや、ナチュラルミネラルウォーターのミネラル分を人工的に調整したものを「ミネラルウォーター」、飲用できる水 (水道水、蒸留水、河川の表流水などで飲用に適しているもの)を「ボトルドウォーター(飲用水)」と区分けしています。

水道水と「エコ」の関係

ミネラルウォーターを購入する人の大半は、水道水と比較して「おいしい」「安全」と感じたからでしょう。しかしながら日本の水道水は、世界レベルで考えると屈指の品質を誇ります。世界保健機関の調査によれば、安全な水を飲めない環境下で暮らしている人は全世界人口のおよそ1/6だそうです。

水道水の復権とさらなる水質向上に向けて、行政も動き始めています。東京都水道局では、「安全でおいしい水プロジェクト」を発足。もちろんこれまでも国が定めた水質基準50項目をクリアし、においの原因のひとつになっている「カビ臭」改善に取り組んでいましたが、さらに安全でおいしい水にするため、水源の確保から水道管の品質向上に至るまで、さまざまな取り組みを行なっています。

また、スイスなどの一部ヨーロッパでは「エコロジー」と絡めて水道水を奨励。市販品の流通・物流にかかる輸送エネルギー(=温室効果ガス)を減らす意味合いでエコと関連付けています。ただ、並行して水道水をそのまま飲まず、浄水器などの使用を働きかけている地域が多々あることも事実。おおもとのところから考え、自然環境・水資源を守るところから始めようとする動きも顕著になっています。

環境にも優しい平成ニッポンの水郷

もちろん、日本にも豊かな水資源があります。湖や川の景色が美しい町や村のことを「水郷」と言いますが、単に美観だけでなく、水資源を効率的に使おうとする工夫が地域ごとに根付いています。

たとえば、長良川の上流に位置する岐阜県の郡上八幡。ここでは古くから、水を有効利用する「水舟」という装置があります。複数の槽に分かれた木枠があり、湧き水を引き込んだ一番上の槽の水は、飲み水や野菜を洗うなどして使われます。その水が流れ落ちる2つ目の槽の水は食器洗いなどに使われ、その際に生じた残り物やご飯粒が「水舟」の下にある池や用水路に流れ込み、鯉などの魚のえさとなります。とてもよくできたシステムですよね。

その郡上八幡を流れる和良川は、今月の4日に環境省が発表した「平成の名水百選」に選ばれています。その他の「平成の名水百選」をいくつか紹介しましょう。

◇尾瀬の郷 片品湧水群(群馬県)

いつまでも守りたい日本の自然の代表的地域といえば尾瀬。その尾瀬に位置する片品村の湧水群が「平成の名水百選」に選ばれました。片品村の湧水量は1日にして11,000トン以上。注目したいのは、片品村の「水道水」も名水としてみなされている点です。2000メートル級の山々の恵みともいえる湧水が、一般家庭や宿泊施設(約280件)の蛇口から流れる・・・これぞ贅沢といえるかもしれません。

片品村役場ホームページ・平成の名水百選

◇西沢渓谷(山梨県)

山梨、長野、埼玉の県境に広がる西沢渓谷は、笛吹川源流が流れる美しい渓谷。白い飛沫を上げる滝、静かに淀む淵、せせらぎの中に佇む奇岩の数々が、見る者に癒しをもたらしてくれます。散策コースの最深部にある七ツ釜五段ノ滝は「日本の滝百選」のひとつ。文字通り五段になった滝を名水がしぶきをあげて流れ落ち、紺碧の滝つぼに注がれる・・・美しい日本の自然がそこにあります。

山梨市ホームページ・西沢渓谷

◇赤目四十八滝(三重県)

個性溢れる滝が約4kmに及ぶ赤目四十八滝も平成の名水百選に選ばれました。“赤目五瀑(あかめごばく)”と呼ばれる不動滝、干手滝、布曵滝、荷担滝、琵琶滝をはじめ、雛段滝や骸骨滝など、見どころの多さは随一。整備されたトレッキングコースを辿りつつ、飽きの来ない風景美を楽しんでください。
幻想的な美と名水を体感してください。

赤目四十八滝渓谷保勝会

◇南阿蘇村湧水群(熊本県)

南阿蘇は古くから知られる名水の里。平成60年発表の名水百選にも選ばれていた白川水源をはじめ、いくつもの清らかな水源が点在しています。写真の竹崎水源は、なんと毎秒2トン、毎分120トンの湧水量。もはや「湧く」というよりは地中から流れる川といったほうが適切かもしれません。その他、湧沢津水源や塩井社水源、寺坂水源、明神池名水公園など「水の名所」が目白押し。水を訪ねる旅を満喫してください。

南阿蘇観光協会・名水百選

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